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三十

「それでミヤさんは今回、【灯台】と一緒にイベントに挑戦するんですか?」

「そうですねぇ。

 あ、トイナさんも一緒にイベントしますか?」


 次の日、朝からゲームをプレイしていたミヤ。

 ミヤはログインしてから、馬小屋に向かった。

 そこにはトイナが待っており、二人は出会うなり、馬小屋の中に入っていった。


 当然、馬小屋に入ったのならば、待っているのは戦い。


「いえ、私は今回は【四天王】に挑むので」

「【四天王】……。

 サライにおいて挑んではいけないプレイヤー達、ですよね?」


 二人は【白兵戦】に入り、戦っていた。


 今回は二つ名持ちのような突飛な存在はいない。

 そのためか、ミヤとトイナのいるチームに向かっていくるんものは、その尽くが斬り伏せられていく。


 トイナはその騎士のような出で立ちと、見えない刀、さらには華麗な剣筋によって、危うげなく戦っている。


 一方のミヤは、その全ての斬撃を紙一重で躱す。

 そうして繰り出されるのは、トイナとは正反対の、型に全くはまらない技で斬り伏せていく。


「今回は確実に出張ってきますからね。

 やれるうちにやっておきたいです」

「やれるうちに?」


 そんな二人は、襲いかかってくる敵に対処しながらも、悠々と話している。


 もちろん、ミヤはヒデヨシのことに関して何も話していない。

 たまたまルイと出会ったと話している。


「いえ、リアルのこともありますし、このゲームだってずっとサービスが継続されるとも限りません。

 そう考えると、ってことですよ」

「あはは……私始めたばかりですよ……」

「あっ、すいません……。

 私失言でしたよね」


 口元に手をあてながら、失言だったと謝るトイナ。


 ミヤはその様子に苦笑いしながら、


 刀をトイナに向かって投げた。


 トイナは首を傾げ、その刀をギリギリで躱す。

 避けられた刀は、トイナの背後の敵を貫く。


「あの……私がフォローすること計算に入れないでくれますか?」

「あはは、それくらいにミヤさんのことを信頼しているんですよ」


 あははと笑うトイナ。

 その様子にミヤはため息をつきながらも、能力を解除し、二刀流になる。


 少し頰を膨らませた様子のミヤ。

 そんな様子に、トイナは話を変えようと、


「それで、【灯台】の方達とは仲良くなれそうなんですか?」

「え」

「ほら、【灯台】って同盟ですから、ミヤさんが一人だけ入るっていっても、馴染めるのかなって」

「……あー、それなら心配いらないですよ」


 ミヤはトイナの言葉に苦笑いをしながら、昨日のことを思い出す。


「私、なんかチャチャさんに好かれちゃったみたいで……」

「チャチャさん?」

「あ、分かりやすくいうと、【毀滅オーガ】でしたっけ ?」

「あっ」


 トイナはミヤの言葉に、色々察する。

 【灯台】の【毀滅オーガ】といえば、好戦的で野蛮。

 基本的に実力が頭一つ抜けているプレイヤーにしか噛みつかない。

 弱いものには興味がなく、己の同盟のpれいやーにさえ冷たく接するという噂。


「戦って、本気を出させたらしいんですよね、私」

「それは……たしかに噂どおりだったら好かれるはずですよねぇ」


 だがしかし、そんな本人像とは裏腹に、自分と志を同じくする人間や、実力を認めた人間には、とことん仲良くするという。


「私も帰ってからチャチャさんのこと調べて分かりましたよぉ……」


 ミヤは疲れたという表情をしている。

 ミヤだって、当然人に好かれて嫌ということはない。

 それにもちろんチャチャのことを嫌っていうわけではない。


 距離感が近いのだ。


「あれじゃあ唇奪われますよ、いずれ」

「あはは……」


 チャチャは他人との距離感が独特で極端である。

 好きな人にはとことん近く、嫌いな人間にはとことん遠い。


「ま、嫌われるよりかはマシじゃないですか」

「……あれが完全な好意でやっているってのが避けがたい理由なんですけどね……」


 トイナは最期のミヤの発言を聞かなかったことにして、またも懲りずに接近してくる敵を迎え撃った。



☆☆☆☆☆



「じゃあ、ミヤさん、また!」


 トイナはミヤと何回か『白兵戦』を行い、その全てに勝利した後、別れを告げた。


「よっ」


 トイナが向かった先は、茶屋。

 このゲームにおいて戦うことと無関係なこの場所は、古い時代の茶屋を参考にしている。

 今の時代にはない建物だが、どことなく懐かしさを感じるこの建物はゲーム内では人気の場所である。


 そこにトイナがたどり着くと、そこには先客が待っていて、


「……」

「あー、無視は心に刺さるなぁ……」


 先客……ヒデヨシは、トイナからの冷めた対応に、苦笑いを浮かべていた。


「要件は?」

「ま、そう急くなって」


 ヒデヨシはトイナの急かすような対応を受けながらも、オーダーを行う。

 この茶屋はゲームの中でありながら、飲食を可能とする。

 しかし、当然現実で食べ物を食べているわけじゃないので、腹は減ってしまう。

 そのため、基本的に軽食しか用意していないし、食べれる量にも制限が存在する。

 

 ヒデヨシが頼んだのは、ぬるめのお茶とみたらし団子。


「これだったよな、よく頼むの」

「そうだな」


 トイナは短く返答し、ヒデヨシから受け取った。

 トイナは一口食べて、少し微笑む。


「亜朝さん、元気?」

「……元気だ」

「そっか」


 ヒデヨシの質問に、トイナは短く答える。


 「ルフレさんは?」

「あー……元気だよ」

「そっか」


 トイナの質問に、ヒデヨシは苦笑いしながら答える。

 トイナはお茶をすすった。


「トイナ……亜朝さんのことなんだけど「何?」……ごめん」


 ヒデヨシの言葉に被せるようにして返答するトイナ。

 生まれる空白。


「次のイベントが終わったら、俺はイベントを行う」


 黙って聞いているトイナに、ヒデヨシは重苦しい口を開く。


「亜朝さんとの……いや、【剣聖】達と、決着をつけたい」


 トイナはその言葉に、しばらく黙る。


「俺は、【羽柴】としてではなく、ヒデヨシとして、その戦いで決着をつける」

「…………それで、報告は終わり?」


 トイナは冷たい視線をヒデヨシに浴びせる。

 しかし、その瞳の奥には、うっすらと炎が帯びているようにも思える。


「それで、今回のイベントでお前にはミヤ、というプレイヤーのそばについてやって欲しい」

「……なんでここでミヤの名前が?」


 ヒデヨシは、当然来るであろう質問に、


「ミヤは、俺がゲームに誘った」

「そっか……」


 トイナは、少し残念そうにため息をつく。


「でも、トイナのことに関しては、何も話していない」

「え?」

「もしお前が、ミヤが俺が仕向けた人間だ、なんて思ったら否定しておく。

 ミヤは、自分の意思で、トイナと一緒にゲームをプレイしているんだ」


 トイナは、ヒデヨシの言葉にホッとした。

 そんな様子を見たヒデヨシは、続けて、


「それで次ののイベントでは、公平で、信頼してるやつの目が欲しい。

 そこで、ミヤだったら、って考えてる」

「……うん」


 トイナの冷たい様子は既になく、ヒデヨシの言葉に頷く。


「それで、三ヶ月後のイベント……三周年のイベントで、俺は『三銃士』を、斬る」


 ガタッ

 トイナが驚いた顔をして、立ち上がる。

 その顔には、様々な感情が見受けられた。

 そんなトイナの表情に、ヒデヨシは優しく笑いかけ、


「そうだ、お前も出ろ」

「私も……出れる?」

「あぁ、もう決着を着けよう」

「……できるの?」

「もう話はつけた」


 トイナは、力なく茶屋の椅子の座り込む。

 ヒデヨシも、力が抜けたように、大きく息を吐いた。


「勝てるの?」

「分からん。

 けど、三ヶ月後って指定されたから、確実に本調子に戻してから来る可能性は高い」


 トイナは、ヒデヨシの言葉に、あの人らしいな……と苦笑いしたが、


「……それでミヤの側に着くって、何か関係があるの?」

「うーん…………」


 ヒデヨシは、トイナの言葉にしばらく考えてから、


「未来のため、かなぁ」


 不思議な返答をした。

メモ書き程度の情報。

亜朝とトイナは、ーー関係

【羽柴】、【猿】はーーーー

『三銃士』は今のプレイヤーの80パーセントが知らない。


サムライオンラインとは?


なぜこのゲームは作られたのか。

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