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ネコネコランドへようこそ  作者: 香月 深青
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第二十三話 ネコネコ会議、大混乱にゃ!?

ネコネコランドの広場に、今日は大きな円ができていた。


やわらかな草の上に、丸く、丸く。


朝の光が差し込み、木漏れ日がゆらゆらと揺れている。


その真ん中に、ちょこんと座るミルク。


王冠が、きらりと小さく光った。


「これより――」


前足をすっと上げる。


「ネコネコ会議を始めるにゃ!!」


びしっ。


風が、ひとつ通り抜けた。


……決まった。


そんな空気。


のはずだった。


「なに決めるのー?」


チャイが、すぐに聞いた。


「まだ決めてないにゃ」


「えぇ!?」


リオンが思わず前のめりになる。


「じゃあ会議じゃないじゃん!」


「会議で決めるにゃ」


「順番おかしくない!?」


すでに雲行きが怪しい。


ルナが、そっと手をあげた。


「おやつの時間を増やすのはどうかな?」


その声はやさしくて、少しだけわくわくしている。


「賛成にゃ!!」


チャイ、間髪入れずに叫ぶ。


「まだ話し合ってないよ!?」


リオンが止める。


「それは重要事項にゃ」


ミルクが真剣な顔でうなずく。


「重要なの!?」


話は、あっという間に別の方向へ転がっていく。


その横で、マロンが小さくつぶやいた。


「……お昼寝の時間も……」


草を指先でなぞりながら、遠慮がちに。


「それも採用にゃ!!」


ミルク、即決。


「増やしすぎじゃない!?」


リオンが頭を抱える。


決まっているようで、なにも決まっていない。


ただ、どんどん増えていく。


「静かに」


そのとき、インクが口を開いた。


低く、落ち着いた声。


広場の空気が、すっと引き締まる。


「……目的が不明確だ」


「それっぽい……!」


リオンが小さくつぶやく。


インクは、視線を円の中心へ戻した。


「何を決めるのか、まず決めるべきだ」


風が、葉を揺らす。


その言葉だけが、きれいに残った。


「なるほどにゃ!」


ミルクが深くうなずく。


「じゃあ、“何を決めるか”を決めるにゃ!!」


「ややこしくなったよ!?」


チャイが、ぴょんっと立ち上がる。


草がぱさっと揺れる。


「じゃあ、ぼくは“おやつ”担当!」


「勝手に役職つくらないで!?」


ルナも手をあげる。


「じゃあ私は、お花!」


「もう会議関係ないよ!?」


マロンは、少しだけ顔を上げて言った。


「……ぼくは……見てる……」


その声は小さいけれど、どこか落ち着いていた。


「それ一番正解かも!?」


リオンが笑う。


円の中で、みんなが少しずつ近づいている。


そのときだった。


ぐぅ〜……


静かな空気に、はっきりと響く音。


全員の視線が、ゆっくりとチャイへ集まる。


チャイは、少し照れた顔でお腹を押さえた。


「……会議は……おやつにするにゃ」


ミルクが、真剣な顔で言った。


「結局それ!?」


リオンの声に、笑いが広がる。


円が、少しだけ崩れる。


でも、そのぶん距離が近くなる。


おやつを分け合いながら、自然と会話が続いていく。


「これおいしいにゃ」


「ほんとだ」


「この形、かわいい……」


小さな声が重なって、空気がやわらかくなる。


会議じゃない。


でも、ちゃんと“何か”が決まっている気がした。


インクが、ぽつりとつぶやく。


「……決まったな」


「なにが?」


リオンが聞く。


インクは少しだけ目を細めた。


「……こういう時間を増やすことだ」


その言葉は、静かで、あたたかかった。


ミルクがうなずく。


「それが一番大事にゃ」


風が、もう一度通り抜ける。


木漏れ日が、円の中で揺れた。


リオンは、くすっと笑う。


結局、なにも決まっていない。


でも、たしかに“いい時間”は増えた。


ネコネコランドの会議は、今日もまとまらなくて、にぎやかで――


それでもやっぱり、やさしく終わるのだった。

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