第31話 <王都の遺跡>
翌日の午後。
宰相から返事が届いた。
三日後、面会可能とのことだった。
「思ったより早かったな」
ハンスが言う。
「それまでゆっくりしていって下さい」
ボロンは笑顔だった。
「部屋は空いておりますし、食事も出します」
「助かる」
リンが答える。
「さて」
ハンスは椅子にもたれた。
「三日後か」
「それまでどうするかな」
「王都見物って気分でもねぇな」
するとボロンが少し遠慮がちに言った。
「でしたら、一つお願いが」
「依頼です」
話を聞く。
王都近郊の発掘地点。
遺跡そのものは有望。
銃は出ないが、刃物やそのほか、良い道具が出る遺跡らしい。
だが。
「魔犬が住み着きまして、発掘が止まっているのです」
「良い遺物が眠っている可能性があります」
ハンスの顔が変わる。
「金になるな」
「ええ」
「行こう」
即決だった。
翌朝。
王都の外れ。
奇妙な岩山があった。
白い石でできた立方体の山。
壁面には幾つもの正方形の穴が開いている。
自然物には見えない。
さらに正面に二メートル四方の穴。
巨大な箱に穴を開けたような形。
二メートル四方の穴の前にある、崩れた壁のような門のような瓦礫。
誰も気にしないが、門に書かれた古代文字の記述。
「ホームセンター」
リンだけがそれを読む。
「遺跡ね」
関係なくミリアの目が輝く。
「ところでクロウは?」
「知らん」
ハンスは肩を竦めた。
「ほっとけ」
「どうせどっかで盗み聞きしてる」
「アイツが怪しいのはよく分かった」
「味方かどうか微妙だぜ」
ハンスは大剣を担ぎ歩き出す。
内部へ入る。
すぐに魔犬が飛び出した。
三匹。
五匹。
七匹。
ハンスが笑う。
「邪魔だ」
大剣が唸る。
次の瞬間。
魔犬がまとめて肉塊になった。
「あなたの剣も大概おかしい」
ミリアが呆れる。
さらに奥へ。
崩れた部屋。
埋もれた棚。
工具。
金属製の梯子。
不思議な形の器具。
「見て!」
ミリアが拾い上げる。
「これ!」
「何かの工具だ!」
リンが見る。
「ヤスリ」
「ヤスリ?」
「研磨工具だ」
「へええ」
さらに。
「これは?」
「ステンレスのナイフ」
「ステンレス?」
「錆びにくい鉄だ」
「今の物より良い物だな」
ミリアは嬉しそうだった。
完全に遊園地状態である。
部屋の中。床に散乱する長方形の不思議な物体。
長さ10cmくらい。手で握れるサイズ。
不思議な透明の材料でできている。
端っこに金属の丸い部品があり回る。
手で握って丸い部品を親指で勢いよく回すと、火花が散った。
「ん~火花発生装置ね」
とりあえずポケットにひとつ放り込む。
また少し先には、白い塊が散在していた。
「何これ、白い粘土?」
ミリアが一塊、拾い上げる。
その横には白い塊が入っていたであろう紙の容器の残骸。
「固形燃料」
リンがその紙の切れ端にある文字を読む。
そのほか金属製のカップや皿がいくつも転がっている。
何百年も前の物なのに錆びていない。
「これもステンレスね」
「いやこれはアルミニウム」
「鉄のようには錆びない金属だ」
テントや衣服らしきものもあった。
だが触るとボロボロと崩れてしまった。
「遺物だからしゃあねえな」
「ナイフや鍋、皿、それにテント」
「野営用の道具の保管庫だったのかな」
三人は使えそうなものをリュックに詰めていく。
やがて…ミリアは大量の金属缶を見つけた。




