第34.5話 《夜の一撃》のその後
「いやー!昨日は本当に美味い酒が飲めてまるで天国だったな!」
俺が機嫌よくいると言うのになんだかスヴェンは辛気臭い顔をしていた。
なんだ、なんだ!
お前さんも酒を飲んでおきたかったのか?
「朝っぱらから声がでけぇ、うるせぇ、黙れ。」
「なんだご挨拶だな!」
「スヴェンは…朝、弱い…。」
シリカがポツリと呟いてそう言えばそうだったと俺は膝を叩いた。
顔色も白いし体調がいまいちなんだろう。
夜型のスヴェン率いる一行だから《夜の一撃》なんて面白いくらい安直だ!
「ねぇねぇ!湖が見えたよ!ここが奥だよね!」
先を歩いていたミーシャが更にスピードをあげて走っていく。
いつも元気でなによりだ!
俺達も後を追うとそこには大きな湖があった。
ギルドから預かった地図によるとここが本来最奥地ということになっていたようだが更にここより奥への道が発見されたということだ。
本来なら確認されないような高ランクの魔物がいたというが俺たちが確認した限りでは残党もいないようだし至って普通の低レベルダンジョンに戻っているようだ。
「俺とシリカが奥を見ておくからお前ら2人は湖の周辺を調査しておけ。」
「おう、任せておけ!」
―――それから30分後―――
「……大丈夫、だった…。魔素も、安定…してる…。」
「そうかそうか!俺たちの方も問題無かったな!魔物も不活性化しているししばらくは問題ないだろう!」
「あれ?スヴェンは?」
「先に、戻ってろ…って…。」
「ふむ!まあスヴェンなら大丈夫だろう!それより遅い朝飯にしよう!弁当をもらっていただろう!」
「そうそう!あたい楽しみにしてたんだー!」
各々マジックポーチから貰った弁当を取り出す。
中身は、見たことのないメシだった。
白くて薄いパンに卵や野菜が挟まっている。
隣は…ベーコン?いやハムか、それとチーズ。
この白い何かが挟まれてるやつなどはサッパリわからない。
隣には茶色い塊…肉か?
「メモが入ってるよ。なになに、〈お弁当の中身はサンドイッチになります。具材は卵サラダ、ツナサラダ、ハム&チーズ、ポテトサラダです。隣のおかずは鶏の唐揚げといいます、美味しいですよ。〉だって。」
なるほど!ほとんどわからん!
しかし間違いなく美味いはずだ!
俺は食うぞ!
とりあえずこのハムとチーズのサンドイッチとやらにしよう。
……。
「おお!美味いな!パンが柔らかい!塩気がちょうどいい!酒が欲しいな!」
「ラーシュはすぐに酒だねー。あたいはこっちのツナサラダが気に入った!」
「…ポテト、サラダ……。おいしい…。」
うむ、惜しむらくは量が少ないことだ!
これは何個でも食べれてしまうぞ!
そしてなんだ?この鶏の唐揚げとやらは!!
酒も無いのにこんなに美味いものを食べるとはある種の拷問だぞ!
酒を持ってこい!
「おい、なに騒いでやがる…。」
「おお、スヴェンか!なにコウの宿で貰った弁当が美味くてな!」
「あー、そうかよ。平和なことだ。」
ガシガシと頭を掻くスヴェン。
うむ、さっきより顔色もいいな。
やっと調子が出てきたんだろう。
本当に朝に弱いやつだ。
「お前も朝飯を食べておけ。美味かったぞ!要らないのなら俺が食べてやるから遠慮なく言うといい!」
「意地汚いやつめ。」
スヴェンははあと溜息をつくとその場にどかっと座り弁当を開き卵サンドを食べ始めた。
「……うまいな。」
「おお!お前さんはそれが気に入ると思ったぞ!」
「煩いな。お前らはその辺で釣りでもしてろ。」
「む!確かにここの湖は何か釣れそうだな!シリカ、ミーシャ!釣りでもするか!晩酌のつまみになるかもしれん!」
俺が声をかけると2人はマジックポーチから釣り竿を取り出していた。
準備万端だな!
「スヴェン!お前も早くメシ食って釣りしよう!」
スヴェンに声をかけるが奴は手をひらひらと振るだけだった。
付き合いの悪い奴め。
サンドイッチを食べながら何か黄色い宝石を見ているが、あれはなんだろうか?
まあいい。
そんな石ころよりも大物を釣って驚かせてやるとしよう!




