黄金の雷は眠らない
皮膚が崩れ落ちるにつれ、これまで魔物の王の「頭部」だと思われていた部分も、ついに形を失った。
黄緑色の液体とともに、大部分の皮膚が剥がれ落ちていく。
その頭には、何かが突き刺さっていた。
一見すると、一本の剣のように見えた。
……いや。
それは剣ではない。
人間の身体だった。
誰一人として、いわゆる「封印の剣」が、このような姿をしているとは想像していなかった。
皆が思い描いていたのは、雷の勇者の骸骨から造られた、白い長剣だった。
あるいは、神秘的で強大な魔法紋様が刻まれ、金色の雷光をまとっているのかもしれない――その程度の想像しかしていなかった。
十八年の時を経て、ロイとタチバナさんは、かつて大将によって自分たちのもとから連れ去られた若い教え子と、ようやく再会した。
タチバナさんは、レインが昔からとても美しい少年だったことを、不意に思い出した。
黒に近い濃い茶色の髪。
そして、翡翠のように鮮やかな緑色の瞳。
ロイの知る限り、レインは叔父に連れられて王都で訓練を受けるようになった後、その優れた容姿と才能で大きな注目を集めた。
だが彼は、寄せられたあらゆる誘いを断り、故郷へ戻って辺境を守る道を選んだ。
今となってもなお、虚空を見つめる生気のない瞳と、冷たく強張ったその顔は、美しいままだった。
その「剣」は、成人男性一人分ほどの大きさがあった。
レインの身体は、完全に切り開かれていた。
胸は中央から切り裂かれ、内部の構造がむき出しになっている。
左右の肋骨は胸郭から引き出され、歪な鎧のように外側へ広げられていた。
背中の二枚の肩甲骨も肉体から引き剥がされ、左右へと開かれている。
まるで誰かが彼に翼を与えようとして、出来損ないの標本しか作れなかったかのようだった。
両手は、身体の前方へ引き出された自らの脊椎を、剣の柄のように握り締めていた。
両脚は互いに捩じり合わされている。
足裏から突き出した骨が一つに融合し、鋭い剣身となって、魔物の王の頭部へ深々と突き刺さっていた。
内臓はすべて外へさらけ出され、脊椎と両脚から形作られた剣身へ張り付いている。すでに柔らかさは失われ、蝋人形のような、不自然に硬い質感へと変わっていた。
それは邪悪な造物だった。
人間そのものを冒瀆し、自らを犠牲にした勇者の尊厳まで踏みにじるものだった。
剣先と腐肉の境目では、時折、細い金色の電光が弾けていた。
外側を覆っていた皮膚が破壊されたことで、小さな雷は以前よりも活発になり、耳障りな音を立て始める。
それらは次第に集まり、何度も魔物の王の身体へと流れ込んでいった。
まるで、長い年月を経ても果たせなかった使命を、なお遂行しようとしているかのように。
残された雷魔法に打たれた魔物の王は、わずかに動きを静めた。
タチバナさんは口を開いた。
気づいたときには、頬に涙が伝い、顔中が濡れていた。
これまで彼女は、多くの若い冒険者を育ててきた。
その子供たちを見るたび、ケイトの弟――かつて二人で育てたも同然だった、あの小さな男の子を思い出した。
平凡な暮らしへ戻った者もいた。
偉大な冒険者となった者もいた。
任務の最中、若くして命を落とした者もいた。
けれど、これほど無残な姿となって、再び彼女の前へ戻ってきた子供は一人もいなかった。
一方、ロイは異様なほど冷静に、その光景を見つめていた。
長い年月を生きてきた彼は、すでに数えきれないほど多くのものを見てきた。
だが――。
それはレインだった。
かつて大きな期待を寄せ、ギルドの仲間たちとともに育てた子供だった。
初めの頃、ロイはレインを嫌っていた。
より正確に言えば、大将が国家の力を笠に着て、自分の甥を無理やり弟子として押しつけてきたことが、たまらなく気に入らなかったのだ。
だが、レインと過ごす時間が長くなるにつれ、ロイもギルドの者たちも、誠実で真面目なその少年を少しずつ好きになっていった。
ロイは突然、眉をひそめた。
……左手?
レインの左手から、小指が失われていた。
エイデンは隣に立つ父の腕を、そっとつついた。
「……『羊の花』?」
ノーマンは、その一言ですぐに息子の意図を理解した。
華唐国の秘術―『羊の花』。
若く美しい少女の体内へ花の種を植え込み、その血肉を養分とし、脊髄液を吸い上げながら成長させる。
最後には背中を突き破り、巨大な花を咲かせる禁術だった。
前年、ティムが軍を率いてリタール王国の辺境にある人身売買組織を摘発した際、『羊の花』へと作り変えられた人々が発見された。
その作戦には、エイデンとノーマンも参加していた。
巨大な花の下に残された人体も、今のレインと同じように歪められていた。
脊椎は蕾を育てるための養分とされ、残された骨と内臓は、見るに堪えない異形へと変形していた。
ヨウタは何も言わなかった。
ただ黙って、レインの姿を見つめている。
かつて雷の勇者と呼ばれた英雄。
それが、彼に与えられた最後の姿だった。
では、自分はどうなるのだろう。
日輪の勇者である自分は、最後にどのような姿へ変えられるのだろうか。
「早く始めましょう。」
タチバナさんは涙を拭った。
長い年月を経て、彼女は初めて真珠王国へ戻り、大公家の子孫が今どうしているのか確かめたいと思った。
彼らの後方では、ジェイド王子が嘔吐していた。
兵士の中には、その光景に耐えきれず気を失った者までいる。
一同は、再び魔物の王の頭上へ視線を向けた。
弓矢によって破壊され、日輪の勇者の紫炎に焼かれた後でさえ、癒着した生体組織は、封印の剣を固く包み込んだままだった。
ノーマンは迷うように、ロイを見る。
「どうする?」
「周囲の組織を破壊して、あの剣がもう一度放電し、魔物の王を気絶させられるか試すか?」
「それとも、魔物の王の身体が小さくなった今、全員で一気に攻撃して殺すか?」
「お前はどう思う?」
ロイはヨウタへ視線を向けた。
「どうして俺に聞くんだ?」
ヨウタは肩をすくめる。
「とぼけるな。」
ロイは苛立ちを隠さず言った。
「ディマン王国が、本当に魔物の王を十六年間も森へ放置しただけだとは思えない。」
「奴が気絶した後、あれほど研究力を誇るディマン王国の機関が、何一つ実験を行わなかったなどと、俺は信じないぞ。」
「残念ながら、彼らは俺をそこまで信用していない。」
ヨウタは平然と答えた。
「おそらくミナミでさえ、その実験結果は知らされていないだろうな。」
「疑わなかったのか?」
「戦場へ向かう前に、何も尋ねなかったのか?」
「うーん……」
ヨウタは考えているふりをした。
「でも、考えてもみろよ。」
「今でも俺は、ディマン王国にとって最も重要な資産なんだろ?」
「何も教えず、貴重な資産である俺の命を守ろうとした。」
「つまり、研究しても有効な結果は得られなかったってことじゃないか?」
最終的に、彼らは魔物の王の頭部を直接破壊することに決めた。
ディマン王国がヨウタへ与えた命令は、「魔物の王を殺せ」であって、「魔物の王を再び封印せよ」ではなかった。
もし周囲の組織を除去するだけで封印を再生できるのなら、ディマン王国は過去と同じように、魔物の王を手の届く場所で眠らせ続けようとしたはずだ。
研究を続け、最終兵器として利用するために。
その可能性を王国側が一切提示しなかったことから、ロイは、華唐国の禁術には何らかの時間制限があるのではないかと推測した。
少なくとも、彼が知る『羊の花』は、五年から十年ほどしか生きられない。
そして何より。
ロイもタチバナさんも、レインの亡骸を正しく弔ってやりたいと願っていた。




