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崩壊世界の再生人類  作者: Beta
大陸編「大都への道」

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第81話 <岩山>

夕陽が平原を赤く染める。

フロムは街道を駆け続ける。

背中にはミリア。

乾いた風が吹き抜ける。


やがて陽が沈む。

「この辺で野宿しましょう」


フロムは街道から少し離れる。

見晴らしのいい場所選ぶ。

昼間に買ったパンを食べる。

果物をかじる。

水を飲む。


やがてフロムは体を丸める。

それにもたれてミリアも目を閉じた。


温かい。

ふとミリアは昔のことを思い出した。


ミリアは早くに両親を亡くした。


ミリアの祖父。

ニュート。

育ててくれた人。

拾ってきた遺物を売って暮らしていた。

そのうち少しでも家計の足しになればと一緒に遺物拾いを始めた。

いつも隣にいてくれた人。

やがて失った。

それからは一人だった。

でも今はみんなが居た。


そして…。

また一人になるのだろうか。

不安とも寂しさとも言えない思いが頭の中を渦巻く。

そうしているうちに、やがてミリアは眠りへと落ちていった。


深夜。

フロムがそっと顔を上げる。

青い光が目の奥で明滅する。

だが。

やがて光は消える。

フロムは顔をおろし再び目を閉じた。


日が昇る

森を脱出して二日目。

再び街道を駆け続ける。

両側にはどこまでも続く草原。

遠くには小さな村。

低い林も点在。

やがて。

ようやく遠くに赤茶けた岩山が見えて来た。


「あれね」

ミリアが指をさす。


「ええ」

フロムが頷く。


「この先で二方向に分かれるって言っていたわ」

「右側に進めば大都方面に向かえるはず」


もう少しだ。

岩山が近づいてくる。


しかし。

フロムの耳が動く。

風の音。

草の揺れる音。

そして。

別の音。


「良くないわね」


「え?」

ミリアが振り返る。


街道を挟んで岩山とは反対側

草原の中。

何かが動いている

複数の赤い目。

魔犬の群れようだ。


一頭。

二頭。

その後ろにも。


「うそでしょ……」


ミリアの顔が引きつる。

フロムは速度を上げた。


草原を疾走する。

だが。

開けた場所だった。

隠れる場所がない。

魔犬達との距離が少しずつ詰まっていく。

一斉に襲われたら助からない。


「このままじゃまずいわね」

フロムが呟く。


前方を見る。

岩山。

曲がりくねった岩肌。

フロムの瞳が細くなる。


「あそこよ」

「ミリア」

「しっかり掴まって」


さらに加速した。

岩山へ飛び込む。

急斜面を駆けあがる。

魔犬達も追いかけてくる。

だが平原とは異なり一度に上がれる数は限られていた。


フロムが立ち止まる。


「ミリア」

「下りて」


ミリアは素直に従う。


振り返る。

魔犬の群れが岩山を駆け上がってきた。


「来るわよ」

フロムが低く唸る。


最初の一頭が飛び掛かった。

鋭い牙。

フロムが横へ飛ぶ。

爪が閃く。


血飛沫。

魔犬が岩肌を転がり落ちる。


続いて二頭目。

三頭目。

次々と襲い掛かる。

フロムはその全てを迎え撃った。


白い影が駆け抜ける。

鋭い牙。

鋭い爪。

白銀の毛並みが夕陽に照らされる。

魔犬は数を減らしていく。


「フロム!」


ミリアが叫ぶ。

フロムが顔を上げる。


岩山の上。

数頭の魔犬が回り込んでいた。

こちらを見下ろしている。


「まずい!」


次の瞬間。

飛び込んできた。


「見てなさい!」


ミリアが叫ぶ。


腰から取り出す。

金属筒。

導火線。

簡易爆弾。


「いっけぇー!」

「ミリアスペシャル!!」


投げる。

放物線を描く。

魔犬の正面に落ちた。


ドン!!


砂塵が舞い上がる。

炎と爆音。

魔犬が吹き飛んだ。


「やった!」


ミリアが拳を握る。

フロムも思わず笑った。


「ありがと」

「さすがね」


残った魔犬達が怯む。

そこへフロムが飛び込んだ。


数分後。

岩山には静寂が戻っていた。

魔犬の姿はない。


フロムが肩で息をしている。

ミリアはその場へ座り込んだ。


「怖かったぁ……」


夕陽はすでに沈みかけていた。

フロムは周囲を見渡す。

岩山の上。

見晴らしは良かった。

敵が来ればすぐに分かる。


「今日はここで休みましょう」

「賛成」


ミリアも頷く。


パンをかじる。

水を飲む。

陽が沈む。

フロムは体を丸める。

ミリアはその身体にもたれ掛かる。

やがて寝息が聞こえ始めた。


夜が静かに更けていく。


そして深夜。

フロムがそっと顔を上げた。

瞳が青く静かに輝き始めた。

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