12話
唯一神と一緒に魂を管理しようセンター(略してタマカン)
唯一神が世界を管理するために創りだした世界、管理者達からの要望を聞き入れた結果、文化レベル最高値である10にまで達した世界。
その世界を体験した者は「天国」だと誰もが考える理想の街がある。
そこは、ホワイトな環境で働ける職場と休日は遊び尽くすことができない程の娯楽があり、そこから適度な距離に設置されている居住区には生活の基盤が用意されている。
コアの手続きにより、ルーサレスの代行として選ばれたレイジはそのままルーサレスが割り当てられた汚部屋に住むことになった。
コアから自分が犯した罪について教えられ、しばらく凹んでいたレイジであったが、ダンプスペースの崩壊の時間も迫っているため、気分を一新して世界を救う努力をしようと決めた。(世界を救うってそんな大げさなことより、知り合ったデパリーやリーガ達のことを守りたいだけなんだけどな。)
《人族を根絶やしにしてもらえれば世界の崩壊は止まりますよ。》
「一応、俺も人族だし、はいそうですか。とは言えねぇわ。 それに、別のやり方があるんだろ?」
《少し回りくどいですがありますよ。》
「やるんなら、最大効率で全員救ってやるさ。 で、ここがタマカンか…(でっけぇビルだ…)」
-- タマカン 受付 ー-
「おはようございます。 ルーサレスの代行として来ました、レイジと言います。」
これぞ女神様、整った顔にブロンドの長い髪はお団子でまとめてある。
椅子から流れるような所作で立ち上がり、レイジに「おはようございます。レイジ様」とお辞儀して、顔を上げると豊満な胸がたゆゆんと揺れた。
目線をなるべく下げないようにしつつ、「魂管理部の業務をする場所」を訪ねるとスマホンを渡され、使い方を説明された。
「こちらをタップしますと、タマカン内部のナビが出ますので、行きたいところをスマホンに向けて発言してください。 その他の機能についてもナビに都度確認をお願いいたします。 では、今日も元気に頑張りましょう。」
まぶしい笑顔でレイジは見送られた。(こんなに行き届いた受付嬢がいる会社とかタイダノグループでも数えるくらいだな。)
-- 魂管理部 --
「ここか、失礼します。」レイジが中に入ると、ダンプスペースの各地が映像として映し出されたモニターと、パソコンのような装置が目に入った。
「完全に個室じゃんか。 ん?、メニュー画面? タッチパネルで食べたい物や飲みたい物が選べるのか、んで、あそこの扉がトイレで、隣に仮眠室。(すごい職場だな、こりゃ!)」
《食堂やカウンセリングルーム、医務室やレクリエーションルーム等の施設も充実しています。》
「そりゃ、ルーサレスもサボりたくなるか。」
《いわゆるホワイトな職場で、なぜサボるのでしょうか?》
「そりゃ、恵まれすぎてるからだな。 誰とも会わない、怒られない、基本的に魂が成熟するまで見守るだけ、さらに成熟しなくてもノルマがないからやりたくなければやらなくても自己責任だろ?」
《そうですね。》
「で、管理者に選ばれる基準は転生回数で、一定量の経験値があれば誰でもなれる。 ルーサレスみたいにサボり癖のある奴でも無条件に。」
《しかし、成績が悪ければ唯一神様から、管理する世界を取り上げられることもありますよ。》
「その場合は、どっかの世界に転生させられるだけだろ? ノーリスクのボーナスステージと思われても仕方ないわ。 そんな奴が管理する世界の生命体は最悪だけどな。」
《なるほど、飴と鞭ということですか。》
「そう、与えられすぎれば当たり前になる。 当たり前になれば刺激がないからつまらないんだ。 多少の不満は向上心を煽るためには必要なんだ。」
さてと…、レイジはスマホンの機能からナビを呼びだした。
「ここの仕事のチュートリアルと施設とかルール、働いてる他の管理者へのアクセス方法とか色々と教えてくれ。」
《主、よろしいのですか?》
(ああ、俺はまず説明書を読み込むタイプなんだ。 そこから出来ることを試行錯誤して最大効率を探す。)
-かしこまりました。 ………『カクカクシカジカ』
「がびょびょびょびょびょびょっ!!!!!」(そっか、そうだよね。 うん、コアと同系統だよな、スマホンのナビ……)
ちょっと仮眠室行ってくる、ふらふらとレイジは仮眠室に入り、ベッドに突っ伏した。(枕…くっさ。 残念女神…) だんだんと意識がなくなった。
□□□
ピリリリリリ♪ ピリリリリリ♪
(ん…、あ、そうか俺は寝てしまってたのか。)
ピリリリリリ♪ ピリリリリリ♪ ピリリリリリ♪
(なんか鳴ってる…、携帯いやスマホンは…、モニターのとこ置きっぱなしか。)
ふらふらと仮眠室を出ると、モニター画面に[ストリアス]と表示されている。
「誰だ?、はいはい、はーい、もしもし?」画面をタッチすると、スーツ姿の真面目なメガネ美人が映し出された。胸は慎ましいサイズのようだ。
『早く出なさいよっ!!「もしもし?」 あ、やっと出たわねっ! ルーサレスさん、貴女、私の世界から一番優秀な魂を借りるって言ってたけど、履歴見たら移動させてるじゃないのっ! あの魂はね!、あと一回で昇華する予定で育つの楽しみにしてたんだからね!! 普通、人から何かを借りるときって、もっと遠慮すべきだと思うの、だいたい貴女が……えっと、ごめんなさい、どちら様でしょうか?』
ストリアスは、いきなり画面の向こうで、一気にまくし立てて最後にルーサレスじゃないことに気づいてなんとか誤魔化そうとした。(ぜんぜん誤魔化せてないけども。)
「あ、どうもはじめまして、ルーサレス…さんの代行で管理者やることになりましたレイジと言います。 失礼ですが、貴女は?」
『(ルーサレスの代わり?あの子、何かやったの? レイジ、結構いい男ね。って、) レイジ・タイダノっ!?』
「あー、前世ではその名前でしたね。 今は、正式には『レイジ・ルーサレス』になってます。嫌だけど。」
『そうなんですね、あっ、失礼しました。 私はストリアスと申します。 前世のレイジさんのいた世界を管理していた者です。 本当は、ダンプスペースが落ち着いたら世界間転移で返して…いえ、戻ってきてもらうはずなのに、ルーサレスの管理下に置かれてしまったのですね。』見てわかるほど、ストリアスはしょんぼりした。
「(アイツ、借りパクしたのか。) あー、そうでしたか、ストリアスさん、前世ではご迷惑をおかけしました。」
『あー!、そうよ!! 貴方が死んだことでエラーの処理が大変だったのよ。 徹夜で浄化したせいで隈が取れなくて。 今週末の合コ……ごほんっ、とにかく大変だったのよ。』
「すみません、その自分の考えが至らず、ストリアスさんに徹夜させていたなんて…。」今度はレイジがしょんぼりする番になった。
『あ、もういいのよ。 たまにあることだし、後の処理も終わったから大丈夫。 それに、私の管理下から離れても、きちんとルーサレスの指導のもと、昇華して管理者になれたのなら何も言うことはないわ。 レイジさん、昇華おめでとう。(生意気な後輩だけど、やる気になったのね♪)』
(この人、後輩思いのめっちゃいい人だな。 ルーサレスには指導を受けるどころか、丸投げされたうえに、世界を放棄してとんずらこいてるとか言えない。)
「そ、そうですか。 ルーサレスさんの指導されていたとのこと、私も管理者になりたてですので、これから色々教えてくれると嬉しいです。」
『わかったわ。 レイジさん、よろしくね。 ところで、ルーサレスはどうしてるのかしら?』
ぐっ!「ええーっと…《引退して転生したと》 …引退して転生しました。」
『えっ! 引退って年じゃないし、管理者になってそんなに時間も経ってないはずだけど…。 よっぽど管理者の仕事が合わなかったのね。』
(なんか、勝手に納得してる。)《若手の管理者達からは、チョロリアスと呼ばれてます。》(それ、酷いな。 瘴気出そうな悪意だ。)
「あー、確かにやる気はなさそうでしたね。 あの、そろそろ仕事に戻りたいのですが…。」
『あら、話し込んじゃってごめんなさい。 ルーサレスが連絡取れなくなって心配だったの。 転生しちゃったんなら会えるのはずいぶん先になるわね。 それじゃ分からないことがあればいつでも聞いてちょうだい。 じゃ、頑張ってね!!』、ストリアスは笑顔で手を振りながら通信を切った。
「ふぅ、ルーサレスのこと聞かれるとボロ出そうだし、なるべくストリアスさんとは関わらないようにしよう。…《そう言いながら、人との壁を作り続け孤立していくレイジであった。》…だから勝手に付け足すな。 ぼっちじゃねぇわっ!」
レイジはナビから聞いたカクシカの情報を整理していた。
『なるほどねー、つくづくココって超高度文明なんだなぁ。 ダンプスペースをこの水準にするには何千年かかるんだろ?』
《この世界は特殊ですから。 文化レベルは知識を持つ生命体が増えないと上がりません。 他に管理している世界があれば異世界転移で、技術者を転送させたりとかできます。》
「転生だとどうなる?」
《主は生まれ変わって、時間の都合上、成長促進により18才になりましたが、通常は赤ん坊からスタートしますと、記憶が古くなりすぎたり、違和感を感じた家族から疎まれ、迫害されることが多いため、なかなか文化レベルを上げるまでの段階にたどり着きませんね。》
「そう上手くいかないのな。 浄化機能もあるけど、魔王とか瘴気の森をタップしても浄化エラーって出るし。」
《管理者の力がまだ足りていないのです。 ちなみに、世界の中に入って浄化する場合は、主の力でも十分可能です。》
「それとー、ダンプスペースの直近の履歴見たんだけど…。」
《さて、魂のポイントについて説明しましょう。》
「待て待て、置き手紙の内容もそうだけど、ギルドでの発言とかさ、なんで人を陥れるかなぁ?」
《単なるストレス発散です。 自殺者はエラーを起こすため、私の中で主はくそ野郎です。》
「ほんとっ、すんませんっしたっ!! 俺が悪かった。悪かったから、もう少し言い方にオブラート包んでほしいな。切に願う。」
《冗談です。》
「なにがっ!?、どこの部分が冗談なの? もう、心えぐられすぎて辛い、仮眠したいレベルっ!!」
コアは面倒なので、無視することにした。(ナレーターも酷いっ!?)




