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本能寺炎上事件簿 ~多恵子は風の中~  作者: へるきち


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04.池田屋事件

「本能寺の調査の前に、アレはどうなってんだ?」

「池田屋事件ですか?」

「ああ、お前の中では池田屋事件なんだろうな。それだよ」

 上司というものは、いつだって無粋だ。

 飲みの席だというのに、仕事の話を始めてしまう。

「あー、それなら報告書にまとめてるとこっす」

 調査員のコシアンだ。

 こいつは優秀な調査能力はあるが、実務に問題がある。

 調査終わってるんなら、さっさと報告書にしてくれよ。

「ほら、これっすよ。見せたでしょ、あいつらの求人情報」

「聞いてないんだが?」

「昼飯の時ですよ」

 私は、昼飯を食べる習慣などない。

 3年も一緒に居て、そんな事も憶えてないのだろうか。

「ほう。休日はみんなでBBQか。こりゃ黒だな。真っ黒だ」

「でしょ?」

 室長も納得しているし、この件はもう解決だな。

「おい、追加で何かとってこいよ」

「ええ? 調布まで行けって言うんですか? 多摩川の向こうは所轄の外ですけど」

「問題ないっす。自分が、こんなもん入手しました」

 今度は、調査員のツブアンだ。

「これは何だ?」

 

1.遅刻したら解雇

2.残業申請したら解雇

3.副業したら解雇

4.有給休暇とったら解雇

5.ノルマ未達は解雇


「株式会社しんせんぐみの内部資料っす」

「ひでえなコレ。黒ってもんじゃねえぞ」

「最後のが、むしろまともに見えますねえ」

「どうやって入手した? 前言ってた従姉の多恵子さんか?」

「いえ。人事部の土方がSNSに上げてました」


 炎上しているのは、株式会社らくいちらくざの信長だけではなかったのか……。

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