第四十三話 ひまわり迷路にゃ!?
朝のネコネコランドは、夏の日差しがきらきら輝いていた。
広場へ向かっていたチャイが、ぴたりと足を止める。
「……にゃ?」
目の前には、一面のひまわり畑。
昨日まで何もなかった場所に、背の高いひまわりが、空へ向かって一斉に咲いていた。
「すごーい!」
リオンは目を輝かせる。
マロンは見上げながらつぶやいた。
「ぼくより大きい……。」
シロップは花に顔を近づける。
「いいにおい。」
ルナは不思議そうに首をかしげた。
「昨日まで、こんな場所なかったよね。」
インクだけが静かに畑を見つめる。
「……また何かありそう。」
でも、チャイはそんなこと気にもしていない。
「探検するにゃーーー!」
元気いっぱい飛び込んでいった。
「待ってー!」
リオンたちも笑いながら後を追いかける。
ひまわりは背が高く、空がほとんど見えない。
道は右へ、左へ。
くねくねと続いていて、まるで迷路だった。
チャイは胸を張る。
「ぼくについてくるにゃ!」
勢いよく角を曲がる。
「こっちにゃ!」
……行き止まり。
「……あれ?」
みんなが思わず笑う。
今度はインクが前へ出た。
「……こっち。」
静かに歩き始める。
「さすがインク!」
リオンが期待した次の瞬間。
また行き止まりだった。
チャイがにやりと笑う。
「同じだったにゃ。」
インクは少しだけ耳を伏せる。
「……そんな日もある。」
シロップはその場にぺたんと座り込んだ。
「おなかすいた。」
マロンはきょろきょろ辺りを見回す。
「ぼ、ぼく……さっきもこの花を見た気がする。」
だんだん、みんなの足取りがゆっくりになってきた。
そのときだった。
ふわりと風が吹く。
ざわざわ、とひまわりが揺れ、一斉に同じ方向を向いた。
ルナが立ち止まる。
「見て。」
リオンも顔を上げた。
「本当だ……。」
インクが小さくつぶやく。
「……太陽を見てる。」
チャイは目を丸くする。
「じゃあ!」
「ひまわりの向いてる方へ行けばいいにゃ!」
みんなは顔を見合わせてうなずいた。
ひまわりを目印に歩いていく。
しばらく進むと――
ぱっと景色が開けた。
「出られたにゃーーー!」
チャイが大きくジャンプする。
「やったー!」
リオンも思わず両手を上げた。
みんなは丘の上まで登り、振り返る。
「わぁ……。」
ひまわり畑全体が見えた。
迷路は、大きな猫の顔の形になっていた。
丸い耳。
くるんと伸びたひげ。
そして、にっこり笑った猫の顔。
チャイは得意そうに胸を張る。
「最初から分かってたにゃ!」
ルナがくすっと笑う。
「ほんと?」
シロップが首をかしげる。
「ずっと迷ってた。」
マロンもうなずく。
「三回くらい同じ道だったよ?」
インクがぽつり。
「……方向音痴。」
「違うにゃーーー!」
チャイは真っ赤になって走り出した。
「待つにゃー!」
みんなも笑いながら追いかける。
風が吹くたび、ひまわりは楽しそうに揺れ、黄色い花びらが拍手をしているみたいだった。
青い夏空の下。
笑い声は、ひまわり畑いっぱいに広がっていく。
ネコネコランドには今日もまた――
ひまわりみたいな笑顔が、夏の風にゆらゆらと揺れていた。




