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ネコネコランドへようこそ  作者: 香月 深青
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第十七話 大暴走!?お菓子フェスティバル!

にぎやか通りは、朝からいつも以上ににぎやかだった。


色とりどりの旗が風に揺れ、道いっぱいに甘い香りが広がっている。


ふわふわのわたあめの匂い。

焼きたてクッキーの香ばしさ。

とろけるチョコレートの甘い気配。


まるで通り全体が、お菓子の夢になったみたいだった。


「今日は特別なお祭りにゃ!」


ミルクが王冠をぴかりと光らせながら、誇らしげに言う。


「その名も――お菓子フェスティバルにゃーー!!」


「お菓子……フェスティバル……?」


リオンが目をぱちぱちさせる。


その横で――


「……天国だ……」


チャイが、すでに遠くを見ていた。


目の前には、信じられない光景が広がっている。


クッキーでできた小さな山。

きらきら光るゼリーの噴水。

くるんと巻かれたしっぽケーキが高く積み上げられたタワー。

そして――


とろり、と流れるチョコレートの川。


「……川だ……」


チャイがふらふらと近づく。


「チョコの……川……」


「ダメだよ!落ちるよ!?」


リオンが慌てて止める。


その時。


ミルクが堂々と前に出た。


「今日は――」


びしっ。


「全部、食べ放題にゃーー!!」


「やったああああ!!」


チャイ、爆発。


次の瞬間には、クッキー山へダイブしていた。


ばくばくばくばく。


「早い!?」


リオンが驚く。


ルナはわたあめの前で目を輝かせていた。


「ふわふわ……雲みたい……」


そっと手を伸ばすと――


ぼふん。


わたあめが大きく膨らんで、ルナを包み込んだ。


「きゃっ……!」


気づけば、ルナは真っ白のわたあめに埋もれていた。


「ルナ!?どこ!?」


「ここ……ふわふわ……」


声だけが聞こえる。


その様子に、マロンがくすっと笑う。


「見えない……」


小さな声。


でも、その笑いはやさしくて、あたたかかった。


その時だった。


「ふむ……」


静かにお茶を飲んでいる影がひとつ。


インクだった。


にぎやかな通りの端で、ひとりだけ落ち着いた様子で座り、カップを傾けている。


「……こういう日は、見ているのが一番面白い」


「参加して!?」


リオンが思わずつっこむ。


だが次の瞬間――


「いくにゃあああ!!」


ミルクがなぜか全力疾走した。


目指すは――チョコレートの川。


「ちょっと待って!なんで!?」


リオンの声もむなしく――


どぼんっ!!


ミルク、見事に落ちた。


「……甘いにゃ……」


顔だけ出して、ぽつり。


全身チョコまみれ。


「何やってるの!?」


リオンが笑いながら手を引っ張る。


その横では――


「ケーキタワー……崩れる……」


チャイが、すでに限界を超えていた。


ぐらり。


しっぽケーキのタワーが揺れる。


「ストップ!!」


リオンの叫び。


――間に合わない。


どさぁぁぁん!!


ケーキ、崩壊。


チャイ、埋まる。


「しあわせ……」


満足そうな声だけが聞こえた。


「もうダメだこの人」


リオンが笑いながらため息をつく。


その横で、マロンが大きく息を吸った。


そして――


「あははははっ!!」


声をあげて笑った。


お腹を抱えて、涙が出るほど。


チョコだらけのミルク。


わたあめに埋もれるルナ。


ケーキに沈むチャイ。


冷静にお茶を飲むインク。


全部が楽しくて、全部があたたかくて――


止まらなかった。


「こんなに……楽しいの……はじめて……!」


その言葉に、リオンの胸がじんわりとあたたかくなる。


ミルクがチョコだらけの顔でにやっと笑った。


「それはよかったにゃ」


ルナもわたあめの中から顔を出して、にこっと笑う。


チャイはケーキを食べながら手を振る。


インクは静かに目を細めた。


青い空の下。


甘い香りに包まれたにぎやか通りで。


今日もネコネコランドには、笑い声があふれていた。


それはきっと、誰かの心をほどく音。


そして、新しい「しあわせ」のはじまりの音だった。

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