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十九

少し更新が遅れました、再開します。

 【真夜中】


 『夜中』


 これらは繋がりの深い言葉であり、切っても切り離せないものである。


 まず『夜中』


 これは一人を指す単語ではない。

 グループの名称である。

 構成人数は四人。


 それぞれ夜中に関連して、【上弦】【下弦】【半月】【満月】というプレイヤーネームである。


 この四人の特徴とするならば、その極端とも言えるプレイ時間だろう。


 ゲーム時間で夜の時の、しかも月が登っている時にしかプレイをしない。

 しかもイベントには一切参加しないという謎の縛りも設けているという。

 その理由は本人たちしか知るよしのないことである。


 だが、一つだけわかっていることはある。


「強いです」

「あの人たちがですか?」

「えぇ、イベントには一切でないという徹底ぶりに関わらず、ここまで知名度があるのはあり得ないことです」

「それは厄介そうですね」


『夜中』との衝突まで秒読み。

 トイナはミヤに情報を共有していた。

 ミヤは苦笑いしながら集中していく。


「でも、それ以上に」

「……それ以上に?」


 トイナが少しこぼした言葉にミヤは問いかける。

 だが、トイナは少し考えた後、なんでもないと返す。


 ミヤは気になったが、そちらに意識を割く余裕はもうない。


  『夜中』が、迫る。


『夜中』の隊列は前に二人、後ろに一人、そして真ん中に一人。


 一番先頭の二人がミヤに迫る。

 そこでミヤの目の前に一人の影。


ガキィン!


 刀同士の衝突。

 ミヤの目の前に現れたトイナは、その刀で二人の剣を受け止めている。


 だが、見るからにその光景は不自然である。


 トイナの刀は見えない。


 だが、トイナの手には刀が握られているように見える。

 さらにそれが斬撃を止めているようにも見える。


 これがトイナさんの刀。


 ミヤはそんな考え事をしながら、トイナの横を器用に避け、前に出る。


 下からの袈裟斬り。


 死角からの攻撃。

 だがミヤが見たのは、後ろに飛び去って後ずさりする二人の敵の姿だった。


「あら?」

「……どうしました、【上弦】【下弦】」


 どちらかには当たるはずだった斬撃を躱されたことに、二人は違和感を覚えた。


 【上弦】と【下弦】と呼ばれた二人は、口元まですっぽりと隠れる頭巾をかぶっている。

 だがそれ以外は特徴はない。

 むしろ二人が同じ格好をしているため、どちらがどちらかわからない。


「『剣聖』お目にかかれて光栄」

「さらには無名の少女も、先ほどの人たちは素晴らしい」

「私たちと、刀を交えてはくれぬだろうか」

「私たちと、合間見えてはくれぬだろうか」


 どちらがなにを話しているのか判別つかない。

 ミヤはどうするかと思い、トイナをちらりと見る。


 そこには見えない刀を構えるトイナ。


 トイナから感じるのは、戦意。


「いざ、尋常に」

「……お願いします」


 ミヤはその様子に、静かに【上弦】と【下弦】に返事をする。


 刀の背に手を触れる。


 すると、ミヤの両手には二つの刀が握られている。


『無銘金重』

『和泉守藤原兼重』


 その刀は特に変わったところはない、ただの打刀。

 そのやけにしっくりくる二振りの刀を握ったミヤは、構える。


 体は半身に、前に『無銘金重』、後ろに『和泉守藤原兼重』。


 視線の先に切っ先を合わせるように構える。


 そして、【上弦】と【下弦】はそれぞれに襲いかかった。


 どちらかはわからないが、二人が刀を抜くと、その刀身が薄く光っているのが見えた。

 ミヤは相手の刀について情報がないため、念のために刀を躱す。

 バックステップで間合いを出る。


 追撃が来るかとミヤが身構えるが、相手は間合いを詰めようとしない。

 ミヤが不審に思っていると、トイナの方から剣戟の音が聞こえる。


 あちらの方も同様に、相手は距離を取ろうとする戦い方をしている。

 だがそれをトイナが許さないと間合いを詰めている。


 その様子を見て、ミヤは思考する。


 距離を取らせないようにしている。

 それに当然トイナさんは『夜中』について知っていることも多いはず。

 なら、どうして間合いを詰めているのか。


 そこまで思考したところで、襲いかかってくる。

 ミヤは避けるのではなく、打ち合いを選択。

 『無名金重』の相手の刀を受け止める。

 しかし、相手は両手で刀を握っている。


 当然、片手で両手と打ち合うことはできない。

 そこでミヤは円を描くように相手の刀を受け流し、『和泉守藤原兼重』で切りつける。


 しかし、相手は刀の受け流しを悟り、刀を引いている。

 そのため『和泉森藤原兼重』は受け止められる。

 しかし、刀を引いたということはミヤのもう一方の刀も空いているということと同義である。


 『無銘金重』が相手に襲いかかる。


 身を逸らし間一髪でそれを躱した相手は、またも距離を取る。

 ミヤは追撃を図る。

 二つの刀でいくつもの斬撃を与えていく。


 だが、そのことごとくを躱される。


 流石。

 そんな言葉がミヤの頭の中に受かび上がる。

 こんなにも刀が相手に届かないことがあるのか。

 ミヤは感嘆した。


 悔しさはない。

 むしろ清々しささえある。

 始めたばかりでかなわないとは思っていたが、ここまで顕著に出るものなのか。


 そして、気づく。


 あれ、あの刀、さっきより光が強く……


 その瞬間ミヤは刀をクロスさせ、自分を守る。


 衝撃、視界の高速移動。


 荒野の土煙を撒き散らせながらミヤはゴロゴロと転がっている。

 咄嗟に後ろに飛ぶという判断のお陰で、大きく距離は取れた。


 が、


「えっ」


 呟きを残し、ミヤは転がる。

 理解が追いついてはいないが、勢いのまま立ち上がり、刀を平行に構え、


 上からの衝撃。


 だが、さっきよりは耐えれるものになっている。

 足にかかる衝撃をなんとか殺す。

 次の瞬間には、目の前に切っ先が現れる。

 体を後ろに逸らす。


 鼻先に赤い光の線が走った。

 食らった。

 だが軽い。


 ミヤは即座に構え直す。

 今度は体を前に向け、刀で屋根を作るように構える。


 振り下ろしたはずの刀は、もうすでに上段に構えられている。

 その攻撃にミヤは刀をそのまま上に持ち上げ、クロスさせた状態で受け止めようとする。


 先ほどのような衝撃ではない。

 そう判断したミヤは、受け止めた刀を体の横に逸らす。

  そのまま相手へと間合いを詰め、クロスした二振りを相手に向かって、振り下ろした。



☆☆☆☆☆



『あー、負けちゃったかー』


 そうして、ミヤは倒されてしまっていた。

 あの瞬間、相手は大きく飛び上がった。

 そうしてミヤの刀を避ける。

 それと共に空中で体を一回転させ、ミヤの頭から体を半分に分けるように斬り下ろした。


 まるで雑技団かのような技。


 ミヤは視界の端に流れている、そんな自分が死んだ瞬間を見ている。

第三者視点で流れていく映像にミヤは感心する。

 これは任意で表示することができる機能で、ミヤも調べてから初めて使ったものだ。


『これ便利だねー』


 ミヤは自分がから竹割りされているシーンを最後に、その映像を消す。

 そして自分を倒した相手……やっと名前のわかった【上弦】を見ていると、【上弦】【下弦】の方に向かっているようだった。


 そして、【上弦】がたどり着いた瞬間、【下弦】は、トイナに首を一閃され、光のポリゴン状になり、消えていくところであった。


 もう少し見ていたい。


 ミヤのそんな気持ちに、そうはいくまいと進んでいくリスポーンまでの時間。

 そして、ミヤはまたあの長屋へと引き戻されるのであった。



 『白兵戦』終了まで、あと1分30秒。

『夜中』について。

作中にもある通り、特定の条件でしかプレイをしないグループ。

その正体は、大人気アイドルグループ『ムーンライト』の四人である。

忙しさゆえに変な法則性が生まれていて、尚且つ顔を隠してプレイしている。

あまりにも酷似したネーミングだが、サライの人たちはそんな有名な人がいるわけないということで思考から外してしまっている。

ちなみに現実でも全員が運動神経が良いため、雑技団じみた動きはここからきていると考えられる。

ちなみにこのアイドル設定は本編で使われない予定なので、今を持って設定供養である。

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