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崩壊世界の再生人類  作者: Beta
目覚め

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第29話 <クロウの反対>

ボロンの館に着く。

三人を出迎えたのはボロン本人だった。


「お帰りなさい」

「会見はいかがでした?」


ハンスが笑う。

「まあ」

「面白い話は聞けたぜ」


ボロンも笑った。

「それは結構」

「食事も準備できています」

「どうぞ」


三人は食堂に案内される。

ボロンも同席する。


肉料理。

野菜の煮物。

スープ。

サラダ

パン。

ワイン。


旅の途中では考えられないほど良い食事だった。

和やかな雰囲気で食事は進む。


途中、宰相の話になる。


「宰相ですか…」


ボロンは頷いた。

「室長とは親しいですよ」

「西の国から珍しい品を取り寄せる時など」

「よく協力しているようです」


ミリアの目が輝く。

「やっぱり西ね!」

「私もそう思います」


ボロンは微笑む。


「私の商会も西に支店があります」

「もし向かわれた時は訪ねて下さい」

「力になれると思います」


その夜。

三人は寝室へ戻った。


ドサリとベッドへ倒れるハンス。

ミリアは地図を広げている。

リンは窓際に立っていた。


その時。

羽音。

黒い影。

クロウが窓から入ってくる。

いつの間にか姿を消していた鳥だった。


リンの肩へ止まる。


「お前」

「どこへ行っていた」

「野暮用だ」


いつも通りだった。

クロウはリンの肩から寝室にあるテーブルの上に飛び移る。

リンに向き直った。


「それで」

「有用な情報は得られたか」


リンが答える。


「西に手掛かりがありそうだ」

「この国の宰相にも会うことになった」


その瞬間だった。

クロウの瞳が青く光る。

沈黙。

そして。

クロウが言った。


「西へ行くべきではない」


部屋が静まる。

ハンスが顔を上げた。


「……は?」


クロウは続けた。

「東へ向かえ」

「東には海がある」

「大きな海だ。渡海不能」

「だが北から迂回可能」

「西進は推奨しない」


ミリアが立ち上がる。

「ちょっと待って!」

「今まで何も言わなかったじゃない!」

「なんで急に!?」


クロウは答える。


「危険だからだ」

「西方向は危険度が高い」

「対象生存率が低下する」


ハンスが睨む。


「お前」

「何を知ってる」


クロウは何も答えない。

ただ瞳だけが青く光っていた。


部屋の空気が少し変わっていた。


西へ行く。

クロウだけが反対した。

そんなことは初めてだった。


ハンスがクロウに詰め寄る。

「なぜ東だ。東に何がある」


「リンの目的――魔物の殲滅」

「必要な技術、情報の提供が必要」

「西進による提供点への到達確率は前回より大幅に低下している」

「一方、東回りルートにおける深刻な喪失事案は観測されていない」


ハンスがクロウを睨む。

「前回ってなんだ?」

「喪失事案ってのは?」


「今回ケースであれば、対象――識別名リンの喪失が生じる事案のことに相当する」

「おい! 前にもリンみたいなヤツと一緒にいたことがあるのか!」


「私は初めての任務だ」


「東はないが、西に、ってのは何だ?」

「詳細は説明不能」

「だが、西方大陸東部エリアにおける不確実度は上昇している」


「提供点ってのは何だ。武器でもくれるのか」

「機密事項。情報供与不可」


理解できない。

リンもミリアも言葉がでない。

ハンスは再びクロウを睨む。

低い声で言う。


「ところでお前」

「一体、何者なんだ」

「何を知っている」


クロウは首を傾けて言った。

「私は識別名クロウ」

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