第34話 栄光の街
翌朝次の街に行くため蓮二達は定期馬車に現在進行形で乗っていた。そろそろ蓮二の尻が限界に近づいていた時、一緒にバスに乗っていたガタイのよい男が声をかけて来た。
「あんちゃんらもやっぱグローリーの大会に出るのか?」
「グローリー?」
「私たちの行く街ですよレンジ」
地名と分かりあぁとなる蓮二。その蓮二達のやり取りに男は早合点だと気づく。
「あれ?違うのか?てっきりそうだと思ったんだがな」
「まぁ、あの街に行く人なら大抵それが目的ですからね」
意味深な言葉を言うシャル。
「グローリーの街はなにかあんのか?」
「あぁ、あんちゃん知らないの?グローリーの街はその名の通り栄光の街だ」
栄光の街 グローリー
はるか昔、戦いの神アレスによって作られた街。グローリーでは毎年そのアレスに感謝の意を込めて武神祭なる大会が行われる。
そして毎年世界中の武道家や剣豪など多種多様な猛者が集まる大会でもある。
そしてその大会の優勝者には戦いの神アレスの称号と加護が与えられるらしい。
「へぇ、武神祭ねぇ」
脳裏に昨夜のケイラからの手紙をの内容が思い浮かぶ。
(現実世界に帰るための情報を手に入れるために別にシャルの友達が居るから無理して出る必要は無いよな)
蓮二はそう結論付けた。その時丁度馬車は大きな門の前で停車した。
「おっ着いたか。んじゃあんちゃんら出ないんだったら大会場所に俺の応援でもしに来てくれよな」
じゃあなと男は一番に馬車を降りて行き、蓮二達も別れを告げ馬車を降りた。
「さてと、この門から入れるのシャル?」
大きな門が大きく開き街に入るのかと若干期待しながらシャルに聞く。その問いにシャルは首を振った。
「いえ、その隣の小さな人用の扉から入るんですよ」
シャルが指差したのは門番が一人一人検査なんかして居る扉だった。
「…はぁ、この世界ってなんか期待外れなんだよな、色んな意味で」
「なんかムカつきますねそれ」
扉とシャルを交互に見てため息をつき肩を落とす蓮二にシャルはなにか分からないがイラっとする。その時蓮二の腕輪から声が聞こえた。
「うむ?ようやく着いたのかレンジ」
「あっ、起きたかトーン」
声の主はレンジの契約した神ピュートーンである。何にでも変身でき今は腕輪だが本来は真っ黒と金色の鱗を持つ蛇だ。
「レンジ分かるぞ、その気持ち」
「お前が言うとシャレにならんな。それ」
蓮二の気持ちを察するピュートーンだが契約した際お互いの気持ちも本当に理解出来るため今の言葉はあながち冗談では無い。
「ほら、レンジ!行きますよ」
シャレに引っ張られ列に並ぶ。そして蓮二達の順番になった。門番はまだ若い感じの男と女だった。
「はい、君たちの素性は?」
「ちなみに私達はラブラブな恋人です」
真面目に仕事をしようとする門番とアホの子の女。だが男は慣れているのか無視を決め込む。
すると何かを察したシャルは質問に答える。
「では私達はラブラブな夫婦です」
「いや何に張り合ってるの!?」
門番の女に負けじと張り合うシャルに驚く蓮二。
すると女の方もムッとして言った。
「私達は正式な恋人です!」
「だったら私達は正真正銘な夫婦です!!あなたとお前の関係なんですから!!」
いきなり始まった変な戦いに男と蓮二は同時にため息を着いた。
「ふんだ!なんたって私達はもうピーーな事もしたんですから!!」
「!!わっ私達だってバキューンな事だってしたんですからね!」
ついに放送禁止用語の様な言葉が飛び始めたので終止符を打つことにした蓮二。
「おい、シャル」
「!レンジも何か言って下さい!私達はもうバキューンでバキューンなバキューンだって」
会話の半分が放送禁止用語で何を言っているのか分からない蓮二。
「あぁ分かった」
「レンジ!!」
嬉しそうにするシャル。
「お前と俺は結婚なんて絶対にしてない」
「はぅ!!」
「それにそんな事もしてない」
「ぴゃ!!」
グサグサとシャルに否定と言う槍をつく蓮二。そして最後にトドメの一撃を放つ。
「そして今後もそんな事をするつもりも全く決して断じて無い」
「そのくらいにしてやれレンジ、この子のライフはもうゼロだ」
「……」
何故そのネタをピュートーンが知っているかはさておき意気消沈したシャルを抱え扉をくぐろうとすると後ろから門番の男に肩を叩かれた。
「…頑張れよ」
それに無言で頷く蓮二。
「…お前もな」
二人はそう言い合うと硬い握手をしたのだった。




