第四十五話 セミさんを助けるにゃ!
朝のネコネコランド。
「みーん! みーん!」
森のあちこちから、元気いっぱいのセミの声が聞こえてくる。
チャイは耳をぴくっと動かした。
「夏が来たにゃーーー!」
「森へ遊びに行くにゃ!」
「行こう!」
リオンが笑顔でうなずく。
みんなは元気いっぱい森へ向かった。
木漏れ日がきらきら揺れ、やさしい風が葉っぱをさらさらと鳴らしている。
「気持ちいいね。」
リオンが大きく深呼吸をした、そのときだった。
「あれ?」
木の根元で、一匹のセミが羽をばたばたさせていた。
「飛べないのかな?」
チャイは急いで駆け寄る。
「大変にゃ!」
「助けるにゃ!」
みんなはセミを驚かせないよう、そっと近づいた。
ルナが静かに様子を見る。
「羽は折れてないみたい。」
マロンは近くの葉っぱを持ってきた。
「ここにつかまれるかな?」
シロップは小さな声で応援する。
「がんばれ。」
インクは落ち着いた声で言った。
「無理に触らないほうがいい。」
リオンはそっと手を差し出す。
するとセミは、小さな足でちょこんと指にとまった。
「かわいい……。」
リオンがやさしく笑う。
みんなが見守る中――
「みーーーーーん!」
元気いっぱい鳴いたセミは、勢いよく羽を広げて空へ飛び立った。
「飛んだにゃーーー!」
チャイはくるっと一回転して大喜び。
「やったにゃー!」
その瞬間。
森中のセミたちが、一斉に鳴き始めた。
「みーん!」
「じーーーー!」
「つくつくぼうしー!」
森いっぱいが、にぎやかな夏の音であふれる。
チャイは耳をぴくぴく動かした。
「……返事してるにゃ!」
リオンが笑う。
「きっと、『助けてくれてありがとう』って言ってるんだよ。」
チャイは空を見上げ、大きく手を振った。
「どういたしましてにゃーーー!」
すると、
「みーーーーーん!」
まるで返事をするように、セミたちが元気いっぱい鳴いた。
「すごーい!」
シロップも木にぴたっとくっつく。
「みーん。」
マロンも照れながら。
「み、みーん……。」
ルナも思わず笑う。
「みーん。」
チャイはインクを見つけた。
「インクも鳴くにゃ!」
「……いや。」
「一回だけ!」
みんなが期待の目で見つめる。
インクは小さくため息をついた。
「……みーん。」
しん。
一瞬だけ森が静かになる。
そして次の瞬間――
「インクが鳴いたーー!」
みんなはおなかを抱えて大笑い。
インクも少し照れくさそうに笑った。
そのとき、木の上からたくさんのセミが一斉に飛び立つ。
「追いかけるにゃーーー!」
チャイが勢いよく走り出した。
セミは右へ。
「そっちにゃ!」
チャイも右へ。
くるっと向きを変えて、今度は左へ。
「えーっ!? そっちだったにゃ!」
リオンたちは笑いながら追いかける。
坂道を駆け上がり、
小さな橋をぴょんと飛び越え、
木のまわりをくるくる回る。
花畑を抜けると、またセミたちが元気に鳴いた。
「みーん!」
「待つにゃーーー!」
チャイは夢中で走る。
みんなも負けじと走る。
気がつけば、森じゅうが笑い声でいっぱいだった。
やがてセミたちは青い夏空へ飛び立ち、元気な歌声だけが森に残る。
チャイは大きく伸びをした。
「夏って最高にゃ!」
「うん!」
リオンも笑顔でうなずく。
セミの歌声と、みんなの笑い声。
どちらも負けないくらい元気いっぱいだった。
ネコネコランドには今日もまた――
セミの歌声と、みんなの笑い声が、夏空いっぱいに響いていた。




