第3話 【ダンジョンショップ】
1DKの一室、なんでこんなところにいるのかわからずポカンとしている俺にかまわず光る球体は話はじめた。
『こちらはコウ様のスキル【ダンジョンショップ】で生成されたオーナールームです』
「俺のスキル?」
『はい、【ダンジョンショップ】はダンジョンの中にショップへと繋がる空間を生み出すスキルです。ここではコウ様に対する全ての攻撃が無効化されます。』
「絶対安全な空間ってことか?」
『はい、その解釈で問題ありません。』
「はぁー……。」
俺は深い溜め息をついてその場にへたり込んだ。
めっちゃ怖かった…よくチビらなかったと自分で自分を褒めたい。
よくは見えなかったけど真っ赤に光る2つの目があった気がして肝が冷えたんだよ。
あれが魔物だったんだろうか。
「……ってなんかオーナールームっていうか普通にアパートの一室って感じなんだけど?」
8畳ほどの部屋に敷きっぱなしの布団、漫画ばかり入った本棚その隣にはちいさなテレビもあった。
1人で住むにはもってこいって感じだな。
そっちにはトイレも風呂もあるし。
せまいキッチンだけど一口コンロもあるからラーメン煮るくらいは出来そうだ。
全然快適に住めるな!
『それはコウ様のスキルのレベルがまだ1なので…まあこんなものでしょう。レベルが上がればもっと豪華にもできるようになりますが。』
レベル!
やっぱりレベルの概念があるのか。
そうだよなー、異世界だもんな。
「レベルってどうやって上げるの?やっぱり魔物退治ってこと?」
『いいえ、コウ様の場合は…、その前に【ダンジョンショップ】のスキルでショップを開くことをオススメ致します。』
そういえばまだ逃げるのに使っただけだったな。
さてさて【ダンジョンショップ】のスキルの真価はいかに?
『ステータス画面から【ダンジョンショップ】を押してください。』
ポチッとな。
❈❈❈
《ダンジョンショップへようこそ》
初回ボーナスとして《雑貨屋》開店の消費MPが50となっております
是非御活用下さい
❈❈❈
「ナビゲーターさんこれは?」
『コウ様はMPを消費することでダンジョンショップに新たなショップを開店することができます。』
「ということはこれ押していいってこと?」
『推奨致します。』
そうだよな。
ダンジョンショップって言ってるのに俺の部屋しかないんじゃあ駄目だよな。
雑貨屋かー。
RPGゲームだとポーションとか売るお店だから基本中の基本だよな!
ではではポチッとな。
〈MP100→MP50〉
《雑貨屋がオープンしました》
ステータス画面からド派手なファンファーレが鳴り響いた。
ドラ◯エかな?
なんか微妙に音が違うけど著作権ギリギリ感がある。
『おめでとうございます。コウ様、初の店《雑貨屋》オープンでございます。それと同時にコウ様のスキル【ダンジョンショップ】のレベルが上がりました。』
「おー、自覚はないんだけどありがとうな!ナビゲーターさん!」
『コウ様、是非ナビとお呼びください。』
「ナビさん!それで具体的に次はどうすればいいかな?」
ピカピカっとナビが黄色く光る。
なんか嬉しそう。
光る球体だけど名前があると何だか愛着が湧くな。
『コウ様のMPを消費して《雑貨屋》の品揃えや品質を改善したり在庫数を増やすことが出来ます。』
「すごいな!さっそくやってみるよ!」
『まずは品揃えを増やすのがオススメです。マジックポーションが追加されます。』
「マジックポーションってMP回復薬ってやつ?」
マジでゲームっぽいな!
ワクワクしてきたぞ!
『はい。ちなみにコウ様はこのショップで買い物する時に支払う金銭は発生致しません。』
「え?タダってこと?」
『はい。この店のオーナーですので。』
オーナーっていっても売り物つかったらその分金払わないとダメなんじゃないのか?
その辺のことは緩いのか、助かるけどさ。
「MPを回復する薬がタダで手に入る…俺のスキルってMP消費することでお店を良くするんだから……それってズルになるんじゃない?」
お店のポーションをタダのみして回復したMPでまたお店を改善してって繰り返せたらそれは永久機関じゃないか?
『補足させていただきます。コウ様のスキルはこのショップだけではなくダンジョンを攻略する際に必要になるありとあらゆる店を増やすことが出来るスキルです。』
「え!そんなにチートなスキルなの!?」
なんだかますますズルい気がしてきたな。
大丈夫?ルールが破綻しない??
『MPの消費はそれだけではなく毎日この空間の維持管理のコストとしても消費されます。現在はオーナールームと雑貨屋ですので毎日50の消費が発生致します。』
維持管理とは在庫数の回復だけではなく空調や清掃なんかも含まれてるらしい。
それをMP消費だけでやってくれるのならありがたい。
掃除しなくていいんだ、やったー!
「それだと今日はもう50MP消費したからあとは維持管理の分だけでもう使えないってことか。」
『そこでマジックポーションの出番なのです。最初の在庫数で20本ありますのでそれを消費していただければ《雑貨屋》の各種レベルを上げることが出来ます。』
なるほどな。
そこまで考えてるとはナビさんは優秀だなぁ。
ステータス画面から《雑貨屋》を押して品揃えの強化の項目を押す。
《品揃えを強化します。MPを30消費しますがよろしいですか?》
YESを押す。
〈MP50→MP20〉
すると店の中のあちこちが眩い光に包まれ、次の瞬間には先程までは無かった品物がいくつか増えていた。
『さあコウ様、どうぞマジックポーションを入手してみてください。棚の上段にある黒い液体の瓶がマジックポーションです。』
ナビさんが言うんだからズル技ではないんだろうし、俺もどこまでこのスキルが凄いものなのかしりたい。
俺は雑貨屋の棚の中から黒い液体の入ったガラス瓶を手に取る。
コルクを抜き、匂いを嗅いでみるとなんだか嗅いだことのある匂いがした。
ポーション、ということは薬だよな。
俺、苦いのはイヤなんだけど仕方がない。
俺は覚悟を決めて黒い液体を一気に飲んだ。
量としてはコップ1杯分といったところか。
味は悪くない。
むしろ美味しい、というよりこの味は飲んだことが…、
…。
……。
………。
ゲッ、ふぅーーー!!
凄いゲップが出た!
鼻の奥が痛い!!
「ナビさん!これコーラじゃないか!!」
『いいえ。マジックポーションです。コウ様のMPが10回復しました。』
「本当かよ!?」
ステータスを確認、
〈MP20→MP30〉
あ、本当だ。
『現在《雑貨屋》のレベルは品揃えが2、品質が1、在庫数が1、店舗の広さが1ですのでそれらのレベルを上げられるだけあげてしまいましょう。あとマジックポーションが19本在庫にありますので飲んでいただけますか?』
「無理を言うんじゃないよーーー!!!」




