第76話 <乱戦1>
ダダダダダッ!
鉄の暴風雨。
重機関銃の弾がばらまかれる。
血飛沫が舞う。
魔犬が飛び散る。魔熊がよろめく。魔虎が足を止める。
そして崖の上に現れた五つの黒い影。
リード。
スタン。
ミズカネ。
カドメイア。
そしてケイ。
黒い軍服。
黒い武装。
H兵だった。
リードが一歩前へ出る。
「EXの回収は我々の任務だ」
「生体兵は下がれ」
極光軍の新型魔人が吐き捨てる。
「邪魔をするな」
「EXは極光軍の資産だ」
「ならば仕方がない!」
リード、スタン、ケイが崖を駆け降りる。
剣を抜く。
極光軍に襲い掛かる。
さらに。
ドゥン!
迫撃砲。
崖の上から榴弾が放たれる。
爆発。
大地が揺れる。
魔犬が吹き飛ぶ。
魔熊が転がる。
しかし。
ドゥン!
ドゥン!
ドゥン!
さらに連射。
「逃げるなぁぁぁ!!」
ミズカネだった。
狂ったように笑いながら迫撃砲を撃つ。
「みんな吹き飛んじゃえ!!」
リードが怒鳴る。
「撃ちすぎだ!」
「巻き込むぞ!」
「うるさい!」
ミズカネの目がぎょろりとリードを見る。
手は止めない。
迫撃砲を打ち続ける。
再び爆発。
敵も味方も関係ない。
魔物。
リンたち。
H兵。
区別なく榴弾が襲う。
その隣ではカドメイアが重機関銃を乱射していた。
「ヒヒヒ」
「ヒヒヒヒヒ!」
薬莢が次々と飛び散る。
弾幕が夜空を切り裂いた。
スタンが悪態をつく。
「馬鹿共が!」
「俺達まで殺す気か!」
「だから試作品を使うのは嫌なんだ」
戦場は完全に崩壊していた。
銃声。
爆発。
咆哮。
悲鳴。
魔犬が黒い兵士へ飛び掛かる。
黒い兵士が剣を振るう。
魔熊が突進する。
魔虎が咆哮する。
誰が誰を攻撃しているのか分からない。
リンは呆然とそれを見た。
新型魔人と魔物たち。
そして黒い兵士。
どちらも自分を追ってくる敵。
だが今は互いを殺し合っている。
理由は分からない。
だが。
今しかなかった。
フロムが叫ぶ。
「逃げるわよ!」
ヨウドも叫ぶ。
「撤退するである!」
リンは頷く。
全員が走り出した。
馬車へ向かう。
すると後方から怒鳴り声。
「EXを逃がすな!」
極光軍の新型魔人。
ほぼ同時に。
「追え!」
リードも命令する。
リンは振り返らない。
走る。
ただ走る。
ヨウドが馬車にたどり着く。
手綱を握る。
「みんな乗るである!」
リンが飛び乗る。
馬車が走り出した。
だがフロムの前に魔犬。
いつものフロムならすぐに魔犬を倒すのだが今は満身創痍。
それにミリアが背中にいる。
無茶な攻撃が出来ない。
ミリアを庇いながら魔犬の攻撃を避ける。
なかなか馬車に近づけない。
その後ろのハンス。
魔犬を切る。
「フロム」
「手伝うぜ。馬車に急ぐぞ」
その時、ハンスの前に一人の黒い兵士が飛び出した。




