第100話 <再会>
大都に到着して数日。
リンは待ち続ける。
だがハンスは戻らない。
フロムが口を開く。
「まだ諦める時間じゃないわ」
リンは答えない。
ヨウドも黙ったままだった。
やがて。
ミリアが呟く。
「生きてるよ」
誰に言うでもなく。
「だって“死に損ないのハンス”だよ!」
「バカで」
「スケベで」
「発掘屋の筋肉オヤジ」
「絶対に帰ってくる」
リンは目を閉じた。
その時だった。
ドンドン。
宿の入口が叩かれる。
全員が反応する。
フロムの耳が立つ。
クロウが警戒態勢を取る。
リンが刀に手を掛けた。
外から声。
「警備業務から帰還である」
聞きなれたヨウドの声。
ドアを開ける。
ヨウドが入ってくる。
「それにお土産である」
ヨウドの後ろからハンス。
「よう!」
聞き慣れた声だった。
数秒。
誰も動かない。
後ろから現れたボロボロの男。
魔物にやられた傷。
服はあちこち裂けている。
泥や汚れは頑張って落とした跡がある。
それでも少し臭い。
だが。
間違いない。
ハンスだった。
そして――。
ミリアが叫んだ。
「生きてた!!」
ハンスが顔をしかめる。
「うるせえ」
「当たり前だ」
次の瞬間。
リンが駆け寄った。
「馬鹿!」
ハンスの胸を叩く。
ハンスは驚く。
言葉が止まる。
リンも自分で何を言っているのか分からない。
ハンスから離れる。
顔を背けた。
ハンスは苦笑する。
「悪かったな」
ヨウドが近づいてくる。
「生存を確認」
「予想通りである」
「絶対予想してなかっただろ」
「予想していたのである」
「嘘つけ!」
久しぶりに笑いが出た。
夕食。
久しぶりのそろっての食事。
ミリアが身を乗り出す。
「それで!?」
「何があったの!?」
全員の視線が集まる。
ハンスはパンをかじる。
少し考えた。
そして。
「谷に落ちた」
「知ってる!」
「魔鳥に襲われた」
「知らない!」
ミリアが机を叩く。
ハンスが笑った。
久しぶりだった。
こんな時間は。
だが。
一つだけ。
ハンスは誰にも言わなかった。
ケイのこと。
敵兵と共に戦ったこと。
見逃されたこと。
その話だけは胸の奥にしまった。
ようやく100話まで書くことが出来ました。
第2章はここまでです。
次からはゼノン奪還に向けた新しい章に入ります。




