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微子の憂鬱外伝 紂王伝  作者: 日和見


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由縁

紂王伝 第15話 増大した税収を手に、私はついに次なる大改革へと舵を切った。国が豊かになった今、私に必要なのは古い前例を繰り返すだけの老人たちではない。私が掲げる新たな政策を、迷わず、迅速に実行に移せる手足――「新たな家臣」たちであった。私は国を挙げて、広く新しい人材を雇い始めた。そこに血筋の貴賤は関係ない。ただ、実務をこなせる「能力」さえあれば、平民であっても容赦なく抜擢し、重職へと就かせたのだ。当然、宮廷の古い家臣たちの反発は、これまでにないほど激しいものとなった。「陛下! 平民のごとき卑しき者たちを宮廷に招き入れ、重用するなど、ものの道理が通りませぬぞ!」「王朝の品格を貶めるおつもりか!」口を開けば、身分が、伝統が、血筋が。彼らのその言葉を聞くたびに、私は心の底から冷ややかな呆れを禁じ得なかった。――本当に、話にならんよ。(我らとて、人類が発祥したその瞬間から貴族であったわけではあるまいに)遙か昔、先祖たちが戦で多大な功績を挙げたからこそ、新しい氏族が生まれたのだ。その子孫たちに英才教育を施し、次代を担うに足る「能力」を担保し続けてきたからこそ、彼らは重用され、支配者としての特権を許されてきたに過ぎない。血筋そのものが尊いわけではないのだ。尊いのは、国家を背負うに足る圧倒的な能力と、それに伴う重い「責任」である。義務を果たさず、能力も磨かず、ただ親の七光りで椅子にふんぞり返っている奴らに、国を動かす資格などあるはずがない。何故、これほど単純な道理が、彼らには理解できないのだろうか。私が新しい若者たちに実務を任せるようになると、古い家臣たちは「自分たちの既得権益が奪われる」と被害妄想を膨らませ、陰で私への呪詛の言葉をさらに強めていった。「神を畏れぬ暴君め。平民を優遇し、身内の同族を排斥するとは……!」背後から聞こえる老害たちの怨嗟の声を、私は鼻で笑い飛ばした。お前たちがどれほど喚こうが、私は足を止めない。この国を真に強くし、民を豊かにするためならば、血統という名の傲慢な特権ごと、私はこの朝歌ちょうかの宮廷を塗り替えてみせる。

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