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崩壊世界の再生人類  作者: Beta
大陸編

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第50話 <砦の記録1>

フサール市を脱出した。

街道を西北へ。

王都セオル方面へと進む。


街道は徐々に細くなり、人の姿も減っていく。

代わりに見えるのは荒れた土地と古い石造建築ばかりだった。


馬車を引きながらハンスが言う。

「しかし先生先生って」

「本当にそのゼノンって奴なんだろうな」


ミリアは即答した。

「絶対そうよ」


「なんで言い切れるんだ」

「だって剣があったじゃない」

「鷹も連れていたって言うし」

「時期も合ってる」

「私の勘では間違いないわ」


ハンスは溜息をついた。

「お前の勘は信用ならねぇ」

「今回は当たってるわ」


リンは荷台に置かれた黒い剣を見る。

EXソード。

ゼノン。

百年前の施設。

ゼノンが歩いた道。

全てが同じ方向を示していた。


「おいどうする」

「セオルだったっけ。このまま王都に向かうか?」

「地方領主に連絡が入っているなら王都もやばいんじゃねえか」


クロウ

「同意」


フロム

「最短期間の滞在を推奨するわ」


ヨウド

「敵勢力圏下での戦いは避けるべきである」


黒い剣を見ながらリンが答える。

「でもこのままではあまりに情報が無さすぎる」

「馬車で入るのは目立つので」

「王都近くまで行って一人か二人だけでそっとエース商会に寄りましょう」


「クロウ、フロム、ヨウド」

「あなたたちは何か知らないの?」


クロウ

「西行を推奨する」

フロム

「ルート選定に適した情報が必要よ」

ヨウド

「大陸東部地域における敵勢力情勢が不明である」


「要は判断がつかねえってことだな」

ハンスが言う。


馬車は走る。

途中、野営を挟み数日間走り続ける。

ようやく一行はセオル市の少し手前に到達した。


古い石造りの砦が現れた。

長い年月を経て傷んでいるが、今もなお使われているようだった。

そのまま走り抜けようとするが見張りの兵士が気づいて近付いてくる。


「止まれ」


一行に緊張が走る。


兵士が目の前に来る。

睨んでいる。

だが、黒い剣を見た瞬間。

兵士の表情が変わった。


「その剣……」

「隊長を呼べ!」


◇ ◇


砦の応接室に通される。

隊長は四十代の男だった。

黒い剣を見る。

そして頷いた。


「間違いない」


ミリアが身を乗り出す。

「知ってるの!?」


「黒い剣の男なら知っている」

ミリアの目が輝く。


「やっぱり!」


隊長は続けた。

「四年前だ」

「この砦は大量の魔物に襲われた」


「魔犬」

「魔熊」

「魔人までいた」


ハンスが眉をひそめる。

「生き残れたのか?」


隊長は笑った。

「普通なら無理だ」

「だがあの男がいた」


沈黙。


「一人だった」

「黒い剣を振るい」

「魔犬の群れを切り裂き」

「魔熊を倒し」

「魔人を退けた」

「正直な話」

「今でも信じられん」

「化け物じみていた」


ミリアの拳が握られる。

「先生……」


隊長は頷いた。

「あの男は英雄だった」


ミリアの顔が明るくなる。

だが。

次の言葉で空気が変わった。


「その後」

「軍が連れて行ったよ」


沈黙。


ミリアの表情が固まる。

「え……」


隊長は真面目な顔で言った。

「理由は知らない」

「だが命令だった」

「普通の人間ではない」

「危険人物」

「そう聞いている」


リンが聞く。

「その後は」

「シユウ帝国方面へ送られた」

「それ以上は分からない」


ミリアは俯いた。

先生は生きていた。

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