表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
微子の憂鬱外伝 紂王伝  作者: 日和見


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
48/97

あら、聖人じゃ無かったの?

紂王伝 第48話 羑里の薄暗い檻が見渡せる特等席に、私は身を潜めていた。仕掛けたお仕置きの結果がどちらに転ぶのか、今から楽しみで胸の動悸が止まらない。「やぁ、妲殿、お待たせしました」見つからないように、啓叔父さんが小声で私の隣へと滑り込んできた。その顔には私と同じ、意地の悪い笑みが浮かんでいる。「あら、啓叔父さん。ということは、伯邑考は?」「ええ。聖人を試す最高の素材として、とっても美味しい『羹』になっていただきましたよ」それを聞いて、私は胸の内でくすくすと笑った。ふふ、ざまあみろ、だわ。何でもお見通しの『聖人』様のくせに、自分の愛しい息子が殺されるのを止めることも出来なかったなんて。さあ、目の前に出されたお料理の正体に気付くかしら?それとも何も気付かずに、そのまま食べちゃうのかしら?私はお皿が届く瞬間を、今か今かと息を潜めて待ち構える。――ああ、来たわ。隣の啓叔父さんも、楽しそうに目を爛々と輝かせている。そして、檻の中の姫昌は、何ひとつ気付かない様子でその羹を口へと運んだ。一滴も残さず、美味しそうに。「食べた、食べた! ねぇ啓叔父さん見た!? 今の見た!?」私は嬉しくなって、隣の啓叔父さんと手を取り合って、声を殺しながらはしゃいで笑った。すると、啓叔父さんはもう我慢ができなくなったのか、私の制止も待たずに姫昌の前の前へと姿を現した。顔をこれでもかと歪め、歪んだ笑みを浮かべて言い放つ。「くっくっく……どうだ姫昌、その羹は美味しかったか? ――それはな、お前の最愛の息子、伯邑考の肉だ!」「な、何だと……!? 邑考、邑考ォォォ!!」真実を告げられた瞬間、姫昌は突如として激しく取り乱した。床に這いつくばって、床を血が出るほどに叩きながら泣き叫んでいる。髪を振り乱し、見っともなく涙と鼻水を流して絶叫するその姿は、かつての『聖人』の高潔な面影など微塵もなかった。ただの、哀れで無力な老いぼれだ。「ははは! 何が聖人だ! 我が子の肉とも知らずに貪り食うとはな! 実に見事な見せ物だったぞ!」啓叔父さんは完全に勝ち誇り、胸のすくような満足感に満たされてその場を立ち去っていく。「あはは! 本当にいい見世物だったわ!」旦那様をいつも困らせるから、こんなひどい目に遭うのよ。父親の化けの皮も剥げたし、悪い奴にお仕置きもできた。すっかり満足した私は、飛び散る涙と絶叫を背に受けながら、軽やかな足取りで自分の館へと帰ることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ