第三十五話-蠅の王♯1-
———ガキィィン!
レオンの刀と蠅の王の爪がぶつかり合う
(完全に…融合しているのか?)
大量の蠅が集まっているように見えたにも関わらず、その爪は存外、強固であった
「———チッ!」
斬りつけようとしたものの、避けられたので、離れる
「師匠。義手は大丈夫ですか?」
「あぁ、特別頑丈なのを作ってもらったからな、問題はない。」
「それは良かったです。」
二人は蠅の王の方を見る
「あいつ…どう見ても異獣ですよね。」
「あぁ、だが、それにしても異常だ。」
明らかに、強い
「ナリア…だったか?今は何をしている?」
「ナリアは、今家の中から弓で狙っています。」
「なるほ——————ッ!!」
斬りかかる蠅の王を避ける
「さて、どうする?リヒト。」
「そうですね…まだ何も分からない以上、とにかく攻撃を加えるしかないですかね。」
「そうだな。それじゃあ、行くぞ。」
二人同時に駆け出す
『ビィィッ!!』
今度はリヒトの方に狙いを定めて突撃してくる
だが、
// //
レオンが突然、蠅の王の背後から出現し、剣撃を加える
『ビィッ!?』
蠅の王が驚愕し、飛び下がる
「蟲にも…危機感ってものがあるんだな…」
レオンがそう呟いた時、蠅の王のレオンによって斬られた部位が黒く散り、また元に戻る
「戻せるのかよ…」
「これはかなり…面倒くさそうですね。」
キリキリと、蠅の王の節に力が込められてゆく
そして解放を———
———ヒュンッ!
蠅の王に矢が刺さる
「今だ。」
その隙にリヒトとレオンが勢いよく蠅の王を切り刻まんとする
だが、敵は蠅の王であった
———ガキィン!
爪によって両者の攻撃を難なくと防がれる
そこでレオンが技巧を———
『ギリリリァァァァァァァ!!!』
蟲とは、小さな身体ではあるが、巨大な力を持つ
蟻は、自らよりも大きい物であろうと難なくと運ぶ
蟷螂は、鳥さえも獲物とする
であれば、大量の蠅が集まった蠅の王は———
「は?」
ずどん、とレオンが刀ごと地面へと叩きつけられる
そして発動した技巧は態勢を整える事を短縮するために使用される
「師匠———ごふっ」
何とかナイフで受けたものの、鋭い蹴りをくらったリヒトが吹き飛ぶ
『ビィィィィ!』
蠅の王が鋭い咆哮を上げる
(あぁ…痛ぇ、リヒトは何処に飛んでいった…?まぁ、死んではいないだろう。なら…!)
レオンが飛び起き、蠅の王の体を斬り裂こうとする———も、爪によって防がれる
(やっぱり…駄目か…それなら!)
技巧、発動
//移動//を短縮して、蠅の王から距離を取る
『ビィ…?』
蠅の王が辺りを見渡すも、見つからない
——————
◻︎ほんの少し、前のこと
「うおぉっ!」
———ズガァン!!!
廃れた家の中にリヒトが吹き飛ばされてくる
「リヒト先輩!大丈夫ですか!?」
奇しくもそこは、ナリアが弓を射っていた地点であった
「いたた…何とか大丈夫…だと思う、けど、師匠が心配だ———」
「おう、呼んだか?」
レオンが瓦礫を退かして家の中へと入ってくる
「師匠!あの蠅はどうしたんですか?」
「あぁ、置いて来た。取り敢えず、作戦会議だけ済ましておこうと思ってな。」
「なるほど…分かりました。」
「なるべく早く済ませるぞ。」
「「はいっ!」」
作戦会議が始まる
「リヒト、あの蠅の体が再生するのが見えたか?」
「はい、確か、一度蠅達に戻って、その後また塊った…という感じに見えました。」
「あぁ、あれを攻略しなければ、あたし達は負ける。」
「あ、あの!私に考えが有ります!」
ナリアが声を上げる
「ふむ、聞こうか。」
「えっと———」
ナリアの案に、二人ともが納得をする
そして、
——————
『ビィ…?』
レオンとリヒトが、蠅の王の元へと戻ってくる
「待たせたな、蠅野郎。」
『ビィィィィ…』
どうやら、獲物から一瞬だとしても逃げられ、相当頭に来ているらしい
『ビィィィャァァァァァァァ!!!!!!!!!』
本気激怒である
「第二回戦です、さぁ、やりましょう。」
リヒトがナイフを構え、蠅の王が爪を構える
いざ尋常に、勝負
蠅の王…キモそう




