第16話 格好くらいつけさせて
外に出てしまった。
怖い、怖いけど。
やるしか無いんだ。
俺は震える手でスプレータイプのポーションの蓋を開けると中の液体をカイルさんにぶち撒けた。
すーっと音も無く傷口が塞がっていくが深い傷がまだ残っている。
やはり即効性タイプではこれが限界のようだ。
「か、はっ…。コウ君、何故…。」
辛うじて意識を取り戻したカイルさんの言葉を無視して飲むタイプのポーションを握らせた。
「俺の最初のお客さんなんですから目の前で死なないでくださいよ。」
『コウ様。』
あ、ナビさん怒ってる?
なんか声が怖いです。
『ジェイク様の体力が残り2割以下に低下。瀕死状態です。至急回復を行ってください。』
ナビさん!!
教えてくれてありがとう!!
『あーもう!!マスター!金貨1枚使え!【絶対回避】のスキルを発動しろ!』
ゴルドも!!
愛してるぜ!!
『音声認識する!言え!言えばスキルを発動できる!』
「金貨1枚を消費してスキル【絶対回避】発動!!」
❈❈❈
【絶対回避】発動
10分間コウへの攻撃を受け付けない
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めっちゃいいスキルじゃないか!
ようし、そしたらこれも使うぞ!
俺はスキルの発動を確認するとマジックバッグの中から煙玉を取り出し自分に使った。
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デコイの煙玉
10分間、相手の攻撃を引き付ける
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盾役が使うヘイト上昇アイテムをまさか俺が使うことになるとは思わなかった!
今まで敵愾心が一番高かったジェイクさんへの攻撃が止んだ。
アルラウネの両目が見開かれ俺をまっすぐと見た。
ターゲット変更、俺をロックオンってか?
怖ぇな。
こんなやつを真正面から叩くとか無理だって。
「フィアさん!これを!」
俺はポーション各種を思い切りフィアさんの方にぶん投げる。
いくつか届かなかったけどポーションは明日にでも在庫が増えるんだからもったいなくない。
「それで回復を!10分なら俺逃げ回れるから!はやくみんなを!」
「わかった!コウ!無理しないで!」
…さっきフィアさん、ジェイクさんのことパパって言ってたよな…。
似てないけど親子なのか…。
16歳の娘がいる35歳ってことは、え?19歳の時の子??
『コウ様、スキル終了まであと8分です。』
ほぉあ!?
急ぐわ!!
アルラウネの蔓が俺に伸びる。
だが、蔓は何故か俺を避けるように後ろに横にと伸びるだけだった。
アルラウネ本人もそれが不思議なのか首を傾げた。
女の人の部分だけみたら結構美人だなアルラウネって。
まあ冒険者の血を啜るっていう猟奇的な女は好きじゃないけどな!!
俺はアルラウネのすぐ横を通り過ぎると最奥の空洞に向かって走り出した。
「コウさん!そっちは行き止まり…!!」
フランソワさんの悲痛な声が背後から聞こえた。
大丈夫、大丈夫ですよ!
ちゃんとわかってますから!
「ゴルド、金貨5枚でアルラウネを倒したい。」
『はぁー…金が足りねぇわ。』
『愚痴愚痴と言わずに考えなさい。』
あ、喧嘩しないでってば!
俺に1つ考えがあるんだよね。




