反感
紂王伝 第38話:孤独な王の背中私の下した沙汰により、西伯・姫昌は親衛隊員からなる近衛兵たちに連行されていく。その背中が完全に謁見の間から消えるまで、場には重苦しい沈黙が流れていた。ふと周囲を見渡すと、家臣たちの反応は様々だった。宰相の比干叔父上は、最悪の事態である処刑を免れたことに、ひとまずほっと胸を撫で下ろしている。一方で、北方を治める箕子叔父上は、少し厳しい目で私をじっと見つめていた。無実の諸侯を無理に留め置くという私の強引な裁決に、少し怒っているのかもしれない。そして、この状況を裏で仕組んだはずの啓兄さんまでもが、なぜか浮かない顔をして俯いていた。比干叔父上の言う通り、無実の諸侯を殺そうとしたり、こうして幽閉したりする私のやり方には、きっと皆が反対だったのだろう。誰もが私を、理不尽で冷酷な暴君だと思っているに違いない。だが、どれほど周囲から怨嗟の声が満ちようとも、私はこの道を進むと決めたのだ。今更、反省などするつもりはない。商の国を守るため、身内を、そして兄を守るためであるならば、私はいくらでも悪逆非道を行おう。たとえ誰にも理解されず、孤独に苛まれようとも、すべての泥を被って国を維持すること――それこそが、王の果たすべき責任だ。「後は任せる。私は奥に戻る故、引き継ぎは頼む」私はそれだけを冷淡に言い残すと、まだ何か言いたげな家臣たちをその場に置き去りにして、玉座から立ち上がった。張り詰めた廷臣たちの視線を背中に浴びながら、私は一人、静かな奥の館へと歩みを進めた。そこには、私が守るべき温かな家族が待っているはずだった。




