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夢幻のアルデモース  作者: KANAR1024
第一章-クレープス・エクリクシ-
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9/12

第八話-発生源-


-------------------------------------------------------------

「やっぱり…北に行くほどクレープスが増えてる…!」

リヒトは発生源を探し、湿原を駆けていた

湿原はすでにクレープスで埋め尽くされ、常に鳴き声が聞こえてくる

「くっ」

大量にいるクレープス達に足止めされながらも湿原を北へ北へと進んでゆく

新しく技巧が組み込まれたナイフを片手に、クレープスを最速、最善で処理する


そしてあることに気づく

(このクレープス達は…普通のクレープスよりも動きが鈍い!)

だからこそ、まだ未熟であるリヒトにも、大量のクレープスを捌けていた。


風が吹く、雨が降り始める

リヒトは駆ける

そうして湿原を抜けた先…それはあった


「なんだよこれ…」

それは巨大な影で覆われた鏡、その中からは、クレープスが出現し続けていた

そして…その頂上には一人の男が…

「あァ?なんだァ?敵襲かァ?」

そのクレープスの脅威を察知したリヒトはいち早くそれを排除するために投げナイフを勢いよく投げる…が

「おいおい?随分と雑じゃねェかァ?」

男は身を躱し、鏡の上から飛び降りる

「俺ァこの影鏡を守ってる、スカーってんだ、テメェは誰だ?」


(こいつ…他のクレープスと比べて遥かに強い…しかも意識がある!)

しばらくリヒトが黙っていると…


「あァそうか…言いたくねェか…なら…」

「死ね」


スカーと名乗るクレープスが飛びかかり、殴りかけてくる

その拳をナイフで正面から叩き切るも…

「痛ェ」

(怯まない!?)

リヒトはそのままナイフごと殴り飛ばされる


「あァ…足りねェなァ…」

拳に刻まれた傷がだんだんと塞がり、傷痕(きずあと)となる

(傷が…塞がった…?)

「あァ…さっさとかかってこいよ」

スカーが手招きをし、リヒトを煽る

(多分…傷が治ったのはスカーの技巧だ…)

ここでリヒトは師匠の言葉を思い出す

『技巧持ちの敵と戦った時は、まず先に技巧の仕組みを探るんだ、そうすれば勝ち筋が見えてくる。』


師匠の言葉を胸に、リヒトは気を引き締める

(ここが勝負所だ…気合を入れろ…!!)


-------------------------------------------------------------

「ねぇ…お姉さんの名前はなぁに?」

レオンは、警戒しながらも少女の質問に答える

「あたしはレオン・ヘルツだ、」

「そう…レオンお姉ちゃん、ね…私は、ドールっていうの、よろしくね?」

「それじゃあ…一緒に家族人形遊びをしましょ?レオンお姉さん!」


ドールがそう叫んだ瞬間、クレープスが2体現れる

「あなたはお父さん…あなたはお母さん…私は妹ね!」

「それじゃあ、姉妹喧嘩をはじめましょ?」


ドールがレオンを殴り飛ばし、近くの岩へと叩きつける

そこに父役と母役のクレープスが殴り込みにくる


レオンは咄嗟に父役と母役のクレープスを刀で真っ二つに切り裂く…が、

(手応えがない…何故だ?)


レオンは立ち上がり、二人の拳を避ける

「どうしたの?お姉ちゃん?反撃しないならこっちから行くよ?」

「チッ」

レオンがドールを切り付ける…が、またしても手応えはない。

「うふふ…効かないよ、お姉ちゃん!!!」

レオンはまたしても殴られ、吹き飛ばされる。

(なるほど…この殴り自体は痛くはない…が、)


『バキィッ!』

殴り飛ばされたレオンが木に激突する。

(なるほど…な)

何かを理解したレオンは刀を地面に置き、構えを取る

「なぁドール」

「どうしたの?お姉ちゃん」

「ここからは、あたしも素手で行かせてもらう」

「ふふっ、何をやっても無駄だよ!お姉ちゃん!」

レオンはドールを力強く殴り飛ばす

「あはは!効かないよっ!」

父と母に受け止められたドールは二人を足場にしてこちらに飛んでくる。

ドールの拳を受け止めたレオンは、そのまま足で蹴り、転ばせ、腕を掴んで、こちらに向かってくる2体のクレープスに叩きつける

「きゃあっ!」

「やはり…ダメージがあるようだな…」

倒れ込むドールに向かってレオンが言う

「…お姉ちゃんは…死んで!」

ドールは起き上がり、レオンを崖まで殴り飛ばそうとする…が、避けられる

「なるほどな…家族内の直接攻撃の無効化、か…」

ドールが苦い顔をする…どうやら予想は当たっているらしい

「私の技巧がわかったからって…勝てると思わないでよね!!!」


ドールが再びレオンを……//目の前からレオンが消えた

「えっ?」

そしてドールはいつの間にか投げ飛ばされていて、そこにはレオンが先ほど置いた刀が…

「なん、で…」

ドールの心臓付近に刀が突き刺さり、人形遊びは終わる

「嫌っ…!死にたく…」

「すまないな…先に行かせてもらう」


ドールの体から刀を抜き取ると、レオンは湿原を駆けだした。

-------------------------------------------------------------

「あァ…だから…何回やっても無駄だって言ってンだろ」

スカーの体は、すでに何箇所にも傷痕があるが、ダメージを負った雰囲気はない…

それに対して、幾度も殴られたリヒトの体はボロボロ…とまでは行かないが、消耗はしていた。


(もう一度…しっかりと見るんだ!)

リヒトはスカーの体を今一度凝視する


(僕が付けた傷は全部傷痕になってはいる…けど、傷痕の近くをいくら攻撃しても、新しい傷痕はできなかった!)


「いろいろ考えてるよォだが…無駄だぜ?」

目の前から、先ほど投げたリヒトの投げナイフが襲ってくる

「くそっ」

リヒトは避けきることはできず、頬から赤い血が流れ出る


「なァ…いい加減諦めたらどうだ?」

リヒトの顔に、拳が送り込まれる

そこでリヒトは辛うじてナイフを構え、防御しようとする…と

「チッ」


スカーが舌打ちをしながら拳を引き、少し引き下がった

(なんだ…?何故下がったんだ?もしかして、そこが糸口になるのか…?)

リヒトは考える…ふとスカーの拳を見ると、初めにスカーの拳に付けた傷痕から、血が出ていた。

(あれは…僕が一番最初に付けた傷痕…でもどうして今頃…

いや、まさか…?)


「試してみる価値はある…か!」

リヒトはスカーに向かって駆け出し、今までつけてきた傷痕をしっかりと狙いを定めて、切り裂きに行く

「ぐッ」

スカーがそれをなんとか避けて行く…絶対に、当たらないように


「おいテメェ…俺の技巧に気づきやがったなァ?

だがな…当てさせねェぞ?」


技巧に気づけたはいいものの、リヒトも限界が近づきつつあった。


(そろそろ決着を付けないと…)

リヒトは自分が持っているナイフへ目を向ける。

(これぐらい貯まれば…いける!)


そのナイフは、エクスロ湿原に出発する前に、師匠から使うことを勧められた、ナイフである


それは、リヒトの足りない攻撃力を補うもの、


リヒトはそのナイフをしっかりと構え、スカーに向かってゆく

そして、スカーから放たれた拳を手で受け止め、

ナイフを首に刺す

そして…


『ボンッ!』


ナイフは爆ぜた


「なッ」

スカーは目の前で急に何かが爆ぜたことにより、一瞬ではあるが、怯んでしまった

「だがなァ!効かねェぞ!」

スカーは再び拳を握りしめ、攻撃に備える

そうして爆破を受けた目が前を見れるようになった頃


ナイフは大きな傷痕となった首の寸前まで迫っていた


「オラァ!!!」

リヒトの腹が拳で打たれるも、リヒトは怯まない

そしてナイフは真っ直ぐにスカーの首の大きな傷痕へと刺さり…


「ぐッ…」

力無くスカーは倒れてゆく…


倒れてゆくスカーは最後に仲間のことを想う

(すまねェ、ドール…ミラー…また守れなかったよ)



この激闘を制したのは…リヒトであった


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リヒト君はボロボロになりました

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