第35話 オリンポス12神
街にシャルを抱えて入る。するとそこには戦いの神が作った街とは到底思えないほどの綺麗な街が広がっていた。
「こりゃすげぇな、本当にここアレスの作った街か?」
「うむ、素晴らしい街だ」
蓮二の言葉に同意の言葉を示すピュートーン。
取り敢えずシャルの友達に会うためにシャルに聞こうとする。
「シャルこの街にそのレナって友達が居るんだろ?どうするんだ?」
「……」
何も答えないシャルに今まで腕輪だったピュートーンは黒猫に変身し、近づくとシャルの顔を覗きこんだ。
「…うむ、一切まばたきしておらんな」
「いや怖ぇよ!?」
一旦シャルを降ろして顔を見ると確かにまばたきをしていない。
「うむそれに何かを言っているが別に問題ないだろう」
「どんな事言ってんだ?」
するとピュートーンが黒猫から今度は拡声器になった。小さかったシャルの声が聞こえてくる。
『…レンジが認めなくても事実を作ってしまえば問題ないです…事実を…作る…問題…無い…既成事実』
「なんか言ってんだけど!?超怖ぇんだけど!!」
するとピュートーンがシャルのことを哀れに思ったのかフォローを入れる。
『良いでは無いかこんなにお主の事を好いてくれる者はおらんじゃろ』
だが当然拡声器のままなので大音量で公然にこの言葉が放たれる。はたから見ると蓮二がシャルを中して居る様な構図が完成した。
「ちょっ!トーン!戻せって!デカイだろ!」
『何を言う!トーンは元々落ちているだろう』
「そっちのトーンじゃねぇし!トーン、トーンを落とせって違うわ!!」
『全く女の一人や二人、交尾の一つや二つ減るもんでもなブハァッ!?』
「てめぇはその姿で喋んじゃねぇェェェ!!」
己の社会的地位に影響を及ぼしかねない言動に容赦無く拡声器のピュートーンを蹴りで破壊しに掛かる蓮二。
その後蓮二はなんとかシャルを正気に戻すことに成功する。
「えっと今度はあっちに行ってみましょう」
正気に戻ったシャルにとりあえずレナがこの街のどこに居るのか捜索することにした。
道の左右には活気のある市場が立ち並んでいた。
「やはり良いところだなここは」
満身創痍の黒猫に変身しているピュートーンは蓮二の肩の上で言った。
「そうですよね、ここは百年ぐらい変わらず平和ですからね」
「ふぅん、そんなトコで生活してるレナってのはのほほんとしてそうだな」
その時シャルは突然立ち止まった。
「?どうしたのだ?」
「シャル?」
突然立ち止まったシャルを不審に思ったピュートーンと蓮二。それにシャルは真剣な顔で言った。
「レンジ、トーンちゃん絶対にレナさんにのほほんしてるだのおしとやかだの言ってはダメですからね」
「?分かった」
素直に同意する蓮二。
「でもなんでだ?そもそもレナってどんな奴なんだ?オリンポス12神なんだろ?」
そこまで真剣なシャルに疑問を感じた蓮二は前にシャルに聞いた情報を口に出す。
「はい、確かにレナさんはオリンポス12神の1神です。それも」
そこまで言うとシャルは街の掲示板の前に立ち1枚の紙を指差した。それは武神祭の告知の紙だった。それを見ながらシャルは静かに先ほどの続きを話す。
「武神アレスの称号を持つ12神の1神です」




