第四十八話 くすぐったい風にゃ!?
朝のネコネコランド。
そよそよと気持ちのいい風が吹いていた。
チャイは大きく伸びをする。
「気持ちいい朝にゃー!」
その瞬間。
ふわっ。
風がチャイのひげを、こちょこちょ。
「……ぷっ。」
「にゃはははは!」
突然笑い出し、ごろんごろん転がる。
「どうしたの!?」
リオンがびっくりして駆け寄る。
「わ、笑いが止まらないにゃー!」
すると今度は、ふわり。
風がリオンのほっぺをくすぐる。
「きゃっ!」
「ふふふっ!」
リオンまで笑い出した。
ルナの耳も、こちょこちょ。
「ふふっ。」
マロンのしっぽも、ふわっ。
「あはは!」
シロップのおなかも、くすっ。
「わぁー!」
あっという間に、みんな笑い転げてしまう。
チャイは立ち上がると、風を指さした。
「この風、いたずらっ子にゃ!」
すると風は、くるんっと一回転。
まるで、
「つかまえてごらん!」
と言っているみたいだった。
「追いかけるにゃーーー!」
みんなは元気いっぱい走り出す。
風は花畑へ。
チャイも花畑へ。
風は森へ。
みんなも森へ。
風は木のまわりを、くるくる。
チャイたちも、くるくる。
「目が回るにゃーー!」
みんな大笑い。
今度は風が葉っぱをふわっと舞い上げる。
ひらひら。
ひらひら。
葉っぱのシャワーだ。
「きれい!」
リオンが両手を広げる。
チャイは葉っぱを追いかけて大ジャンプ。
「待つにゃーー!」
ぴょん!
……と思ったら、つかまえたのはタンポポの綿毛。
「違ったにゃ!」
みんなは大笑い。
風はチャイのしっぽも、こちょこちょ。
「あはは!」
チャイは自分のしっぽを追いかけて、その場をぐるぐる。
「しっぽ、待つにゃーー!」
リオンはおなかを抱えて笑う。
「チャイ、それ自分のしっぽだよ!」
その横では、マロンの前髪が風でぴょこん。
「わっ!」
チャイが指をさす。
「マロンの前髪が立ってるにゃ!」
マロンはあわてて手で押さえる。
「あれ? あれ?」
その姿がかわいくて、みんなまた大笑い。
シロップは風に押されて、ころん。
ころころころ。
「転がった。」
「どんぐりみたいにゃ!」
チャイが笑う。
「ぼく、どんぐり?」
シロップは首をかしげて、みんなはさらに大笑い。
そのとき。
インクだけは腕を組んだままだった。
「……気のせいだ。」
ふわっ。
風がインクのしっぽを、するり。
「…………。」
もう一回。
こちょこちょ。
「…………ぷっ。」
「ふふっ。」
チャイはぴょーんと飛び上がる。
「インクが笑ったにゃーーー!」
インクは照れくさそうに走り出した。
「……捕まえてみろ。」
「待つにゃーーー!」
チャイも走る。
リオンも走る。
みんなも走る。
風も楽しそうに、そのまわりをくるくる飛び回る。
「最後まで逃がさないにゃーー!」
チャイが叫ぶ。
「よーい……どん!」
みんなは一斉に駆け出した。
丘を駆け上がり、
小川をぴょんっと飛び越え、
花畑をぐるり。
でも風は、するり。
「あーっ!」
「速いにゃーー!」
風は空高く舞い上がる。
チャイは大きく手を振った。
「また遊ぶにゃーー!」
すると風は、ひらり。
一枚の葉っぱを落としていった。
リオンが笑う。
「『またね』って言ってるみたい。」
みんなも笑顔で手を振った。
やがて夕日がネコネコランドをオレンジ色に染める。
チャイは草の上へ、ごろん。
「今日は風といっぱい遊んだにゃ!」
みんなは顔を見合わせて笑う。
ネコネコランドには今日もまた――
いたずら好きの風が、みんなの笑顔を乗せて駆け抜けていった。




