朝歌への旅路
紂王伝 第25話 朝歌への道中が長いことから、まだ幼い私の身体を労るようにと、移動には輿が用意された。有蘇国の住み慣れた土地を離れ、西へ、西へ。進むにつれて、足元の街道は徐々に美しく整備され、その幅を広げていく。豊かな自然の中に一本の太い線のように伸びる街道。時折、点在する邑落や賑やかな街へと続く分かれ道が現れ、私たちは休憩や宿泊のためにそこへ立ち寄った。そこで出会う、商の偉い人々――。彼らは皆、輿に乗る私や付き従う者たちを、蔑むような冷ややかな目で見ていた。「人方の娘か」「東夷の野蛮人が、貢物としてやってきたそうだ」ひそひそと囁かれる、容赦のない言葉。胸の奥が、きゅっと締め付けられるように痛む。――敗者とは、ただ生き残るためだけに、これほどまでの辱めを受け続けなければならないのだろうか。そんな理不尽な悔しさと孤独に耐えながら、どれほどの時が流れただろう。長い、本当に長い旅路が、ようやく終わりを告げようとしていた。「姫様、あれを……!」侍女の声に促され、輿の御簾をそっと持ち上げる。眩しい光の向こうに、これまで見たこともないほど巨大で、圧倒的な威容を誇る城壁が姿を現した。商の首都――朝歌。私が命を捧げるべき侵略者の王が待つ、恐るべき都が、すぐ目の前まで迫っていた




