叔父上
紂王伝 第8話 私が王太子になってから、宮廷の空気は一変した。なによりも辛かったのは、あの大好きだった微子啓兄上や、微仲衍兄さんとの間に、どこか冷ややかな「壁」ができてしまったことだ。例え立場が変わろうとも、聡明な兄上たちに対する私の尊敬の念は、何一つ変わってはいない。だが――それも仕方がないことなのかもしれない。兄上たちから見れば、ある日突然、弟に王位を奪われたようなものなのだから。私の存在そのものが、兄上たちの心を傷つけているのだ。失った絆の代わりに、私に近づいてきたのは比干さまと箕子さま、二人の叔父上だった。私は、自らの胸の内にある改革の意志を、叔父上たちに包み隠さずすべて打ち明けた。父上と同じように、叔父上たちからも最初は厳しい忠告を受けた。それがどれほど危険で、どれほど多くの敵を作る道なのかをとくとくと説かれた。だが、私の意志が微塵も揺らがず、すでに退路を断って覚悟を決めていると分かると――叔父上たちは、顔を見合わせて苦笑した。「……しょうがないな。可愛い甥の頼みだ」「これからはとんでもない苦労をすることになるが……我らも覚悟を決めよう。受徳、お前がその道を行くというのなら、我らは全力でお前を支える。迷わず突き進め」そう言って、力強く私の背中を押してくれたのだ。心強い味方を得た。それでもなお、古い伝統にしがみつく家臣たちの反発は激しく、国は思うようには動かない。生贄の因習も、血統の特権も、生半可な手段ではビクともしないほど根深くこの国を蝕んでいる。(生半可な改革など、もう通用しない。ならば――)戴冠したその後に、私が取るべき道は一つしかなかった。どれほど血を流そうとも、どれほど恐れられようとも、王の絶対的な権力で、すべてを力尽くで捻じ伏せるしかない。例えその結果、私が歴史の果てで「昏君」――最悪の暴君と呼ばれ、末代まで呪われることになろうとも構わない。この手段でしか、国を、民を豊かにできないというのであれば、私は喜んで鬼になろう。玉座の影で、私は最悪の手段を使う決意を固めていた。すべては、私を信じて未来を託してくれた父上と、叔父上たちのために。




