第五十話 おつかいレースにゃ!?
朝のネコネコランド。
町は今日も朝から大にぎわい。
パン屋さんからは焼きたてパンのいいにおい。
魚屋さんには新鮮なお魚がずらり。
お花屋さんには色とりどりのお花。
八百屋さんには夏野菜が山盛りになっていた。
チャイは大きく深呼吸する。
「今日も元気いっぱいにゃ!」
そのとき。
パン屋さんがあわてて飛び出してきた。
「大変だよ!」
「お花屋さんへ届ける小麦粉を忘れちゃった!」
すると魚屋さんも手を挙げる。
「八百屋さんへ氷をお願い!」
八百屋さんも負けじと声をかける。
「図書館へトマトを届けてほしいな!」
町のみんなが大あわて。
チャイは胸をどーん!
「ぼくたちに任せるにゃーーー!」
リオンが手をたたいた。
「それじゃあ、おつかいレース、スタート!」
「やるにゃーーー!」
チャイは小麦粉を抱えて飛び出した。
「一番にゃーーー!」
ぴょん!
ぴょん!
ぴょーん!
ところが、目の前で道が三つに分かれている。
「どっちにゃ!?」
「あっちだよー!」
パン屋さんが教えてくれる。
「ありがとうにゃーー!」
勢いよく走る。
「あっ。」
行き止まり。
「間違えたにゃーーー!」
町のみんなは大笑い。
「チャイ、がんばれー!」
「あと少しー!」
応援の声に、チャイはくるりと向きを変える。
「今度こそにゃーー!」
その横を、インクが静かに通り過ぎる。
「……近道。」
「先に教えてほしかったにゃーー!」
また町じゅうが笑い声に包まれた。
ルナは氷を落とさないように、そーっと歩く。
「ゆっくり、ゆっくり。」
マロンは大きなトマトを抱えて、よいしょ、よいしょ。
「お、重たい……。」
シロップはクッキーのかごを持って歩いていた。
ふわり。
甘い香りが鼻をくすぐる。
「いいにおい。」
じーっ。
「食べたい。」
そこへチャイが走りながら叫ぶ。
「ダメにゃーー!」
「届けるまで我慢にゃ!」
シロップは大きくうなずく。
「……がんばる。」
その姿に、みんなが笑った。
インクは落ち着いて歩く。
「……急がば回れ。」
角も。
道も。
ゆっくり確認。
気がつけば、一番最初に届け終わっていた。
「さすがインク!」
リオンが拍手する。
チャイも最後のお届け先へ向かって全力疾走。
「間に合えにゃーーー!」
ぴょん!
ぴょん!
ぴょーん!
「届いたにゃーーー!」
町じゅうから大きな拍手がわき起こる。
「ありがとう!」
「助かったよ!」
「またお願いね!」
チャイは照れくさそうに頭をかく。
「えへへ。」
広場へ戻ると、ミルクが待っていた。
「みんな、おつかれさま。」
「今日は誰が一番だったのかな?」
チャイは勢いよく手を挙げる。
「ぼく!」
リオンがくすっと笑う。
「ほんとかな?」
ルナも笑う。
マロンも笑う。
シロップも笑う。
インクまで少しだけ口元をゆるめた。
ミルクはみんなを見渡し、優しく拍手した。
「今日はね。」
「みんなが一番。」
「みんなが力を合わせたから、町じゅうが笑顔になったんだもの。」
チャイは目をぱちぱちさせる。
そして、思いきり飛び上がった。
「じゃあ、みんな優勝にゃーーー!」
「やったーーー!」
パン屋さんも。
魚屋さんも。
八百屋さんも。
お花屋さんも。
図書館の館長さんも。
町のみんなが笑顔で拍手を送る。
チャイは胸を張って叫んだ。
「次のおつかいも任せるにゃーーー!」
リオンが笑う。
「その前に、道を覚えようね。」
「にゃーーー!」
町じゅうに、大きな笑い声が響き渡る。
ネコネコランドには今日もまた――
「ありがとう」と笑顔が、町じゅうを元気いっぱい駆け回っていた。




