第98話 <護衛任務>
ハンスは目を覚ます。
すっかり体は回復。
だが別の問題が発生した。
「金がない!」
かろうじて宿代は払えた。
だがあとは…すっからかんだった。
「馬車に乗りてぇ……」
だが乗る金もない。
ハンスは広場へ向かった。
運送屋。
行商人。
護衛募集。
ひたすら聞き回る。
「大都までの護衛仕事ねえか?」
「ついでに馬車に乗せてくれ」
「この通り働くぜ」
すると一人の運送屋が手を挙げた。
「護衛が足りん」
「大都行きだ」
「やるか?」
「おうよ!」
「任せておけ!」
即答だった。
運送屋についていく。
護衛は三人。
ハンスの他に二人いた。
一人は長身の男。
ハンスと同じくらいの背丈。
細身。
長髪。
耳には銀色のピアス。
気さくそうな男だった。
「助かったよ」
「急な仕事で人手が足りなくてさ」
そして笑う。
「大都に着いたら妹に土産買わなきゃならねぇんだ」
「早く帰りたいし」
ハンスも笑った。
「そりゃ大事だな」
もう一人は筋骨隆々の太っちょ。
背は少し低い。
だが太い腕をしている。
「兄ちゃんも逞しいな!」
豪快に笑う。
「頼りにしてるぜ!」
「俺も早く帰らんと嫁に怒られるんだ」
運送屋の主人が苦笑する。
「皆、事情持ちですな」
馬車は出発した。
夜。
街道を進んでいた時だった。
唸り声。
赤い瞳。
魔犬。
そして新型魔人。
襲撃だった。
「チッ!」
ハンスが飛び出す。
クレイモアが唸る。
魔犬の首が飛ぶ。
次。
また次。
馬車と運送屋を守りながら戦う。
「おらあ!」
ピアスと太っちょも奮戦しているようだった。
だが次々と魔犬が現れる。
混乱。
悲鳴。
「連れて行け!」
どこからか聞き覚えのある声がした気がした。
ハンスは魔犬を斬り伏せる。
やがて魔物たちは姿を消した。
運送屋は無事だった。
馬車も。
だが。
ピアスの男も太っちょも消えていた。
「何なんだよ……」
地面には争った跡だけが残っている。
運送屋の主人も青ざめていた。
「まただ……」
「また人が消えた……」
翌日。
何事も無いまま大都へ到着した。
巨大な城壁。
人波。
賑わう街。
運送屋の主人が頭を下げる。
「助かりました」
「本当に」
ハンスは肩をすくめる。
「仕事だからな」
ハンスもようやく大都に到着した。




