第24.5話 《森の守護者》のその後
コウさんと別れて1時間、近隣の町までの街道沿いに辿り着き一息付いた頃。
何の気無しにカイルを見ると鼻歌でも歌いそうなくらい機嫌が良さそうでした。
表面上はいつもと変わらないのですが、私にはわかってしまうんですね。
だって瞳がいつもよりキラキラしているんですもの。
「カイル、ご機嫌ですね。」
「そうかな?うん。そうかもしれない。」
あらあら。素直。
そんなところも可愛いですね。
「コウとまた会えるからでしょー?」
「そうかそうか。彼女がいるのになんて奴だ。」
ジェイクとフィアにからかわれてカイルが何か言ってますね。
いつものことなんですけどね。
カイルがわざわざ後ろを歩いていたジェイクとフィアの鼻を摘んでいくのが面白くて私は思わず笑ってしまいました。
「仲間が増えたんだ。喜んで何が悪い。」
「ふふ、そうですね。」
コウさん、出会った時から不思議な雰囲気の人とは思いましたがまさかこことは違う世界から喚ばれた人とは思いませんでした。
彼の口から出る話の全てが物語のように驚くことばかりでしたが嘘をついてるとは微塵も感じられなかったのです。
それはきっとカイルがコウさんに全幅の信頼を寄せていたからなのもあると思います。
「あー、少しの間だけどコウがいないからあの美味しいごはんが食べれないのがつらいよー。」
「あと風呂だな。あれは本当に良いものだ。コウが強く勧めるのがよくわかったよ。」
「お部屋も清潔でベッドもふかふかでしたね。」
「お前ら贅沢を覚えすぎだ。」
やれやれとカイルは頭を振るけれど、私は知ってますよ。
グリルチキンに心を奪われてたことを。
「ねー、町に着いたらギルドに報告してさっさと準備して次のダンジョンに行こうよ!あのフワフワのパンがまた食べたいよ!」
ダンジョンにいればまたコウさんと合流できるとのことでしたので確かにそれは良い提案ですね。
薬などはコウさんのお店のほうが質も高くて値段も良心的ですし。
「しかしなあ、今回の依頼の報告があるからさっさといけるとは限らんぞ。」
《血吸いのアルラウネ》、どう考えても迷いの森に縄張りを築くレベルの魔物ではありませんでした。
それに本来はいるはずのない魔物まで群生している状況…あの森には何かがある気がします。
「俺も早めに出発はしたいがギルドの報告がきちんと済んでからだな。それにコウ君に他の冒険者にも宣伝してくれと頼まれたしな。」
「ですが余り喧伝するのも良くないかもしれません。最初は信頼できるパーティーだけにしましょう。」
「フランソワの言うとおりだな。となると誰がいいものか…。」
「んー、《遺跡探索団》、《風詠の魔導書》、《白波の傭兵》辺り?」
「ええ、彼らなら大丈夫そうですね。きっといいお客さんになってくれますわ。」
「《夜の一撃》は?」
カイルの言葉にピタッとジェイクとフィアの動きが止まります。
「えー、スヴェンに紹介するのー?」
「いや、どうだろうな…。」
まあ気持ちはわかりますが。
《夜の一撃》は冒険者としては優秀ですし依頼の達成率も高いですからギルドからも重宝されていますし…でも、ね…。
コウさん怖がらないかしら?
「スヴェン達は優秀な冒険者だからきっとコウ君の力にもなってくれるはずだ。それに言うほど悪いやつじゃないよ。」
「悪くないやつは人殴って捕まらないんだよねー…。」
フィアが溜息をつくのを知ってか知らずか…。
カイルは一度言ったら聞かないところがありますから間違い無く《夜の一撃》にも声をかけるでしょうね。
コウさんと仲良くなれますように。




