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ギルド戦開始!

そしてトレント祭から一週間。


「っしゃあ!!ギルド戦だ!」

「「「おおおおおおお!!」」」


皆、特にトラン達は元々10レベ台だったのだが、トレント祭で25レベ辺りまで伸び、更にその後のレベ上げで30前半まで伸びた。

ちなみに俺達は30後半から、40まである。

ただ一人、ネコルは29レベだったが生産職だから、まぁ仕方ないだろう。


「さぁて。……どこでやんの?」

「知らなかったんですか!?」

「ん。そういや知らねぇなぁって」

「も~」


シロは困ったように頭を抱え、口を開いた。

つか、なんだよその仕方ないみたいな雰囲気はよー。


「ギルド戦は集会所にある魔法陣から飛んでいける闘技場ですよ。ギルド戦などの予約が入っていない時は大概フリーで解放されていますけどね」

「へーぇ。じゃあギル達ってもしかしてそこでそんな変なレベ上げしてたのか?」


ギルに聞くとギルが答える前にジャックが割り込んできて「そうなんッスよ~」と何故か凄く疲れた表情で言うのだ。


「エースさんは正直相手にならないし、ギルさんは強過ぎるし、大変だったんスよ」

「今エースディスったよな?さらりとディスったよな?」

「まぁそんなこんなで、レベは32まで上がったんスから、全然良いんスけど!」


にこやかに言うのだがにこやかにエースをディスるのはやめてやれよ。本人挫けてるぞ。


「お前らが規格外なんだよ、俺はまだシロやトランに負けたことないし」

「お、それは初耳だわ。マジで?」

「はい。あのトレント狩りでレベルが上がってエースを倒そうとしたんですけど、二人揃って負けてしまいました」

「なんだよ、エース強いんじゃん」


俺が言ってやると立ち上がり、「そうですよね!!」なんて言ってきやがるわけで。


「後で俺と一戦やろうぜ。一応俺はジャックと同じスタイルだが、ステータスめちゃくちゃ低いから、倒せるかもしれんぞ」

「倒せるかわからないけどよろしくお願いします!」

「おう!」

「カズマ様、そろそろ……」

「お、わかった。行くぞお前ら!」

「「「おおおおおおおお!」」」

「あれ?さっきもこの」

「やめろまたループするから」


と言いながら俺達は歩き出した。


「アリスぅ~」

「なんですか?カズマ様」

「ん~なんでもな~い。って言おうと思ったんだがその様付けやめない?二週間経ったんだけど」

「……カズマ様はカズマ様です。呼び捨てなんてできません」

「む~」

「あ、着きましたよ」


ちけぇ!めちゃくちゃちけぇ!


「んだよ、こんな近くだったのかよ。じゃあさっさと行こうぜ?闘技場」

「はい」

「ちなみに相手のギルドの名前ってなんだ?」

「えっと」

「アールだよ兄ちゃん」

「あ?」


明後日な方から言われ、なんとも言えない返事をしてしまった。

振り返るとガタイの良いおっさんと頭の悪そうな連中がいた。


「あーそ。あんたらが俺達の相手?」

「そうだ。兄ちゃんは誰だ?一週間前はいなかったと思うが」

「俺?俺は単なる下っ端だよ。新入りってわけだ」

「そうか。じゃあ兄ちゃんには教えといてやるよ。俺達は皆30を超える。兄ちゃんらのギルドじゃ、絶対勝てねぇよ。痛い目みねぇうちに抜けとけ。なんたってこの人数とあんたらで勝ち抜き戦やるんだからな」


おっさんは後ろに控えているやつらを見て言った。その数は40を超えているようだ。


「ま、量より質だろ。おっさん。名前は……非表示じゃわかんねぇよ。教えてくれ」


そうそう。名前の表示、非表示は設定で変えられるようになっていたのだ。

戦闘時になるとライフバーと共に名前も出現するが、それは非表示にできない。ということをお伝えしよう。


「俺の名はシンゲン。このギルドの……なんなんだろうな」


おっさんは自信なく呟いた。え?何この人。


「シンさん!一応シンさんギルマスなんですから!誇って良いんです!」

「そ、そうか?」

「例え全ての仕事をサイカさんに取られようとも、知りに敷かれて一日の小遣いが千Gだろうと!俺達にとってのギルマスはシンさんです!」

「……ハロルド、お前慰めてるのかけなすのか、どっちかにしてくれよ」

「じゃあけなします!」

「やめろおおおおおお!!」

「なぁ、シロ。このおっさんらあんま悪いやつらに見えねぇんだけど」

「そ、そうですね」

「俺達に喧嘩売ってきたのはそこの四人だよ」


トランが指を刺した方に一際馬鹿そうな奴らが四人。


「あぁ?何指さしてんですかぁ?」

「俺達はぁ。ただ役立たずのギルドはぁ解散しちゃえばぁって言ってやっただけでぇす。死ぬ前にな」

「げひゃひゃひゃひゃ」


何この小物臭たっぷりの人達。弱そ。

こいつらはほっといておっさんを見て宣言する。


「まぁ……わかったよ。とりあえず言っておくけど、俺達は負けないぞ?」

「この人数にかよ!笑わせる!」


馬鹿一人がなんか言ってるけど気にしない。


「お互い頑張ろうぜ兄ちゃん。俺は負けたらサイカに……」


おっさん、シンゲンは青い顔をして、身体をぶるりと震わせながら集会所に入って行った。

どんな人なんだサイカさん。


「俺達も行くぞ。シロ!」

「はい!」




「やっっっっほおおおおおおお!!」


その声は遠く遠く響いて行き、消えた。


「闘技場、ひろっ!!!」

「あーそりゃ初めてみればそうッスよね」

「でも主、こんくらい広くなきゃ、俺とか全力だせねぇよ」


ギルが当然といった顔で言うが、それにしても広い。


「アリス、ここ、奥まで行って帰ってきたらどのくらいかかりそうだ?」

「えっと……本気でいけば一分くらいで……」

「アリスでも一分かかるのか……ってか一分ってのも中々異常だが」

「さて。シンゲンのおっさんらは何処だ?」

「ここだ!!」


声が上から投げかけられたので上を見ると、おっさんが宙を舞って、華麗に着地した。やめろおっさん。おっさんがそんなことやってもきめえだけだ。


「さて。まず最初は誰が相手だ?」

「このデグラが相手をしよう」

「デグラか。よろしく」


トランが前に出て、デグラと握手をした。


「こっちの先鋒はトランだ!コイツはつえーぞ?舐めてっと痛い目みっからな!」


ちなみに、俺が先鋒やって殲滅するという話は無くなり、シロ達一人一人、必ず一戦はするということになっている。俺から言ったんじゃあない。自分達で言ってきたから、覚悟はできているんだろう。


「んじゃ早速始めようじゃねぇか。おっさん」

「あぁ。泣いて詫びてももう終わるまで終わらないからな?」

「それはこっちのセリフだ」

「では」

「「始め!!」」


俺とおっさんが声を合わせてトランとデグラの試合開始の合図を出した。




「ごぎゃっ!」


デグラからは、トランが消えたように見えた。そしてすぐ、顎に恐ろしい痛みが流れ、身体は宙に浮いていた。


「なっにが……」


それだけでは終わらなかった。腰から激しい痛みを感じたと思ったら、周囲がめまぐるしく回転し、顔面から地に落ちた。

その時点でライフバーは三割を削られている。

トランは一度そこから離れて構え、デグラが起き上がるのを待つが、デグラは腰と顎から来る痛みに耐えられず、悶絶している。


「ゔぐぁ……」

「……」


デグラは自分を圧倒的なまでの力で苦しめている相手を見上げた。その表情はどこまでも無表情で、まるで相手を倒すためだけに動いているような目をしていた。

実際はただ集中しているだけなのだが、デグラには関係ないのだろう。


そしてトランは思った。

ーー大したことないじゃないか。と。


「この俺が、こんな、簡単にッ……!!」


痛みを堪え、立ち上がった瞬間、デグラのライフバーが残り二割のところで止まった。


「あ?ぎゃぁああああああ!!」


何故。そう思うのは遅過ぎた。

既にトランが放った短剣に心の臓を刺されていたのだから。


「はい。試合終了!」


試合はカズマの一言により、終わり、デグラに突き刺さっていた短剣はトランの手元に。デグラのライフバーも元に戻っていた。だが。


「うぐぅあ……ぁぁぁ……」


心臓を刺されるという、現実では体験することのない痛みがデグラの精神に多大なダメージを与えていた。


それを見てカズマは思う。このゲームは、このFSOは、現実なのだと。


「デグラ!」

「シン、さ……」


デグラはそのまま気絶し、シンゲンはーー


「この、クソ野郎がぁあああああ!」


キレた。


「俺が、さっさと、あいつらをやってやる!あぁそうだ。最初からそうすれば良かったんだ!てめぇら!すっこんで見てろ!」


シンゲンが部下を恫喝し、下がらせ、そのまま前に出た。


「俺の家族を傷付けたこと、後悔させてやる……!!」


シンゲンの放っている殺気は中々強くネコルなどであれば、硬直するくらいにはある。だが、トランには効かなかった。それだけの自信がトランにはあった。


「トラン。頑張れ」

「はい」


トランは頷き、構える。

シンゲンは大剣を地面に突き刺し、仁王立ちでトランが動くのを待つ。


「んじゃ、始め!!」


カズマの声と共にトランは消え、シンゲンも、消えた。






次回はちょっと痛い表現入ります。

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