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崩壊世界の再生人類  作者: Beta
目覚め

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12/17

第12話 <ミリア1>

「学者様は見つかったか?」

 ハンスが言う。


「いや」

「なら遺物の買取屋に行くぞ」


「なぜだ」

「学者も変人も集まる」

「お前みたいなやつもいる」


「そうか」

「否定しろよ」


 買取組合。

 巨大だった。

 倉庫だけで町一区画分はある。


 受付へ向かう。

「組合長に会いたい」

 リンが言う。


「本日は不在です」

 受付嬢が答える。


 ハンスが顔を出す。

「なあ、頼むよ。ちょっと訳ありで、いろいろと聞きたいんだ」

「またさ、遺物収集、期待に応えるからさ」


 受付嬢は少し微笑んだ。

「今日は別件で街を出ています。明日朝お越しください。ハンスさんからのお願いだと伝えておきますね」


「仕方ねえな、頼んだよ」


 ハンスは踵を返す。

 リンはそれ以上言わない。

 リンも続いて買取組合のフロアから外に出た。


 その時だった。


「見てよこれ!」


 甲高い声。

「対魔物用の新兵器!」

 人だかり。


 騒ぎ。

 その中心に小柄な影。

 ポニーテール。

 眼鏡に革ベスト。

 手には奇妙な金属球。


「やべえ」

 ハンスが言った。


「またミリアだ」

「知っているのか」

「知ってる。でも関わりたくねぇ」


「買ってくれない?」

 少女が叫ぶ。


「絶対安全!」

「敵にもすごく効く!」

「ちょっと試してみる?」


「いやいい!」

「やめろ!」

「持って帰れ!」

 周囲が一斉に後退する。


「大丈夫だって」

「ほら」

「ここを外さないと――」


 全員逃げた。

 ハンスも逃げる。

「逃げろ!」

「なぜだ」

「だからお前!」

 次の瞬間。


 ドォォォォォン!!


 爆発。

 悲鳴。

 土煙。

 荷物が宙を舞う。

 煙。

 煙。

 煙。


 相変わらずその中心に少女が立っている。

「おかしいな」

「計算だとここで爆発するはずじゃ」


 ハンスが起き上がる。

 煤だらけだ。

「十分爆発してんだろ!!」


 少女は首を傾げる。

「違う、、本命は――」


 ドォォォォォン!!

 二発目。


「うおおおおおお!?」

 ハンス再び消える。

 やがて煙が晴れる。


 ハンス。

 真っ黒。

 髪がないから余計に目立つ。


 少女。

 無傷。


「あ」


「避けなかったんだ」

「避ける時間あったか!?」


 その時。

 クロウが落ちてきた。

 くるくる回転しながら。

 ぽすっ。

 地面。

 羽がぴくぴくする。


「落ちたぞ!」

「落ちたな」

「助けろよ!」


 少女がしゃがむ。


「あ」


 ひょい。

 持ち上げる。


「鳥だ」

「見りゃ分かる!」


 羽を広げる。


「……変」

「何が」

「金属?」


 クロウが薄く目を開く。

「……離せ」


「喋った!?」

 少女の目が輝く。

「面白い」


 クロウの顔が引きつった。

「嫌な予感しかしない」


「ねえ」

「なんだ」

「分解していい?」


 沈黙。


「却下だ」

「少しだけ」

「却下だ」

「羽一枚くらい」

「却下だ!」


 ハンスが大爆笑した。


「ははははは!」

「焦ってる!」

「初めて焦ってる!」


 クロウは睨む。

「笑い事ではない」

「助けろ」


「中、どうなってるの?」

「知らん」


「燃料は?」

「ない」


「じゃあどうして飛ぶの?」

「知らん」


「嘘だ」

「本当に知らん」


 ミリアが少し視線を逸らした瞬間。

 クロウはミリアの腕から逃れるように飛んだ。


 ふらつく。

 さっきの爆発のせいだ。

 ふらふらと羽ばたいてリンの足元へ。

 ふらつきながらも何とか着地。


「飛び方おかしくないか?」

 ハンスが言う。


「問題ない」


 そのままリンの近くを歩く。

 クロウは精一杯、いつもと変わらない様子で答える。


「問題あるだろ」

「ない」


 クロウが半目で言う。

 そばに居た虫をつつく。

 ぱく。


 リンが干し肉を投げてやる。

 ぱく。


 干し肉をつつく。

 また一つ。

 ぱく。


 ミリアが見ている。


「何してるの?」

「食事だ」


「機械なのに?」

「失礼だな」


「誰が機械だ」

「羽光ってたけど」


「光る鳥もいる」

「いないと思う」


 クロウは無視した。

 リンの近くの石の上へ飛び上がる。


 明らかに距離を取っている。


「警戒されてる」

 ハンスが笑う。


「当然だ」

「なんもしてないでしょ」

「分解すると言った」

「言っただけじゃないの」


「十分だ」


 ミリアはクロウを見る。


「欲しい」

「お断りだ」


「残念」

「残念ではない」


 しばらく沈黙。


 そして突然。

 ミリアがリンを見る。


 左頬。

 二本の線。


 眼鏡に手をかける。


 カチッ。

 補助レンズが降りた。

「……待って」


 初めてミリアの声色が変わった。


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