第33話 <宰相との謁見>
三日目の朝。
ボロンの館。
食堂で朝食を取っていると、一人の使者がやって来た。
「王城より参りました」
封蝋の押された書状が差し出される。
リンが受け取り目を通す。
ハンスが目を丸くした。
「早ぇな」
ボロンは少し不安そうな顔をした。
「本当に宰相にお会いになるのですか」
「何か問題があるの?」
ミリアが聞く。
「問題というほどではありません」
ボロンは少し言葉を選ぶ。
「ですが、中々難しい方だと聞きます」
「王国を支えているお方ですからな」
そこへ館の外から馬の嘶きが聞こえた。
窓の外。
豪華な馬車が停まっている。
「迎えです」
使者が頭を下げた。
「専用馬車で?」
ハンスが驚く。
ボロンが苦笑した。
「王城は出入りの確認が厳しいのです」
「その馬車ならそのまま通れます」
「なるほどな」
馬車は何度も検問を通った。
衛兵。
城壁。
内城。
さらに奥へ。
王都の中心。
巨大な王城。
「でけぇ……」
ハンスが呟く。
ミリアは周囲を見回していた。
「この柱とかどうやって作ったのかしら」
「ミリアノイズ」
クロウが呟く。
「うるさい」
やがて応接室へ案内される。
広い。
静かだ。
豪華でありながら威圧感がある。
ソファに座ることを進められる。
三人はリンを中心に並んで座った。
少し待つと扉が開いた。
一人の男が入ってくる。
五十代ほど。
整った服装。
落ち着いた表情。
柔和な笑み。
王国宰相。
カーボ・ランダム。
三人は慌てて立ち上がる
宰相は三人に向かって微笑みながら話した。
「お待たせしました」
「初めまして」
穏やかな声だった。
椅子に座るように進める。
再び腰をかける。
お茶が運ばれる。
宰相が話し出した。
「旅をしてきたそうですね」
「まずは楽にしてください」
「若い人が無理をするものではありません」
想像していたよりずっと気さくな人物だった。
ハンスですら肩の力を抜いた。
「さて」
「ニトロ君から話は聞いています」
「“戻る”」
「“鍵”」
「そして魔物」
「それを探しているとか」
リンは頷く。
「知っていることを教えて欲しい」
カーボは静かに頷いた。
「リン君、君はどうしてそんなものを探しているのだ」
「分からないが――」
「そこに私の秘密がある気がする」
「君の秘密?」
「ニトロ君の話によると、たいそう優れた剣士で古代文字も読めるというが」
「ああ、だが古代文字も剣術も習った記憶がない」
「ハンス君、君も同じかい? リン君とは同郷ですか?」
「俺はただの発掘屋だよ。魔物にゃ負けないがね」
「交易都市で生まれ育った。リンとはそのあたりで知り合ったんだ」
「ふむ。私にあまりお話できることはないが…」
「君たちが求めるものを得るには――」
「ニトロ君が言う通り、西に向かうのが良いのでしょう」
ミリアが宰相に向かって言う。
「西へ行けるの!?」
宰相は少し考えながら答える。
「西方大陸へ行く手段については問題ありません」
「我々は西方大陸の国と交易しております」
「紹介状も用意出来ましょう」
「船も定期的に出ています」
ミリアが身を乗り出した。
「行けるのね!」
「ええ」
「手配致します」
カーボは微笑んだ。




