第74話 <戦闘>
クロウの眼が青く点滅する。
「警戒」
「敵勢力を確認」
全員が反応する。
ハンスが立ち上がる。
「どこだ」
クロウ。
「同盟軍、新型魔人を含む敵勢力接近」
フロムが低く唸る。
「やっぱり来たわね」
遠く。
森の向こう。
平原にいくつもの赤い光。
最初は狼かと思えた。
だが違う。
魔犬。
魔熊。
さらに。
魔虎。
黒い影が何十も現れる。
その後方には痩せた男。
新型魔人。
ミリア。
「またあいつら!」
「すごく多い……」
ヨウドが小銃を構える。
「中隊規模と思われる」
ハンス。
「何で分かるんだよ」
「勘である」
魔犬が走り出した。
一斉突撃。
リン。
「来る!」
ハンス。
「馬車へ!」
襲われる。
剣一閃、敵を倒すリン。
血が散る。
魔犬の首が宙を舞う。
次。
また次。
だが終わらない。
死体の上を踏み越えるように、次々と後続の魔犬が現れる。
馬車から少しずつ離される。
さらにその背後から魔虎が飛び出した。
巨大な体が夜空を切り裂く。
リンへ一直線。
リンは転がるように回避する。
魔虎が振り返る。
リンと対峙。
その瞬間、リンが居合抜き。
一舜で三メートルほどの間合いを詰める。
黒刀を振るう、魔虎の首がずれる。
魔虎が倒れる。
ハンスが息を呑む。
「すげぇ……」
リンは止まらない。
跳躍、返す刀で魔熊を切る。
ハンスも大剣を振るう。
魔犬が吹っ飛ぶ。
しかし魔虎が襲い掛かる。
前足の攻撃を大剣で受ける。
が、そのまま押し込まれる。
必死で押し返すがじりじりと魔虎の牙がハンスの顔に迫る。
そのとき。
タタタタタッ!!
自動小銃の音。
「ガッ!」
うめき声とともに魔虎が転がる。
横腹から背中に多量の銃弾を浴びている。
もがく魔虎。
ヨウド。
「この前の犬への仕返しである」
だが、その間にも魔犬が次々と迫ってくる。
フロムが跳躍する。
手あたり次第に倒すが、魔犬、魔熊、魔虎の攻撃は止まらない。
気付けば後退していた。
魔犬を斬る。
さらに一歩下がる。
魔熊を避ける。
また下がる。
左には岩壁。
右からは魔犬の群れ。
背後から風の音。
崖だった。
「このままじゃあ崖に追いつめられる」
「正面突破しかないぜ」
「吾輩が手りゅう弾を投擲するである」
「識別名リン」
「敵がひるんだところで吾輩とともに突撃をして敵を突破する」
「犬はミリアを乗せて続く」
「ハンスはしんがりを務めるである」
三人と二体は頷く。
ヨウドが手りゅう弾を投げる。
伏せる。
ドォォォォン!!
爆炎。
すぐさま飛び出す。
タタタタタッ!!
魔物に向かって掃射。
その後ろからリン。
魔犬、魔熊、魔虎。
爆発と銃弾により怯んだところを切る。
魔物の群れの中を走り抜ける。
フロムが続く。
さらにハンス。
大剣をぶん回して魔物を寄せ付けない。
もう少しで街道。
馬車が見えてきた。
あと少し。
その時だった。




