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ネコネコランドへようこそ  作者: 香月 深青
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第五十五話 ネコネコランドを案内するにゃ!


朝のネコネコランド。


やわらかな風が吹き、広場には今日も元気な笑い声が響いていた。


「鬼ごっこするにゃーー!」


「待ってー!」


チャイたちは広場を元気いっぱい走り回っている。


その少し後ろで、ひなたはみんなの様子を静かに見つめていた。


昨日より笑えるようになった。


昨日より安心できるようになった。


それでも、まだ知らない場所ばかり。


少しだけ胸がどきどきしていた。


チャイは振り返ると、にっこり笑う。


「今日は、ひなたにネコネコランドを案内するにゃーー!」


「さんせーい!」


リオンが元気よく手を挙げる。


ルナも。


マロンも。


シロップも。


インクも小さくうなずいた。


「まずはこっちにゃ!」


チャイは元気いっぱい走り出す。


最初にやって来たのはパン屋さん。


焼きたてのパンの香りが町いっぱいに広がっていた。


「おはよう!」


パン屋さんが笑顔で手を振る。


「この子がひなたちゃんだね。」


「ようこそ。」


そう言って、小さな焼きたてパンを手渡してくれた。


「ありがとう。」


ひなたは少し照れながら受け取る。


ふわっと温かなパンを口にすると、自然と笑顔がこぼれた。


「おいしい……。」


チャイは得意そうに胸を張る。


「ここのパンは世界一にゃ!」


リオンがくすっと笑う。


「チャイ、それ毎回言ってるよ。」


「本当に世界一にゃ!」


みんなは思わず笑った。


次に向かったのは花畑。


色とりどりの花が風に揺れ、甘い香りがふんわりと漂う。


ルナが花をそっと指さした。


「春も夏も秋も冬も、季節ごとに違う花が咲くの。」


ひなたは花に顔を近づける。


「いいにおい……。」


「でしょ?」


ルナも嬉しそうに微笑んだ。


今度は小川へ。


チャイが胸を張る。


「ここは葉っぱのおふねレースをする場所にゃ!」


「この前、ぼくは池に落ちたにゃ!」


「二回だよ。」


リオンが笑う。


「三回。」


マロンが指を折る。


「……四回。」


インクまで静かにつぶやいた。


「そんなに落ちてないにゃーー!」


チャイは大あわて。


みんなはおなかを抱えて大笑いした。


ひなたも思わず、


「ふふっ。」


と笑う。


チャイはその笑顔を見つけると、ぴょんっと飛び上がった。


「また笑ったにゃ!」


その言葉に、ひなたも少し照れながら笑った。


森へ入ると、ひんやりとした風が木の葉を揺らしていた。


木漏れ日が地面にきらきらと踊っている。


インクが静かに歩きながら話す。


「……ここは静かな場所。」


「一人になりたいときは、ここへ来るといい。」


ひなたはゆっくりとうなずいた。


「うん。」


その返事は、さっきより少しだけ柔らかかった。


最後にみんなは、お城の丘へ戻ってきた。


丘の上からは、ネコネコランドの町が一望できる。


パン屋さん。


魚屋さん。


お花屋さん。


図書館。


広場。


あちこちから笑い声が聞こえてくる。


ミルクがひなたの隣に立った。


「ここが、ネコネコランド。」


「みんなのおうちだよ。」


ひなたは小さく尋ねる。


「ぼくも……?」


ミルクは優しく微笑んだ。


「もちろん。」


「ひなたのおうちでもあるよ。」


その言葉に、ひなたの目が少しだけ潤んだ。


そのとき、町のみんなが丘へ向かって手を振る。


「ひなたー!」


「また遊ぼうねー!」


「待ってるよー!」


ひなたも嬉しそうに手を振り返した。


チャイが隣でにっこり笑う。


「ひなた。」


「ネコネコランドではね、おうちへ帰ってきたら言う言葉があるにゃ。」


「言う言葉?」


ひなたが首をかしげる。


チャイは胸を張って、大きく息を吸った。


「ただいまにゃーー!」


町のみんなが笑顔で声をそろえる。


「おかえりーー!」


ひなたは少し照れながら胸に手を当てる。


そして、小さくつぶやいた。


「……ただいま。」


「おかえり!」


町じゅうから返ってきた、その声はとても温かかった。


ひなたはもう一度、町を見渡した。


パン屋さんも。


お花屋さんも。


魚屋さんも。


みんなが笑って手を振っている。


ひなたも笑顔で、大きく手を振り返した。


「ただいま!」


今度は、はっきりと言えた。


ミルクとリオンは顔を見合わせ、うれしそうに微笑む。


ネコネコランドには今日もまた――


「ただいま」と「おかえり」が、新しい家族の心をやさしく結んでいた。

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