第27話 暇だから早く来てよ
名前、名前かー。
ナビさんこの場合通称とかあだ名での登録は大丈夫かな?
『はい、固有認識の為に必要なものですので通称でも構いません。』
「では妾に良き名前をくれぬかの?コウよ。」
名前かウンディーネ、水の精霊…。
そう言えばさっき水溜まりの姿になってたな。
みずたまり、みずた、まり。
「マリって名前はどう?」
日本でも馴染みのある名前だし俺が言いやすい。
『ほう。良いな。妾も長い名前では発音しづらいからの。マリで良い。』
ウンディーネさん改め、マリさんは俺の手から《フォロワーブック》を取るとスラスラとペンをはしらせた。
〈マリ 登録〉
「良し!これで一安心じゃ!どれまたホットケーキを馳走になるとするかの!」
ホホホ、と愉快そうにマリさんは笑っていたけど。
虫歯とか大丈夫だよな?
―――
あれからホットケーキを5皿食べてマリさんは今日はとりあえず帰ると言って退店した。
あの身体のどこに入ったのかは知らないけど。
もしかして水の精霊だからあの湖分のキャパシティがあるのか?
そうだとしたらあの湖の魚はマリさんが摂取したカロリー分肥えていきそうだな。
今度釣りでもしてみるか。
お客さんも誰も居なくなって暇だしせっかく手に入った魔石でオーナールームを広くしてみましょうかね!っと。
水の魔石を5個消費してオーナールームの広さをレベル2へアップ!
ペカッー!と部屋が淡い光に包まれた。
そして1DKだった部屋がなんと!2LDKになった!
うおー!これは広い!
1人でいるには快適な広さだ!
部屋数も増えたから何を置こうか悩むなー!
フィギュアとか飾る部屋にしちゃおうかな!
まあ、今はフィギュアとか手に入らないんですけどね。
―――
とそんな事があったのが3日前である。
あれから毎日のようにマリさんはホットケーキを食べに来る。
いい加減飽きないのかと思うが飽きないらしい。
それ以外の来客はゼロ。
やっぱりつい最近まで名付きのアルラウネがいたせいで魔物や獣が気が立ってた影響があり人間が立ち入らないんだろう。
そろそろカイルさん達の報告を聞いて誰か来てくれるといいんだけどなー。
お金が増えないからお店が増やせないんだよなー。
毎日の回復分と1日1本マジックポーションを飲んだ事で今はMPが492まで貯まってはいるんだけど。
あまり無駄遣いは出来ない。
あと毎日コーラ飲むの大変だから1本が限界。
今日もお客さん来ないっぽいかな。
そしたらマリさんを誘って釣りでもしようかなー。
『コウ様、お客様です…。』
「え!本当に!!やった!」
『ですが、』
なにやらナビさんが言い淀む。
なになに止めてよ、嫌な予感が。
『善人では無いようなのですが…いかが致しますか?』
えぇー!!
そんなパターンか!
マジで?どうしよう、野盗とかだろうか?
『音声だけでも聞いてみますか?』
「そうだね、確認したい。」
すると外からの声が聞こえてきた。
〈ちっ…。本当にこんなところに店なんかあるのかよ?〉
〈カイルが言ってたから間違いないと思うのだがなー。〉
〈まー、あのお人好しがわざわざ噓つくとは思えないけど。でもここ一応ダンジョンよ?〉
カイルって言ってる。
ってことはこの人たちはカイルさんに話を聞いてきた人ってことだよね。
『その様ですが。如何せんカルマの値が高いものですから慎重に判断したほうがよろしいかと。』
「カルマって?」
『悪行をした場合に上がる数値のことです。これは神が判断しているので人間の法や解釈とはずれることもあります。3以下が善人、10以上では悪人と判断します。』
なるほどそんな隠しパラメーターがあるわけだ。
「ちなみにあの人達の数字はわかる?」
『はい。12、6、4、5です。』
「うわー…ちょっと12は高い気もするね…。判定だと悪人かー。」
どうしようかな。
でもカイルさんを知ってるみたいだし何より俺が暇なんだよなー。
お金持ってるなら相手にしてあげようかな?
『あいつ等結構金持ってるぞ。あのカイルって奴等と同じくらいじゃねーかな?』
そうか!じゃあ入れてあげようかな?
駄目だったら《閉店》でつまみ出せばいいし。
「それじゃあ久しぶりのお客さんだよ、《開店》!」




