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スキル【ダンジョンショップ】で一獲千金! 〜地獄の沙汰も金次第で元の世界への帰還を目指す〜  作者: 瞬間移動


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第15話 《血吸いのアルラウネ》


獣道を抜けると地図にあった通り拓けた場所に出た。

今まで森の中にいたというのにここはゴツゴツとした岩肌に囲まれた洞窟のような場所だった。


「なんだ?急に場所が変わったかのようだな。」


ジェイクさんも俺と同じ感想を持ったようだ。

なんと言おうかゲームのダンジョンを進んだら次のフロアが全く別のタイプだったみたいな。


霧はいつの間にか晴れていたが今度は薄暗くて視界が悪い。

全く親切さが欠片もないダンジョンなことだ。


ナビさんがいるから少し明るく見えるけど、もう少し明かりが欲しいな。

一応《宿屋》の1室からランプを持ってきたから明かりを付けてみる。

ちなみにLEDだ。

ドライヤーもそうだったがファンタジーな世界でこういうのを使うのはいかがなものかと思わなくもない、が、便利なので使わさてもらう。


眩い光が辺りに広がる。

これで暗闇も一安心かな。


「ずいぶんと明るいランプだな?光の魔石か?」

「まあそんなところです。」


魔石とかいう気になるワードが出たからあとでナビさんに聞いてみるかな。



ビビィーー!!


前にも聞いたことのある警告音、ナビさんだ。

ということは!



「気をつけて!敵だよ!」


斥候であるフィアさんが一番に声を張り上げた。

俺はそそくさと扉を召喚しショップ内に避難する。


はずだったのだが、


「うわぁあ!!」


一瞬にして宙に身体が浮かび上がった。

一体何が起きたんだ!?


見ると俺の右脚に太い植物の蔓が巻き付き、そいつのせいで身体を持ち上げられてしまっていたのだ。


「コウ君!!」

「ひぃい!カイルさん!助けて!」


カイルさんは長剣で俺の足に絡みつく蔓を一撃で切断する。

ちょ、待って!そしたら、落ちる!?


「ほら、大丈夫か?」


地面に落ちる寸前、ジェイクさんに抱き留めて貰えた。

やだ、カッコいい!

トゥンクしちゃう。嘘だけど。


「はやく下がってください!ここは私たちが!」

「は、はい!!」


邪魔になってはならないと今度こそショップ内に避難することに成功する俺。


あー、LEDランプ置いて来ちゃったよ!

もうあとででいいか!


「燃えよ燃えよ燃えよ!来たれ炎よ!!」


フランソワさんが蔓の伸びていた方向に火炎を放つ。

カッコいい!やっぱり魔法は派手で華があるなぁ!


『火の神アッチイデスは耳が遠いので火属性の魔法は三度唱える必要があります。』


うん、なんか知りたくなかったな。

火の神様ってお年寄り??

そう言えば火属性魔法マスターだけスキルの値段がお値打ち(10万だけど)だったのってそのせいか?


炎の放たれた先から悍ましい叫び声が響いた。

腹の底からくるような不快な声だった。


「…ダンジョンボスか!」


闇からぬっと現れた巨体。

それは上半身が女性、下半身が巨大な球根と無数を蔓持つ魔物だった。


「アルラウネ!?何でこの森に!?」

「くっ!下がれフィア!!」


ジェイクさんが背にした大盾を構えフィアさんを

庇う。

次の瞬間、大盾を避けるようにしてジェイクさん本人を無数の蔓が襲う。

蔓は俺の時とは違って一本一本が刃のように鋭利だった。


「ぐぁあっ…!!」


くぐもった悲鳴と血煙が上がった。

身体中のあちこちをズタズタに切り裂かれたジェイクさんにフィアさんは悲鳴を上げた。


「パパ!!」


フィアさんが腰のナイフに手を掛け、ジェイクさんを襲う蔓を攻撃するがその分厚い蔓はびくともしない。

さっきまでの蔓の強さじゃない?


「みんな!これ以上は危険だ!はやくショップ内に避難を!」


❈❈❈


《森の守護者》は迷いの森のダンジョンボス《血吸いのアルラウネ》と交戦中


ボスからは逃げられない


❈❈❈


え?ボスからは逃げられない?

なんだこれ?

ゲームのお約束がここでも反映されてるのか?


なら回復だけでも!


『危険です。』『危険だ。』

「止めないでくれよ!!」


『次外に出たら戦闘が終わるまでここに戻れないぞ。』


そんな。

じゃあここで戦闘が終わるのを待つしか無いってことなのか?


俺がまごまごしてる間にも戦況がどんどん悪くなっている。


ガシャン!!

扉に何かを打ち付けたように大きな音がした。

カイルさんが扉に身体を打ち付けた音だった。


「コウ君、キミは中で待機しているんだ。」


後ろ姿しか見えなかったがカイルさんが怪我をしているのはわかった。

右脇腹を傷付けられたのか、足元に血が滴っている。

カイルさんだけじゃない。

ジェイクさんもフランソワさんもフィアさんも。

みんな、みんな俺の目の前でやられていく。


流れ出た冒険者たちの血を蔓は器用に掬い取り、口に運んでいく。

その姿はとても恐ろしかった。


「コウ君、すまない。ギルドのほうには連絡が行く手筈になっているから。キミは、逃げ、」


言葉はそこで途切れた。

ずるり、力なくカイルさんが倒れた。


人間はあんな人形のように倒れるものなのか。

絶望的な状況に、言いようのない恐怖に胸が締め付けられた。


ああ、ちくしょう。

怖い!怖い!

こんなはずじゃあ無かった!


俺はまだこの世界に来て2日目なんだぞ!

何者にも脅かされない日常を送っていた普通の高校生だったんだぞ?

恨むよ、神様!!


くそ、くそと悪態をつきながら俺はいつしか自分の人差し指を噛んでいた。


カイルさんは言った、逃げろと。

最後は言葉になっていなかったけど。


あの人は自分の命より安全地帯にいる俺の心配をしていた。


俺だけなら助かる。

ここから出なければいいのだから。

そう、助かるんだ。





俺は、覚悟を決めた。


「逃げたくないです!!!」


扉を開けて俺は外に出た。



ああ、わかってる!

俺に与えられたスキルがあれば大人しく引きこもっていれば怖い思いしないで済んだのにな!


それでも、


ごめんな。

ナビさん、ゴルド。


俺自分で思ったより馬鹿だったわ。


❈❈❈



コウが戦闘に加わりました



❈❈❈



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