表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
微子の憂鬱外伝 紂王伝  作者: 日和見


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/99

処置

紂王伝 第51話 ひとまず、狂った暴君としての演技は成功したようだった。執務室に控える近衛兵たちの顔が、先ほどから少し強張っているのが見て取れる。私が希代の暴君へと変貌したと、そう信じ込んでいる証拠だ。私は冷え切った声音のまま、彼らに告げた。「……隊を預かる者を数人、ここへ呼べ」指示を出す私の胸中を満たしていたのは、身内を守るための悲壮感だけではない。激しい怒りもまた、確かに存在していた。私が治めるこの王都・朝歌において、この私が正式に滞在を認めた国賓を、裏から拉致して惨殺するなどという暴挙。王の権威への明確な泥塗りに他ならない。(啓兄上と妲己以外に、今回の件に関わった不届き者ども……王族の血を引かぬ者たちは、一人残らず死罪とする)私の目が届く場所でそれほどの悪事を働いたのだ。相応の覚悟はあったのだろうな?もちろん、真の主犯である二人を直接裁くことはしない。だが、放置すれば二人は調子に乗り、また同じような馬鹿な真似を繰り返すだろう。だからこそ、私からの明確な『警告』を突きつけてやる必要があった。間もなくして、親衛隊の幹部たちが揃って執務室へと入室し、私の前に傅いた。「よく聞け。此度の件で、事情を知った上で手伝った共犯者は、三族(親族すべて)根絶やしにせよ。事情を知らずにただ関わってしまっただけの者は、本人一人の処刑で構わぬ」私の冷酷な命令に、幹部たちの背筋が目に見えて震える。「……ただし、この任務はくれぐれも内密に行え。この件に関わった人間には絶対に気付かせるな」もしこれが公になれば、下問する前に露見する、私は一息に言葉を紡ぐと、フッと残虐な笑みを顔に貼り付けた。「処刑した奴らの首は、綺麗に洗って箱に詰めよ。そして……兄上と妲己へ遣わす『褒美の財宝』の中に、取り混ぜて下賜してやるのだ」「はっ……! 仰せの通りに!」これ以上ないほど悪趣味な褒美。だが、これこそが「私はすべてを知っているぞ」という、二人に対する私からの最大級の脅迫であり、警告だった。幹部たちが青い顔で退室していく。静まり返った執務室で、私は小さくため息を漏らした。(これに懲りて、あの二人も少しは大人しくなってくれれば良いのだが……)自らの手を血に染め、暴君の泥を被りながら、私は迫りくる商王朝崩壊の足音を、少しでも遠ざけようと必死に足掻いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ