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ネコネコランドへようこそ  作者: 香月 深青
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第二十二話 とまらないにゃ!?くしゃみ大連鎖事件!

ネコネコランドの朝は――


本来なら、やわらかな光と、やさしい風に包まれて始まるはずだった。


石畳はほんのり温かく、花の香りが静かに広がっていく。


そんな穏やかな空気を――


「はくしょんっ!!」


ひとつのくしゃみが、見事にぶち壊した。


「びっくりした!?」


リオンは思わず振り向く。


その先で、チャイが鼻を押さえていた。


「……くしゃみ出たにゃ」


「それは見れば分かるよ!?」


思わずつっこむ。


そのときだった。


「はくしょんっ!!」


今度はミルク。


ぴくり、と王冠が揺れる。


「うつったにゃ!?」


「え、早くない!?」


さらに。


「は、はくしょんっ……」


ルナまで小さなくしゃみ。


風に揺れるみたいに、ふわっと体が傾く。


「ちょっと待って、連鎖してない!?」


リオンが慌てる。


その横で、インクが静かに目を細めた。


「……伝播しているな」


「言い方こわいよ!?」


その瞬間。


「はくしょーーーーんっ!!!」


ドゴォッ!!


チャイの特大くしゃみで、近くの木箱が派手に吹き飛んだ。


ころころと転がるリンゴ。


「威力おかしくない!?」


「止まらないにゃーーー!!」


チャイは鼻を押さえたまま、走り出した。


「くしゃみ出るにゃーーー!!」


「走らないでーーー!!」


ドドドドドッ!!


石畳に足音が響く。


またしても大暴走。


「はくしょんっ!!」


ドン!


「わあっ!?」


リオンに直撃。


「また!?」


「ごめんにゃ!!」


「今それどころじゃないでしょ!!」


その横で。


「はくしょんっ!!」


ミルクがくしゃみ。


ぴょんっ!!


その勢いで高くジャンプ。


「なんで跳ぶの!?」


「止まらないにゃーーー!!」


ルナも――


「はくしょんっ……!」


ひらり。


くるん、と一回転。


「優雅なくしゃみやめて!?」


通りはすっかり大騒ぎになっていた。


「なにごとにゃ!?」


「くしゃみ祭りにゃ!?」


驚くねこたち。


風に舞う花びら。


そして、その中に――


ふわり、と混じる白い粉。


その中で、インクだけが静かに立っている。


動かず、騒がず、ただ見ている。


「……原因は」


ぽつり、とつぶやく。


その視線の先。


風にのって漂う、細かな粒。


「花粉……?」


リオンが気づく。


「春にゃからな」


インクが短く答える。


そのとき。


「はくしょーーーーーーんっ!!!」


チャイの最大級くしゃみ。


――びゅんっ!!


強い風が巻き起こる。


白い粉が、一気に空へと流れていく。


くるくると舞い上がり、遠くへ、遠くへ。


しーん。


風が、すっと通り抜ける。


くしゃみの気配が、ぴたりと消えた。


「……止まったにゃ」


ミルクがぽつりとつぶやく。


「くしゃみ……出ないにゃ」


ルナもほっとした顔。


チャイは鼻をすすりながら、満足そうに言った。


「……勝ったにゃ」


「なにに!?」


リオンがすかさずつっこむ。


でも――


なぜか、みんな笑ってしまう。


さっきまであんなに大変だったのに。


くしゃみして、走って、ぶつかって。


それでも今は、ただ風が気持ちいい。


インクが小さく言った。


「……結果的に、解決したな」


「偶然でしょ!」


リオンは笑う。


青い空。


やわらかな風。


そして、少しだけ静かになった朝。


ネコネコランドの一日は、今日もにぎやかで。


ちょっと騒がしくて。


でもやっぱり、どこかやさしく始まるのだった。

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