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崩壊世界の再生人類  作者: Beta
奪還

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116/117

第112話 <指令>

雑音。

途切れた信号。

非常に弱い。

だが、確かに何かが送られてきている。

信号を補正。

欠損した部分を復元する。

暗号鍵を照合。

やがて、短い通信文が二体へ共有された。


> FROM: MOTHER

> TO: YODO

>

> REPORT RECEIVED

>

> NEW DEMON-TYPE SOLDIER INFORMATION ACKNOWLEDGED

> COUNTERMEASURES UNDER REVIEW

>

> H-SOLDIER DATA RECEIVED

> STRUCTURAL SIMILARITY TO EX CONFIRMED

>

> UNIT-09 XENON STATUS

> INVESTIGATION AUTHORIZED

>

> HOSTILE FACILITY RECONNAISSANCE AUTHORIZED

>

> DIRECT COMBAT NOT AUTHORIZED

>

> UNIT-10 MUST NOT BE LOST

>

> WESTWARD MISSION TAKES PRIORITY


通信が途切れる。

月明かりの下。

二体は何も言わなかった。


最初に口を開いたのは、フロムだった。


「新型魔人のことは分かったけど」

「ゼノンのことも敵施設も調べるのは良いけど」

「直接戦闘は許可しない」

「Unit-10を失うな」

「西へ向かう任務を優先……」


一つずつ、確認するように読み上げる。


「つまり、どういう意味?」

「記載の通りであると思われる」


ヨウドが答える。


「敵基地への偵察は許可された」

「ただし戦闘は回避する」

「危険が発生した場合、識別名リンの生存を最優先し、作戦を中止する」

「ゼノンが見つかっても?」

「救出によってUnit-10を失う危険性がある場合は、撤退する」


「ミリアが納得するかしら?」

フロムの眼が青く光る。


「納得の有無は、作戦判断に影響しないのである」

「マザーはUnit-10を優先する」

「現在、マザーが正式に確認している活動可能なEXはUnit-10のみ」

「マザーの判断は合理的である」

ヨウドは淡々と答える。


「合理的ねぇ…」

フロムは大都の方向を見る。


「でもあの子たちは、合理性だけでは動かないわ」

「それは把握しているのである」

ヨウドは即座に答える。


フロムがヨウドを見る。

「把握しているの?」


「識別名リン、ミリア、ハンスの行動には、非合理的選択が多いのである」

「予測困難」

「特にミリアは危険である」


「それは否定しないわ」

フロムは言った。


ヨウドがアンテナを収納し始める。

岩山に張られていた金属線も回収されていく。


「この命令を、識別名リンたちへそのまま伝えるのであるか」

ヨウドが尋ねた。


「伝えるしかないわ」

フロムが答える。


「マザーからの指示だもの」

「ミリアは反対するでしょうけど」


「ふむ」

「リンも、ゼノンを置いて逃げるとは思えないのが問題である」

「ならば、最初から作戦を中止するべきである」

ヨウドの答えは早かった。


「しかし、偵察そのものは許可されているわ」

フロムが言った。


「まずは内部情報を取得する」

「ゼノンの所在と状態を確認する」

「救出の可否は、その情報をもとに再計算するわ」


「マザーへ再度報告するであるか?」

「必要であれば」


風が強く吹いた。

赤茶色の草が、月光の下で大きく揺れる。


「帰るわよ」

フロムは身を翻し、岩山を下り始めた。


ヨウドも後を追う。

「待つである」

「吾輩を置いていくなである!」


◇  ◇


同じ頃。

黒い兵士たちの地下施設。

同盟軍のものではない通信を傍受していた。

発信源はごく近距離と推定された。


現生人に通信技術を持つものはいない。

そして本文は、強固な暗号に守られていた。

リードは通信記録の解読を何度も試みた。

完全な解読はできない。

通信ヘッダ。

対象識別符号。

繰り返し使用された一部のコード。


基地の解析設備が、断片的な情報を抽出した。


> UNIT-10

> UNIT-09 XENON

> HOSTILE FACILITY

> RECONNAISSANCE


断片的な言葉。

完全な内容は、強い暗号によって分からない。


UNIT-10、UNIT-09ゼノン、敵施設、偵察


だが。

誰が。

何をしに。

どこへ来ようとしているのか。

それだけは十分に理解できた。


リードは画面を閉じる。

背後にはスタンが立っていた。


「連中、ここに気づいたんですかね」


「ああ」

「可能性はある」

リードは答えた。


「迎撃しますか」

「いや」


リードの青い眼が、暗い監視室に浮かぶ。

「本当にここに来る気なら」

「入れてやるさ」


スタンが眉を寄せる。

リードは静かに続けた。


「ゼノンを探しているのは間違いない」

「自分から来てくれるのなら」

「ここで全員を捕らえる」


監視室を出ようとして、リードが足を止める。

「ケイを呼べ」

「了解」

「それから、ハンスという男の位置を確認させろ」


スタンの表情がわずかに変わった。

「ケイが発信機を付けたという現生人ですか」


「ああ」

リードは静かに頷く。


「奴が大都から移動を始めたら、すぐに報告させろ」

「連中が本当にここを狙っているなら」

「自分たちが攻める側だと思っている」


暗い通路の奥へ歩きながら、リードは言った。

「だが、違う」

「侵入させた時点で、こちらの作戦になる」

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