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微子の憂鬱外伝 紂王伝  作者: 日和見


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成果

紂王伝 第130話 子期(しき)が九(きゅう)国への追撃戦を終え、無事に朝歌(ちょうか)へと帰還してきた。私の指示通り、決して無理な深追いをしなかったため、我が商(しょう)側の被害は極めて軽微に抑えられていた。それでいて、敗走する敵の残党を効率よく掃討し、程々の戦果を上げて戻ってくるあたりは、流石の一言に尽きる。此度の追撃により、九国の兵士およそ二千人を捕虜として大量に連行してきた。ほんの数年前の商であれば、これほど大量の異民族の捕虜は、祭祀の度に神へ捧げる生贄(いけにえ)の供物として容赦なく惨殺されていただろう。だが、私が人身御供の悪習を廃止した今は違う。彼らには朝歌近郊の未開地の開墾作業や、公道の土木工事の労働力として従事してもらう。日々の働きぶりを精査し、評価が一定以上に達した者は、定められた年数を経たのちに奴隷の身分から解放する法を調えてある。また、今回に関しては、これから行われる新九侯との和解交渉の進展次第では、人質交換としてすぐに国元へ解放される可能性もあった。「流石は期だ。実に見事に任を果たしてくれたな」「ハッ。恐悦至極にございます」私が本陣にて直々に賞賛の言葉をかけると、期は引き締まった面持ちで深く頭を下げた。私は即座に、控えていた文官の官吏に命じて、あらかじめ用意させていた莫大な褒美を運ばせ、彼の前に下賜した。この財貨や物資は、すぐさま子期の手によって此度の戦で汗を流した配下の将兵たちへと公平に分配される。兵たちが手にした褒美は朝歌の市場へと流れ、莫大な富の循環を生み出すのだ。遠征にかかる膨大な軍費の総額と比べれば雀の涙ほどとはいえ、一部の頭の固い家臣たちが「無駄な出費だ」と騒ぎ立てるほどの損失では決してない。後日開かれる朝議にて、九国に対する正式な討伐軍の派遣案が可決される予定となっている。遠征軍の総指揮官は、事前の内定通り子戞(しがつ)で決まりだ。太行山の西という気が遠くなるほどの遠隔地へ、本隊と輜重隊を合わせて計四万もの大軍を送り出すのだ。補給線の維持や軍費の工面を巡り、またしても宰相の比干(ひかん)叔父上や、内政の財務を預かる費仲(ひちゅう)たちが、頭を抱えて激しく悩むことになるのだろう。(――だが、それも商王朝の威信と北西の防波堤を守るためだ。仕方あるまい)私は彼らへの申し訳なさを少しだけ胸に抱きながら、信頼する有能な臣下たちへ全幅の信頼を寄せ、次なる国家規模の政治劇へ向けて静かに決意を固めるのだった。

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