第17話 死線を越えろ
「ぐっ、ごほっ!!」
口の中の血を吐き出し、受け取ったポーションを飲む。
あれほどの傷を負ったと言うのにほとんどのものが回復した。
失われた血はすぐに戻らず深い傷だった脇腹はまだ痛むが上々だろう。
はやくコウ君を追わなければ!
彼は戦えないのに俺たちが回復する時間を稼ぐために囮になったのだ。
「ジェイク!生きているか!?」
俺の声に「おぉ。」とだけ声が返ってきた。
あれだけの攻撃を喰らって死に損なうとは流石としか言えないな。
「フィアはそこでジェイクを守りながら警戒体勢、フランソワは魔力の回復のために待機!」
「待ってください!カイルは?」
「俺は、コウ君を助けにいく。」
―――
アルラウネめ、まんまと俺を追い掛けてこっちに来てるな。
俺の方はというと最奥地の行き止まりまで来た。
ここでやることは、
「俺を中心に大爆発起こす今撃てる最大火力のスキルでアルラウネを討つ!」
今の俺は【絶対回避】状態だからアルラウネの攻撃はもちろん自爆技のダメージも喰らわないって寸法だ!
どうだ!
『はー…もうそれで良いんじゃねーの。』
なげやり!!
ちょっと冷たいんじゃないのー?
『お前スキルの使い方馬鹿すぎでもうどうでもいいわ。はよ、やれ。』
『コウ様、ご武運を。』
うん。
頑張ってくるよ!
俺はアルラウネに向かってまっすぐと走る。
アルラウネはキョトンとした顔をしたが、俺が向かってくると理解すると獲物が飛び込んできたと愉悦の笑みを浮かべた。
そう言えば俺、別に足も速くなかったな。
小学生の時の持久走大会で無駄に張り切って途中で靴脱げた状態になったんだけど、履き直さずに走りきって靴下ボロボロにしたんだよ。
あれで母ちゃんに怒られたっけか。
父ちゃんはすごいぞって褒めてくれたけど。
なんで今こんなこと思い出すんだろう?
まさか走馬灯ってやつか?
縁起でもない。
さあそろそろだ。
アルラウネと俺との距離は10メートルもない。
俺はおもいきりアルラウネに抱きついてやった。
女の人に抱きついたのははじめてだな。
まあ魔物だけど。
さて、とスキルを音声認識。
上手くいきますように。
「金貨5枚を消費して、スキル【大爆発】を発動!!」
―――
急げ!
はやくしないとコウ君が!
「金貨5枚を消費して、スキル【大爆発】を発動!!」
耳を疑った。
【大爆発】だと?
「コウ君…!!」
次の瞬間目も開けて居られないような爆風と鼓膜をつんざく爆音が発生した。
熱い!
魔力を濃縮した煙塵と熱い風が全身を殴りつけながら去っていく。
治りかけの傷が僅かに開いたのか血の臭いが流れた。
爆風はやがて収まり辺りは静寂に包まれた。
離れた場所にいた俺ですらこの熱さだったんだ。
中心地にいたものはたまったものでは無いだろう。
【大爆発】、術者の魔力を濃縮し暴走に近い形で爆発させる。
術者もちろん、死、
また俺は、
俺は……!!
なんで、いつも、間に合わないんだ…。
「あーーーー!!!怖かったーーーー!!!」
「…え、コウ…君??」




