↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崩壊世界の再生人類  作者: Beta
大陸編「大都への道」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
63/115

第61話 <戦略指導体>

薄暗い部屋。

古びたディスプレーの画面には何も映っていない。

ただ声だけが響いていた。

機械のような。

感情を感じさせない声。

「私はコード名、麒麟」

「同盟軍戦略指導体だ」


ハンスが眉をひそめる。

「戦略指導体?」

「何だそりゃ?」

「魔物の国の王か?」


麒麟は即答した。

「同義ではない」

「説明しても良いが理解は困難だろう」

「よって説明を省略する」


リンがディスプレーに向かって問う。

「よく分からないけど私たちを襲わせたのはあなたね」

「何故そんなことをするの」

「それに魔物を生み出しているのもあなたなの?」


麒麟が答える。

「私の戦略目標を達成するにはUnit-10、お前が必要だ」

「入手のための作戦を実施した」

「それ以外の現生人に用はない」

「また魔物はわが軍の戦力ではあるが」

「私は魔物を生み出すことはしていない」


「それは少しおかしいわ」

フロムが言う。


「同盟国はこの大陸の中央部から東部を支配する」

「我々連合国と敵対する政治集団よ」

「主に魔物―感染性生物兵器を生み出し戦闘を行っているわ」


麒麟が答える。

「感染性生物兵器を製造するのは私の管轄ではない」

「よって“私は生み出していない”と回答した」

その声には何の抑揚もない。


さらにフロムが言う。

「問題は感染性生物兵器を誰が作るかじゃない」

「同盟軍は感染性生物兵器を主戦力として運用しているわ」

「極東地区からの西行工程では敵勢力圏中心を抜ける」

「なので東行工程を推奨したのよ」


「前回オペレーションでは西行工程の中でUnit-09:ゼノンを喪失したわ」

「飛行型支援機:ブロウも」


ミリアが身を乗り出す。

「そうよ先生よ!」

「それにあのしゃべる鳥さん――ブロウって言うの!?」

「どこ! 麒麟さん」

「知っているんでしょ!」

「先生があの板に映っていたじゃない!」


数秒。

沈黙。

「質問対象を認識」

「現生人呼称“先生”―連合国軍名Unit-09_XENON」

「教えてやってもいい」

「生存している」


縛られているのにミリアが飛び上がりそうになる。

「本当!?」

「先生に会わせて!」


「不可だ」

即答。

相変わらず感情が全く感じられない。


「Unit-09は現在同盟軍資産である」

「返却対象ではない」


「資産?」

ハンスが声を荒げた。

「人を物みたいに言うな!」


麒麟は少し間を置いた。

まるで本気で理解できないように。

「違いが分からない」


麒麟は続ける。

「Unit-09はH兵製造ユニットとして極めて優秀である」

「現在も稼働中」

「有効活用している」


ミリアの顔から血の気が引く。

「製造ユニット……」

「先生に何させてるのよ……」


返答はない。

代わりに麒麟はリンへ視線を向けたような気がした。

もちろん画面は真っ黒だ。

だが見られている。

そんな感覚があった。


「EX」

「お前達七人には前回大きな損害を受けた」

「予測外だった」

「今回は同じ過ちは繰り返さない」

「XENONおよびお前の協力を得る」


リンは睨み返す。

「断るわ」

「協力する訳ないでしょう」

「それにさっきから何? EXって」

「私のこと?」

「H兵製造ユニットも」


沈黙。

しばらくして声が流れた。


「拒否権は存在しない」

「このEXは未成熟個体か?」

「まあいい」


麒麟が続ける。


「完成体である必要はない」

「H兵」

「EXの輸送準備を進めろ」

「並行して現生人および支援機の廃棄も実施」


「承知いたしました」

黒い兵士が答える。


ミリアが叫んだ。

「待ってよ!」

「勝手に決めないで!」


麒麟は答えない。

ディスプレーが暗転する。

プツリ。


部屋には静寂だけが残った。


ハンスが顔をしかめる。

「廃棄だぁ?」

「ふざけた野郎だ!」


「野郎ではない」

フロムが言う。

「人間とは概念が違うわ」

「人間とはって…何なんだあいつは」

「魔物の王かなんかか」

ハンスが吐き捨てる。


「厄介である」

ヨウドがうなる。


黒い兵士達が近づいてきた。

拘束されたままの一行は台車に載せられた。

フロムは荷物のように運ばれる。

ヨウドは網に包まれたまま転がされる。

リン達は無理やり立たされ歩かされた。


長い通路。

無機質なコンクリートの壁。

どこまでも続いている。

生き物の気配がない。

まるで巨大な機械の内部だった。

やがて一室へ押し込まれる。

鉄の扉。

鍵が閉まる。

ガチャン。

静かになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。