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微子の憂鬱外伝 紂王伝  作者: 日和見


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皆でお泊まり

紂王伝 第94話「たんちゃん、ちょっといいかしら?」お昼時、嬴風えいふうお姉様から手招きされて呼ばれた。「はい、なんでしょうか?」と、私はすぐに手際よくお姉様の元へと駆け寄る。そこで提案されたのは、思いもよらない嬉しい内容だった。――今夜、旦那様のお屋敷に、みんなでお泊まりに行かない? というお誘い。「はい! よろしくお願いします!」私は胸を躍らせ、弾んだ声で即答していた。ふふ、家族みんなでお泊まりだなんて、今からとっても楽しみ。……ん? でも、待って。十一歳になって最近すっかり恥ずかり屋になっちゃった禄父ろくふくんは、ちゃんと了承してくれたのかな?私が不思議そうに首をかしげると、お姉様は悪戯っぽく微笑んだ。「そうなのよ、あの子は最初照れていたわ。でもね、『陛下が提案してくださったのよ』と伝えれば、きっと大人しく首を縦に振るはずだから大丈夫よ」なるほど、お姉様たちの作戦か。何より、これは大好きな旦那様が言い出してくれた提案なのだ。そう思うだけで、旦那様が夕方に政務から帰ってくるのが、いつも以上に待ち遠しくて仕方がなくなってしまった。正式に夕方の連絡が届き、私たちは揃って玄関で旦那様を出迎え、まずはお姉様の屋敷で温かい帰宅のお茶を頂く。でも、今日の特別な時間はここからだった。今夜は旦那様のお屋敷へ移動して、そこで皆で賑やかに美味しいご飯を食べ、時間を忘れて他愛のない雑談に興じたのだ。楽しい時間が過ぎていき、だんだんと就寝の刻限が近づいてくる。(……本当に、みんなで一緒に寝るんだよね?)私は胸の奥をトクンと弾ませ、期待と少しの緊張でドキドキしながら、その時を待った。「さあ、夜も更けてきた。そろそろ行こうか」旦那様の優しい声に促され、私たちは新しく調えられた特大の寝所へと移動した。特大の敷布団の上に、私と禄父くんが内側に挟まれるように並び、その両外側をお姉様と旦那様が包み込むようにして横たわる。「これなら寒くないだろう?」「みんなで遠出のお祭りに来たみたいで楽しいですね、父上!」薄暗い部屋の中、みんなで並んでおしゃべりを交わす。旦那様の頼もしい気配。お姉様の優しい匂い。隣で寝返りをうつ禄父くんの息遣い。みんなの幸せな声によって、いつの間にか、私はおしゃべりの途中で心地よい眠りへと落ちていた。うつらうつらとする意識の境界線で、私はただ、胸の奥でそっと呟いていた。(ああ……暖かいな……)今、私は世界で一番大好きな人たちの温もりに守られている。その確かな幸せだけが、私の傷ついた心を、優しく優しく満たしてくれていた。

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