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崩壊世界の再生人類  作者: Beta
目覚め

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15/17

第15話 <ミリアの工房>

「……なんでいる」

 ハンスが聞く。


「待ってた」

 ミリアが答えた。

 当然のように立っている。


「ねえ、このナイフ、何なの」

「知らん」


「知らないのにセラミックって言ったよね」

 リンは黙る。


「それにその鳥」

 クロウが嫌そうな顔をした。


「その印」

「知らないことばっかり」

「工房に来て」


「嫌だ」

 ハンスが即答した。


「なんで?」

「嫌な予感がする」


「大丈夫」

「お前が言うな」


 ミリアは気にしない。


「少しだけ」

「絶対少しじゃない」

「少しだけだから」

 ハンスは空を見上げた。


「リン、助けてくれ」

「別に構わない」

「裏切ったな」


 ミリアの工房は交易都市の外れにあった。

 小さな建物だった。


 中に入った瞬間。

 ハンスが言った。


「汚ねぇ」


 床。

 本。

 紙。

 工具。

 部品。

 全部散乱している。


「廃墟では?」

 クロウが言う。


「やっぱりこの鳥、またしゃべった!」

「それから、ここは研究施設! 廃墟じゃない!」

「分かったクロちゃん! あなたも研究対象よ!」


「クロちゃん!?」

 眼を見開くクロウ。

 それに分解されかけたことを思い出し、そっとリンの後ろに回る。


「研究施設よ。床が見えているでしょ!」

「基準がおかしい」


 壁際には棚。

 その上には遺物。

 金属片。

 壊れた銃。

 古いレンズ。

 妙な文字の書かれた板。


「これ見て」

 ミリアは興奮していた。


「これも」

「これも」

「あとこれ」


 ハンスがぼやく。

「始まった」


 リンは机の上の紙を見た。

 古びた断片。

 古代文字。


「点検要領」

「交換の際・・・」

「起動時には・・・」


 ミリアが固まる。


「読めるの?」

「少しなら」


 別の紙。

「セーフィティロック」

 また別の紙。

「定期的なグリスの・・」


 ミリアの顔色が変わる。

「あの人と同じだ」


 ミリアがリンを見る。

 同じだった。


 良く分からない文字を読める。

 遺物を知っている。

 鳥を連れている。

 顔には線。

 偶然とは思えなかった。


「ねえ」

「このナイフをくれた男の人のこと、知ってるでしょ?」

「鷹を連れて4年前にこの街にいた」


「知らない」

 リンは答える。


「でも…」

「西へ向かった人間の話なら、街に入ってすぐに聞いた」


 ミリアが反応する。

「西」

 恩人が消えた方向だった。

「貴方たちも西に行くの? 何をしに行くの?」


 リンは少し戸惑いながら、

「ああ行くかもな。だがその前に王都へ」

「同じかどうか知らないが、私もこの世界を――」


「ストップ。ストップ。俺たちはどこにも行かねえ。」

 ハンスが慌ててリンを止める。


「ここで遺物を集めて金儲けする」

「ほら、見ただろ、こいつ文字読めるし遺物のこと詳しい」

「いいもん見つけて金稼ぐんだ。なっ、リン。俺も体、丈夫だし」


「他に聞くことはあるか?」


「んっ、この遺物を直すのか。昨日のお前の発明品はどうした」

「もう無いならいいだろ。俺たちも宿に引き上げるよ」


「そう、分かった」

 ミリアは静かだった。


 ハンスはリンを急き立てて、早々に工房を出る。

 陽はすっかり沈んでいた。


 大急ぎで宿に帰る。


「やばい」

 ハンスが言う。


「何がだ」

「気付かないのか」

「絶対付いてくるぞ」


「そうか」

「そうかじゃねぇ」

「あの目、見たか?」

「あれ離さない目だ」


「朝一番だ」

「逃げるぞ」


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