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波1
セオリの忠告を気にしながらも、夜月と会話を続けていた。
「そういえば、地獄にも波が訪れていてね‥。」
夜月の表情がくもり出す。
「働き方改革の波が‥」
「働き方改革ってのがよくわからないのだけど。」
意味がわからないので尋ねてみる。
「え?知らないの?
あっ、君が死んでから流行りだしたのか。それなら知らなくて当たり前だね。
働き方改革とは、読んで字の如しで働き方の改革だよ。」
相変わらず夜月の表情は暗い。
「詳しくはわからないけど、働き方を改革するって事は良い事じゃないの?」
率直な気持ちを伝える。
「うーん、確かに良い事もあるんだけど‥
鬼たちがやたらと権利ばかり主張して、義務を疎かにするんだよ。
何だろう、我慢するのをやめたのかな。」
夜月が苦笑する。
「鬼が定時で帰るんだ。
そもそも定時ってなんだよ!
昔は倒れるまで働いていたのに‥。」
さすがにそれはダメだろうと思うのであった。




