第36話 エントリー
昨日実家から帰ってきました!
いやぁ疲れた
衝撃、この一言に尽きた。蓮二はオリンポス12神と言うが女性がまさか戦神と言う称号を持つ神の一柱だと言うことに驚いた。
「うむ、アレスの加護を持つものが女子とはな」
「ん?待てよ?って事はそのレナってのは前大会の優勝者か?」
ふと思った事をシャルに聞いた。
「いえ確かにレナさんは前大会の覇者ですがその前もその前の前も覇者ですよ。もう凄かったんですから!!」
かっこよかったなぁとその光景を思い出したのかシャルは恍惚の表情をした。
「んじゃシャル、レナはこの大会も出るんじゃね?」
「確かに毎年出てるくらいですから絶対今大会も出ますね?」
まだ合点がいかないシャルに蓮二はズバリな事を言う。
「つまり、その大会に俺らも出ればレナを探せるアンドレナに俺たちの事を認知してもらえる」
蓮二が言うにはレナに気づいて気づかれてと言う至極簡単な事だった。それを提案されたシャルはなるほど、としきりに頷いていた。
「確かに良い案ですね!それなら私の事をレナさんが気づいてくれます!」
「なっ?良い案だろ!早速大会にエントリーしに行こうぜ!」
意気揚々と言う蓮二。だが先ほどまで乗り気なシャルが急に顔をしかめて言った。
「でもその大会は大怪我が絶えない危険な大会なんですよ?私なんかじゃ」
「……」
顔を俯かせるシャル。それに蓮二は無言で近づくと手をシャルの頭に乗せ言った。
「俺が出るから大丈夫だって!シャルは俺の事を一生懸命応援してくれよ。戦いで俺が目立って応援ではシャルが目立つ。絶対に気づいてくれるさ」
「っ!レンジ!」
にっ、とシャルに笑いかける。
「ほら、エントリーするからシャル、案内頼むぜ?」
「はい!」
元気になったシャルの案内でエントリーを無事に終わらせる蓮二。試合は明日からだと言うことで明日に備えて軽く運動することにするのだった。
街の人に聞き手頃な宿と修行場所に向いている場所を教えてもらい現在町の外れにある少し薄暗い森に居るのだった。
「この辺で良いか」
「うむ、この場所は住み心地が良さそうだな」
「はい確かに住み心地がっェェ!?」
最近蛇だと忘れがちなピュートーンの感想にツッコミにもなっていない声を出すシャル。
「ほらほら遊んで無いでトーン修行の組手の相手してくれ」
「あい、わかった」
ピュートーンは【千変万化】(せんへんばんか)を使い体を変化させレンジの姿になった。
「うへぇ、寄りにもよって俺かよ。自分ボコボコにすんのヤなんだけど」
顔をしかめピュートーンに文句を言う。
「ではシャルの姿にでもなるか?」
「えぇ!!私はやめてください!レンジも女子を殴るのは抵抗あるのでは無いですか?」
「シャルがいい」
シャルの提案に蓮二は即答で応える。その姿は無駄に強い意思を感じさせた。
「いやなんで真剣なんですか!!ダメですよ!?」
「シャルが良いんだ」
「いや、言われて嬉しい言葉ですけど今は全然嬉しく無いですね!?」
暫く考えた蓮二はピュートーンが会った事の無い人物でも蓮二の記憶から読み取れる事が出来る事を思い出し懐かしきジンの姿になって貰った。
「よしこれで行こう」
「うむ、良いぞ」
まず蓮二がしたのは『神触拳』の動きの確認と技の開発だった。動きの確認は偽ジンをボコボコにしてスムーズに終わり技の開発を始めた。
「この前思ったんだけどさ、シャルの技で空気を圧縮してたよな?」
アーヴァックな時に使った技を思い出しながらシャルに問いかけた。
「あぁ、スーパーシャルボンバーの事ですか?」
「うむ?すぅぱぁとな?」
「………」
相変わらずのネーミングセンスに沈黙する蓮二、逆にスーパーの響きが気になったのかピュートーンは興味津々の様子。
「うぉほん、その空気爆弾をもう一度見せてくれないか?」
あえて技名を言わなかった蓮二にシャルはムッと頬を膨らませる。
「さっきスーパーシャルボンバーって言ったのに」
「なっ?頼むって」
「うむ、シャル。ワシもそのすぅぱぁを見て見たいぞ」
二人に頼まれ渋々技を見せるシャル。
「まず、私の能力【圧縮者】(プレッシャー)で空気を圧縮するんです」
手に空気を圧縮する、もっとも空気なので透明でまるで空中でおにぎりを握って居る様に見える。
「おにぎりニギニギ」
「おいお主」
シャルの手の動きに合わせる様に効果音を付けて遊ぶ蓮二、それに多少イラっときたシャルだが気にせず続ける。
「あとは相手に投げつけるだけで、すっ!!!」
突然シャルは蓮二に何かを投げる仕草を見せた。
「ちょっ!おま!!」
すぐさま【万能接続者】(オールリンカー)を発動させる、半径1m内の空気の流れを全力で上にする。
暫くすると上空で先ほどの空気の破裂音がした。
「危ねぇなシャル!!」
思いっきりシャルに怒鳴る。
「すみません、おにぎりが転がってっちゃって」
テヘ、と可愛らしく舌を出すシャルだが目は笑っていない。
少なからず殺気を感じた蓮二とピュートーン。
「まぁっまぁ誰にでもミスはあるからな!」
「そっそうだな!とっところでレンジはこの技どうするつもりなんだ」
二人で間を取り持つ、その時ピュートーンは今まで気になっていた事を蓮二に聞く。
「ああ、これ俺でも出来そうだと思ってな、自分なりに改良しようと思ったんだ」
「それって窃盗ですよ」
また殺気をだつシャル。
その後なんとか機嫌を取り、シャルの持つ技を幾つか見せて貰った。
そしてその日の修行も終わり取っていた宿に戻るのだった。
また蓮二たちが居た森に、大会当日の朝木こりが見に行くと大きなクレーターがあったことはまた別の話。




