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崩壊世界の再生人類  作者: Beta
目覚め

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第20話 <焚火>

夜。

街道横の開けた場所。

馬車を停め、商人と3人は焚火を囲む。

クロウは、すぐそばの木の枝にとまって目を閉じている。


ボロンは親しげに話しかけてくる。


「私らは商売柄、いろんな遺物を扱います」

「何かお手伝いできることが有ったらいつでも言って下さい」


ボロンは遺物を扱う商会を経営しているという。

最近はあまり王都から出ず、店の運営に力を入れていたのだが、先日、遺物の街で面白い遺物-程度の良い銃-が出たと聞き、久しぶりに買い付けに出た。ついでに交易都市の支店に寄り王都に向かう途中で魔犬に遭遇する羽目になった。


「あのままでは今頃、魔犬のエサか、魔人になって彷徨っていたことでしょう」

「私の商会は、この国だけでなく海向こうの国にもあります」

「何かあれば言って下さい。出来る限りお力添え致します」


ボロンは王都だけでなく、複数の街で手広く商売をしている。

王都に本拠を設けているのは、遺物の分析で学術院に出入りするからだという。


「王都では室長にお会いになるのですか」

「奇遇ですな。良く存じていますよ」


その他、最近の王都のこと、魔物の出現など、たわいもない話をした。

ひとしきり話をしたあと、明日も早いからと、ボロンらは馬車に入って就寝した。


三人が残る。

しばらく沈黙。

遠くでフクロウの鳴き声がする。


やがてミリアがつぶやいた

「なんであんたらは魔人化しないの?」


ハンスは肩を竦めた。

「知らねぇ」

「いつも叩き切っているから、体が慣れたんじゃねえか」


「絶対おかしい」

「俺に言うな」


ミリアはリンを見る。


「リンは分かる」

「恩人と同じだから」

「でも――」

ハンスを指差した。


「なんでハンスまで?」

「だってあんた」

「バカで」

「スケベで」

「発掘屋で」

「ただの筋肉オヤジじゃない」


一瞬の沈黙。


ハンス

「そこまで言う!?」


リンは少しだけ笑った。

クロウまで小さく鳴いた。


そして――

ハンスは祖父の話をした。

顔に線があった祖父。

魔物に襲われても魔人化しなかった祖父。

親父も同じ体質であったこと。

祖父ほどじゃないが、ハンスも魔物の血を浴びても平気であること。


「ちっとばかし体調は悪くなるがな」


さらにミリアは聞く。

「ねえハンス、なんであんたはついてきてんの?」

「何をしたいの? あんた、交易都市で結構、有名だったじゃん」

「結構、稼いでたみたいだし」

「なのに……」


ハンスは自身の頭をなぜながら、照れくさそうに話した。

「俺はな、この前、この姉ちゃんに助けられてな」

「恐ろしくつええし」

「それに強い奴はたまにいるけど、なんかリンは…じいさんと似た感じがするんだ」


「それに、魔物を無くすなんて言ってる」

「それにゃああんまり興味ないけど…、あの街で遺物掘りしているのも飽きたしな」


「なあ、遺跡って不思議だろ」

「リンと一緒にいたら、なんかすげえもん発掘できそうな気がしてな」


ミリアは黙る。

焚火を見る。

しばらく、焚火の火が爆ぜる音だけが響いた。


「ところでさ、今日のあいつ、一体なんだったんだ」

ハンスは枯れ枝を火にくべながらつぶやく。


「魔犬は分かる。いつも通りだ」

「だが、あんなにまとまって襲ってくることはない」


「魔物を飼いならすヤツはたまにいる」

「特に盗賊するにゃあ便利だ。荒野の辺りじゃあそんなヤツ、それなりにいるって話だ」

「だが、あいつはなんか違った。魔犬を手足のように操っていた」


 ミリアも昼間の戦いを思い出す。

 胸を撃たれても立ち上がった男。

 濁った目。

 魔犬を操る笛。

 あれは本当に人間だったのか。


 ミリアも疑問を口に出した。


「そうよあの男」

「笛を吹いて、それで魔犬を操っているようだった」

「私の銃に打たれても死ななかった」

「これ普通の発掘銃じゃないのよ。ミリアスペシャル」

「特製の改造銃なんだから。魔熊ならともかく大体の魔物なら一発で仕留められるの」


「知らねぇ…。だが気味が悪い」

「今まで見たことがねぇ…」

「リンがあっさり倒してくれたがな」


 ハンスは肩をすくめた。

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