第53話 <夜中の襲撃>
火を起こす。
三人はその周りに座り干し肉をかじる。
焚火のはぜる音だけが響く。
しばらくしてヨウドが火の傍にやって来た。
肩には小銃をかけている。
「吾輩に睡眠の必要はないのである」
「夜警をする。焚火の維持も実施する」
「だから三人はゆっくりと休むのである」
「ありがとう」
その言葉に三人は休むことにした。
ヨウドは定期的に周囲を見回る。
夜が更けていく。
やがて東の空が白み始めた。
突然、ヨウドが森の方を見る。
眼が光る。
凝視する。
「警告である」
「クロウ、フロム、起きるである」
「微弱だが森から通常でない音源および木々の振動が検知される」
「魔物が接近している可能性が有る」
クロウが眼を開く。
羽ばたく。
「警告」
フロムも起きる。顔を上げる。
「多数反応」
「リン、ハンス、ミリア」
「起きるのよ」
リン、ハンスが起き上がる。剣を手に持つ。
ミリアも目を覚ます。
だがまだ目をこすっている。
「ミリアは馬車に行って」
次の瞬間。
木々が大きく揺れた。
低い唸り声。
飛び出してくる。
魔犬。
十数頭。
さらに。
魔熊。
そして見たことのない魔物。
魔犬よりさらに大きい。
フロムよりも。
体には黄色と黒の縞模様。
「おい!」
「ありゃ何だ」
ハンスが叫ぶ。
「大陸に生息する大型動物が魔物化したものだ」
「ヤマシロ王国には存在しない」
クロウが答える。
「魔虎ね」
「厄介だわ」
フロムが睨む。
ヨウド。
「難敵である」
リン。
「逃げるわよ!」
ハンスが走る。
慌てて馬を馬車につなぐ。
飛び乗る。
手綱を握る。
魔犬の先頭が廃村の中までやってきた。
クロウとフロムが魔犬とにらみ合う。
その後ろには追加の魔犬。
さらにその後方に魔熊と魔虎。
痩せた男――新型魔人らしき姿も見える。
「チッ、村から街道への出口が魔犬に塞がれちまった」
ハンスが舌打ちをする。
「私が魔物を引き付けるからその隙に馬車を出して」
ハンスに向かってリンが言う。
その時。
ヨウドがリンの前へ出た。
「ここは吾輩の出番である」
ヨウドが鉄兜を被り直す。
自動小銃を持っている。
「AI+82第32機械兵連隊所属」
「戦術支援機」
「識別名ヨウド」
「只今より敵部隊を殲滅する!」
「二等兵ハンス、ミリア!」
「鳥!」
「犬!」
「吾輩に続け!」
「突撃である!」
「血路を開くである」
そして振り返る。
「識別名リン」
「後方支援を要請する」
言い終わらないうちにヨウドは片手で鉄兜を押さえ。
身を屈めて走り出した。
魔犬に向かっての突撃。
銃床を肩に当て走りながら小刻みに自動小銃の引き金を引く。
タタタタタッ!!
タタタタタッ!!
魔犬に向かって掃射。
「ギャン」
魔犬一体命中。
警戒して魔犬の動きが止まる。
陣形が崩れる。
ヨウドはその隙に前方の岩陰へと転がり込む。
身を隠す。
腰のベルトから手榴弾を取る。
ピンを抜く。
投擲!
ドォォォォン!!
爆炎。
すぐさま飛び出す。
銃剣突撃。
魔犬に肉迫。
一匹串刺しにする。
そのまま銃剣を横ふり。
刺さった魔犬を右に投げ飛ばす。
他の魔犬は飛び下がる。
魔熊、魔虎も足を止める。




